八百万の学校 其の弐

浅井 ことは

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石長比売の決断

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襖を閉めて祖父母と兄のいる部屋に戻ると、お茶を入れてくれたのでそれを飲みながら、迦具土が話をしてくれるのを待つ。

「___純平。お前に頼みがある」

「何だ?」

「石長が目を覚ましたら、必ず神気のことを話してくる。何を提案されても聞かないで欲しい」

「わかった」

「ちょ、兄貴!分かったって、何もわからないじゃん」

「いいんだ。迦具土は遠回しに上手く話したりするような性格じゃないだろ?それを頼んでくるってことは、石長さんにとってあまりいい話じゃないと思うんだ」

「そうだ。どう話せばわかりやすいかとか俺は苦手だし……今の純平の中にある神気は安定してきてるし問題もないと思うが、今の少しずつ神気を石長に戻す方法では回復は遅い。だが効果はあるんだ……それをあいつは、要らんと言おうとしてる。少しでもお前の負担にならんようにな」

「気にしなくていいのに……」

「迦具土、さっき聞こえたんだけど、神の国って何のこと?」

迦具土が話そうとしては口篭るので、話してくれるのを待っていると、「今夜の晩飯はなんだー?」と呑気な声が庭から聞こえてくる。

玄関から来いよ!

大国さん……

「大国さん、玄関て知ってます?」

縁側で靴を脱いでいる大国さんに言うと、「知っておるわ!」と返事が来るものの、ポイポイっと本当の子供らしく、靴を脱ぎ捨てて上がってくるが、お茶とお茶請けを見て、早速手を伸ばそうとしたところをパチン__と祖母に手を叩かれて、手洗いうがいに連れていかれる。

こんなこと出来るの、婆ちゃんくらいだよな……

大国さんの分の麦茶を入れるついでに洗面所を見ると、踏み台に乗って手首までしっかりと洗わされている大国さん。

戻ってきた時には、もう食べてもいいか?と祖母に聞いている素直さ。

話さなかったら可愛いのに……

「この、のり塩芋はいつもながら美味いな」

「ポテトチップスって言うんですよ。いろんな味があるんですけど、今日は兄貴もいるから開けただけで普段はあまりおやつ的に出ませんから」

「え?じゃあ、毎週食べられるのか?だったら次は違う味がいい!」

「分かりました。来週はあられ入れておきます」

「何でだ!!!」

「大国さん、石長さんなんだけど……」

「あ、俺がこっちにこさせた。余りにも煩いんでな。先に神気を取ってもいいか?」

「あ、どうぞ」

またも小瓶とハンカチが用意され、小瓶いっぱいに神気が溜まったところで、「やってみろ」と大国さんが兄にハンカチを渡している。

「お前が端っこを持つ。石長が反対側を持つ。これで繋がるんだが、お前から石長に気を送るイメージって分かるか?それが出来れば、純平から直接渡すことが出来る」

「でも量って見えないから、その加減はどうなるんだ?」

「そうだな……最初は小瓶に移せばいい。慣れてきたら溜まるまでの時間を数えて、その数えた分だけ石長に与えればいいんだが……」

「石長はまだ文句を言ってるぞ?純平の言うことなら聞きそうだが、今回はそのやり方は無理だろう」

「迦具土が言ってたやつ?全部まだ聞いてないんだけど……」

そう言うと、ポテチを手に持ちながら大国さんまで口ごもってしまう。

そんなに良くないことなのだろうか?
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