八百万の学校 其の弐

浅井 ことは

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石長比売の決断

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「どうしたんですか?」

「そそそそ、その、大国様がこちらで待つようにと」

「あ、荷物持ちますね。どうぞ上がってください」

「お邪魔します……」

どうぞとお茶を出して、茶の間に座布団を出したが、兄を見ると直ぐに「純平さん、体の方は……」と気にしている。

「俺は平気なんだけど、石長さん動いても平気?」

「わ、私は平気です。まだ神気が戻らないだけで……その、迷惑をかけて……」

そう言って俯いてしまったが、祖母の「お昼にしましょうか」との一言で少し雰囲気が和んだ。

消化の良いものの方がいいだろうと、うどんにすることに決めて、祖母と迦具土が台所に行こうとするのを、石長さんが止めて祖母と一緒に台所へと行ってしまう。

「どうしたのかな?」

「ちょっと様子が変だったな」

「兄貴見てきてよ」

「いや、やめておこう。婆ちゃんに何か話しがあるのかもしれないし」


※※※※※※

「祖母殿、この度は私の勝手で純平さんに迷惑をかけてしまって……」

「気にしないで、石長さん。純平があなたを助けたくてした事よ?私もお爺さんも誇らしく思っているし、あなたのせいではないわ」

「でも……神気が……」

「それもね、私たちにはよくわからないの。お爺さんも普通より多くの神気というのを分けて頂いてるそうだし、私もほんの少し。翔平も……それで、皆さんのお手伝いができるのなら構わないし、本当に気にしないで、ね?」

「は、はい。う、うどんですよね。何のうどんにするのですか?」

「そうねぇ。おだしはこれを使うとして、蒲鉾にワカメにネギ。お揚げにするか揚げ玉にするか……石長さんはどちらが好き?」

「私はいつも山菜うどんばかりで……」

「水煮もないのよねぇ……。そうだわ、玉子も落として具沢山にしちゃいましょうか」


※※※※※※

気になるので、こっそりと台所に見に行くと、石長さんが婆ちゃんに謝っているところで、聞かない方がいいと思ったが、なんだかんだと、迦具土と兄も聞き耳をたて、祖父のところに戻ってから聞いた話をすると、「やはり自分のせいと思っていたのだろう。だからそれを気に病んで余計に体調が戻らなかったのかもしれないな」

そう言われて、前から結構気を使いすぎたり、気にしすぎたりするところがあったなと思い出して、兄にどう接すれば良いのかと聞くと、「普通でいいんじゃないか?」と呑気な言葉が帰ってくる。

「翔平、こちらが気にしてたら、石長もゆっくり出来ねーだろ?それより俺は、昼飯がすっごく心配だ」

「なんで?普通のうどんだよ?多分……」

「だといいんだが、ほら、婆さんはたまに迷うと、こんなにも?って位具を入れるだろ?うどんが延びちまう」

「あー!やっぱり俺行ってくるよ」

台所に行き、普通のうどんでいいと言う前に見たものは、戻された大量のわかめ!

「婆ちゃん……わかめ戻しすぎ……」
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