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夏祭り
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石長さんが家に来てすぐ、祖母が浴衣を着せて居間に来ると、見違えるくらい綺麗になっていた。
「え?どうしたの?」
兄は石長さんがもう着るのなら着ていくと言って、祖父に着せてもらって入ってきたが、そちらもいつもと雰囲気が違い、浴衣は濃紺。
裾だけに柄が入っているが、大人の男といった感じで、カッコイイ。
石長さんはいつもの地味な感じの服とは全く違い、薄いピンクに白のストライプ。そして小さな小花と、アクセントに大きな花があしらわれた浴衣だったが、髪が結ってあるせいか、普段とは違う化粧のせいか、とても若く見える。
「石長さんすっごく綺麗!」
「ほほほほほ、本当か?この浴衣は最近の流行りと聞いて買ったのはいいものの、若い子が着る柄ではと……」
「そんな事ないよ。髪も上げてた方のが似合うよ!」
「うん、いつも下ろしてるから、新鮮だね。よく似合ってるよ」
「じ、純平さんも……よく着物が似合ってます」
「さ、あなた達は先に出るのでしょう?お昼は神社で食べるの?」
「そうなるな」
「ちゃんと石長さんを色々と連れて行ってあげるのよ?」
「分かってるって。翔平じゃあるまいし」
「俺かよ!」
ふたりして仲良く出て行くのを見送り、さっさと決めた分だけの勉強をしなさいと言われ、問題集と格闘し、お昼を食べたあとに祖父に呼ばれて居間に行くと、浴衣が出してあった。
「あ、浴衣」
「婆さんが着せておいてくれと言うから、ほら、早く脱いで羽織ってくれ」
「うん。俺的には暑いイメージがあるんだけどなー」
「そんなことは無いぞ?迦具土君も黒の浴衣を着て行ったし」
「あいつまた黒なの?飽きないなー」
そんな話をしながら着せてもらい、腰のあたりで縛ってもらうと意外と苦しくない。
「意外と動きやすいかも」
「鈴はどこに付けていても良いらしくて、持ってなくても弓は出るそうだ」
「え?そうなの?」
「まず使えるようになるのが必要だからだと思うが、私が若い頃は剣道をやってたからか普通に竹刀を持たされてたし……」
「人によって違うのかな?」
「鈴にも大国様の気が入ってるから、婆さんでも使えるのだろうが、気は抜いてはならんぞ?」
「分かってるって」
祖母も支度ができたと言うので、玄関に鍵を閉めたか確認してから祖父について行くと、神社とは反対の方向にむかう。
地図からするとかなり大回りとなるが、兄達が内回り経由で神社に向かったのだとしたら、俺達は外回り組ってことかと思い、祖父母について行く。
「爺ちゃん、大回りで神社に行くのなら……」
「あ、違う違う。こちら側にも小さいが神社があるんだ。そこに参ってから行こうという話になってな。大国様の神社と関係のあるところだから、お力をお借りできればと……あ、そこだ」
見ると、少し階段を上がったところに小さな祠のようなものがあり、その周りが黒く覆われている。
「これ、気持ち悪いやつ?」
「翔平、弓で真ん中を狙え。そうすれば散るだろう」
「え?壊れたりしない?」
「ものは壊さないんだ。婆さんは、その扇子を仕舞いなさい」
「あら、一振で風が出て便利だったのに」
婆ちゃん、一番武器を持たせたらいけない人だと思うのに……それだけ大国さんの力が大きいということなのか?
「え?どうしたの?」
兄は石長さんがもう着るのなら着ていくと言って、祖父に着せてもらって入ってきたが、そちらもいつもと雰囲気が違い、浴衣は濃紺。
裾だけに柄が入っているが、大人の男といった感じで、カッコイイ。
石長さんはいつもの地味な感じの服とは全く違い、薄いピンクに白のストライプ。そして小さな小花と、アクセントに大きな花があしらわれた浴衣だったが、髪が結ってあるせいか、普段とは違う化粧のせいか、とても若く見える。
「石長さんすっごく綺麗!」
「ほほほほほ、本当か?この浴衣は最近の流行りと聞いて買ったのはいいものの、若い子が着る柄ではと……」
「そんな事ないよ。髪も上げてた方のが似合うよ!」
「うん、いつも下ろしてるから、新鮮だね。よく似合ってるよ」
「じ、純平さんも……よく着物が似合ってます」
「さ、あなた達は先に出るのでしょう?お昼は神社で食べるの?」
「そうなるな」
「ちゃんと石長さんを色々と連れて行ってあげるのよ?」
「分かってるって。翔平じゃあるまいし」
「俺かよ!」
ふたりして仲良く出て行くのを見送り、さっさと決めた分だけの勉強をしなさいと言われ、問題集と格闘し、お昼を食べたあとに祖父に呼ばれて居間に行くと、浴衣が出してあった。
「あ、浴衣」
「婆さんが着せておいてくれと言うから、ほら、早く脱いで羽織ってくれ」
「うん。俺的には暑いイメージがあるんだけどなー」
「そんなことは無いぞ?迦具土君も黒の浴衣を着て行ったし」
「あいつまた黒なの?飽きないなー」
そんな話をしながら着せてもらい、腰のあたりで縛ってもらうと意外と苦しくない。
「意外と動きやすいかも」
「鈴はどこに付けていても良いらしくて、持ってなくても弓は出るそうだ」
「え?そうなの?」
「まず使えるようになるのが必要だからだと思うが、私が若い頃は剣道をやってたからか普通に竹刀を持たされてたし……」
「人によって違うのかな?」
「鈴にも大国様の気が入ってるから、婆さんでも使えるのだろうが、気は抜いてはならんぞ?」
「分かってるって」
祖母も支度ができたと言うので、玄関に鍵を閉めたか確認してから祖父について行くと、神社とは反対の方向にむかう。
地図からするとかなり大回りとなるが、兄達が内回り経由で神社に向かったのだとしたら、俺達は外回り組ってことかと思い、祖父母について行く。
「爺ちゃん、大回りで神社に行くのなら……」
「あ、違う違う。こちら側にも小さいが神社があるんだ。そこに参ってから行こうという話になってな。大国様の神社と関係のあるところだから、お力をお借りできればと……あ、そこだ」
見ると、少し階段を上がったところに小さな祠のようなものがあり、その周りが黒く覆われている。
「これ、気持ち悪いやつ?」
「翔平、弓で真ん中を狙え。そうすれば散るだろう」
「え?壊れたりしない?」
「ものは壊さないんだ。婆さんは、その扇子を仕舞いなさい」
「あら、一振で風が出て便利だったのに」
婆ちゃん、一番武器を持たせたらいけない人だと思うのに……それだけ大国さんの力が大きいということなのか?
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