八百万の学校 其の弐

浅井 ことは

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神気と力

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「翔平の覚えていることは何か。それをひとつずつ上げてみてはどうじゃ?」

「えっと、手洗いうがい、早寝早起き、挨拶。悪いことをしたら謝るとか、ご飯は残さず……あ!」

「分かったようじゃな?」

「婆ちゃんが、それぞれ米を作る人や魚を捕る漁師の人、みんなに感謝して食べなさいって。自然のものでも勝手に生えてくる訳じゃなく、必要な分だけ採り、自然の恵みに感謝してってこと言ってました」

「その通り。だから、翔平の祖母殿のご飯は美味しいし、愛情をとても感じる。多分、天狗という儂が何を食すのか分からないから、いろんなものを沢山入れてくれてるのであろうな」

「普通のことなんだけど、言われるまでほんとに出てこなくて」

「その為の頂きますとご馳走様なんじゃよ」

「なるほど……」


普通のことなのに、当たり前に食べていて、時折言われたことを忘れてしまうことがある。

頂きますという言葉、ご馳走様という言葉に感謝の気持ちを込める。

いつも言われてたことなのに。

それに婆ちゃんは、お華の先生だが、花を雑に扱ったことなどない。
それも、自然が与えてくださったもの。と言っていた……

「儂らは山で暮らしておる。自然のキノコや山菜、川の魚。時に兎や豚など、命を頂いている。その事に感謝し食す。その事が言いたかったのだが、説明はやはり難しいものよの」

「婆ちゃんが言ってたことと同じだ」

「なので、今日、家を掃除した時に『気持ちいい』と言ったのを聞いて、良かったと思うた」

「え?」

「家も生きておる。掃除をし、雨風しのげていることに感謝をし、大切に扱っておれば家は長く栄え、長持ちするが、放ったらかしにしておいたら家は朽ちる」

「全てのことに感謝をしなくてはいけないと言うことですか?」

「気持ちじゃよ」

「はい」

「こう言ったことを若者に言うても、今の暮らしはとても便利で楽じゃし、わからないかもと思っておったが……良い祖父母殿を持ったの」

素直に、祖父母を褒められると嬉しい。

だが、気になることがひとつ。

天狗って顔が赤いんじゃないのか?

普通に日焼けした人に見えるのは俺だけだろうか?

それを聞こうかどうか迷っていると、「み、水を頂けませんか?」と八咫烏が入ってきたので、扉を開けて、中にちゃんと入ったのを確認して閉める。

よくこんな重い戸を羽で開けたな……

水を入れて、どう飲んでもらえばいいんだろう?と見ていると、深めのお皿から上手に飲んでいる……多分!

「はぁ、生き返りました」

「あ、あの、ご飯は……」

「なにか残ってますか?」

残っているのは卵焼きとウインナー位のものだと言うと、いただきますと言うのでお皿に乗せて渡すと、嘴で上手くつつき食べているが、いつも見ている鴉と違いなんだかお上品。

迦具土が一度家に戻ると言ったので、夜にも水筒が欲しいと頼んで、無くなったお皿を下げるが、何を話せと言うんだ?

誰か助けてくれ!
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