八百万の学校 其の弐

浅井 ことは

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夏祭り

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「迦具土、座って食べたら?冷めちゃうよ?」

「あいつの隣だけは座らねー!」

「じゃ、俺が変わるから座って食えよ」

席を替わり、隣でコーラを飲みながら「舌がっ!」と騒いでいるのを見ると普通の人で、歳は兄より少し下くらい……23か4くらいにしか見えないのに、裸で踊っていたのかぁと銅像を思い出し、その写真を見せると、「何だこれは……と、とても失礼な像ではないか?これが私だと!?」と驚いているので、みんなもそんな反応だったと言い、今こちらに伝わってる古事記と神話の話をすると、「まぁ……口伝になるのか分からないが、我々が本当にいるのか?といった疑問の話はよく聞くし、見たことのあるものは居ないだろうから仕方が無いのやもしれぬが……この頭巾はやめて欲しかった」とかなりご立腹。

だが、どこをどうすれば田植えをするような格好に頭巾になるのか、話を聞いた俺にもよく分からない。

「そうじゃ、天岩戸をこじ開けた男がおるのじゃが、そ奴もここに来ておるのじゃ。天手力男神 あまのたぢからをのみことと言って、私の踊りで八百万の神が笑ったところを、天照が少し戸を開けてな、その時にすかさず手を引っ張ったのが八意のジジイ。その時に力任せに戸を開けたのが、手力だ。私達はてちと呼んでいる」

「てち?」

「手力男は呼びにくいから、『てち』。見た目と違って優しい男じゃから……あ、あそこの社の近く。イカを焼いてる店があるじゃろう?」

「え?まさか焼いてる……とか?」

「そのまさかじゃー!お主達食わぬか?」

祖母が二人で半分ずつでいいとまた遠慮もなく言ったので、早速と天宇受売命が取りに行ってしまった。

その後、金髪に筋肉隆々の歳は35は超えていそうな厳つい人が来て、プラスチックのトレーに乗せられたイカ焼きを祖父母と俺と迦具土に渡してくれ、「よ、よろしく頼む」と言って戻っていってしまった。

「良いのかな?」

「良い良い、美味いぞ。ほら、熱いうちに祖父母殿たちも食べてくれ」

「では遠慮なく」

遠慮なくって、全く遠慮してないじゃん!

箸で割れないだろうと、迦具土に先に食べてもらおうとしたら、ふんわりと柔らかく、箸でなんとか半分にでき、食べごたえがあるのに硬くない。

「美味しい。普通屋台のイカって硬いのに」

「見た目と違って繊細じゃからの、前に火加減がどうのと言うておった。私もあ奴のイカ焼きとタコの素焼きは好きじゃ。のぅ、迦具土」

「俺に言うな!」

「え?なになに?神様の住むところにもあるの?」

「無い!」

「なーんだ」

「ちぃっと違うのぅ。テチは料理が趣味だから、酒宴の時にはあの様に屋台というのを真似て何かを作って出しておるのじゃ。迦具土の時もいつ音を上げるかとみんなで賭けをしながら酒宴をしておったんじゃが、やりきってしもうてのぅ……。やばいと思うて踊ったのに……チッ!」

うわぁ、チッ!って言っちゃったよ……

「それで、天宇受売命様、私達はこれからどうしたら……見回りに行く予定だったのですが」

「私の事は『うずめちゃん』で良い!と言うかそう呼べ。で、この後、私は社の上でもう一踊りして来るが、次の舞で社周りの雑魚はおらんくなる。テチも見張っておるから、そなたたちは階段から社までの間……左右の屋台の裏の方も見てもらわねばならんが、もうそんなにはおるまい」

「翔平、純平に伝えてきてくれんか」

「わかった」
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