八百万の学校 其の弐

浅井 ことは

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石長比売の決断

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「これは石長に渡されたハンカチなんだが、奈良で渡された時はこれを使って神気を抜けという意味かと思ってたんだ。話を聞きに行ったら、このハンカチに石長の気が入ってるから、純平に何かあったら与えて欲しいという意味だったと言われてな。思わず怒鳴りそうになったが、弱ってるあいつを見るとそうも出来なくて、取り敢えずハンカチに入っていた神気は石長に戻した。
簡単に言ってしまえば、石長と繋がり安いものなんだが、見覚えはあるか?」

「あー、俺が買ってあげたものですけど」

「そういう事か。でだ、この小瓶の神気を石長が回復するまで週に一度取りに来る。かと言って純平に入った気がそうそうなくなることは無いから心配するな」

「そんなに石長さん悪いんですか?兄貴に会わせたら一発で治りそうなのに」

「だろ?だから、もう少し良くなったらこの家に連れてこようかと思ったんだが、嫌がってな……女の気持ちはよくわからん!」

わからんと言いながら、大国さん、奥さんいっぱい居るじゃん!などとは言えず、神気を抜くのを見ているしか出来なかった。

「これで良し。純平、何か変わったことはないか?」

「いや?全然。献血より楽だな」

血は抜いてないよ……

兄はこういったことにはかなり動じない。きっと、婆ちゃんの血が濃いんだ!

もしや隔世遺伝?と思っていると、毎週末に帰ってこいだの、来週は天ぷらが食べたいだのと祖母に食べたいものリクエストをいくつかして、今度は黄色いカバンに瓶とハンカチを閉まって「馳走になった。また来週な!」と言って消えてしまう。

「兄貴ほんとになんともない?」

「何されたかわかんないくらいにわからん。しかも、ハンカチ持ってただけだしな」

「そうだけど……」

「ま、今日はゆっくり風呂に入って休んだ方がいいだろう。何も感じてなくても、普通なら貧血みたいな感じになるもんだ」

「そうなんだ」

「抜くってことは、その献血とやらと似たようなもんだぞ?駅にバスが止まってるの見た事あるが、出てきたヤツら、みんな平気な顔してたが、少し気が減ってるのを感じたからな」

神様の感覚って、献血と一緒なんだ……

早く届けたいからと大国さんは帰っていったが、ならばなぜご飯を食べていくんだ!と言いたくなったが、以前も疲れていた時の大国さんが、今日と良く似た感じだったので黙っておくことにし、片付けを迦具土と祖母に任せ、兄に教えて貰いながら問題集を解いていく。

「なぁ、俺、明日1度帰ろうと思うんだが、お前大丈夫か?」

「え?何が?」

「これだよコレ!」と問題集を指さしてくる。

「んー、基本は兄貴が教えてくれたし、とにかく問題解きまくるしかないかなー?とは思ってる」

「ちょっと貸せ」

兄に渡すと、付箋をどんどんと貼られ、そこにカレンダーを見ながら日付を書いている。

まさかだが、分厚い問題集を週単位でこなしていけというのか!?

「ほら、これを俺が帰ってくるまでにやれ。付箋から付箋までが一週間な」

「鬼!!!」

「あ、総合問題の方も貼っておくから安心しろ」

「鬼畜!悪魔!!!」

「なんとでも言え。その中でわからなかったのを俺が週末教える方が効率がいいし、お前、やれば出来るんだから真面目にやれよ?」

「分かってるよ。やるけどさ、この量っていつ寝るの?寝れるの俺!」

「飯と風呂とトイレには行けるから安心しろ」
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