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風の地
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ブランがご飯を食べ終えた所で幌をずらし、御者台の二人に声をかける。
「後ろ大丈夫みたいだけど、次の街までどのくらい掛かる?」
「今、結構飛ばしてますが、これから風も強くなります。お昼の休憩を短くしても二日はかかるので、奏太様はゆっくりしていて下さい」
「でも……」
「私達は大丈夫ですよ。それにだいぶと風がきつくなってきましたので、敵もこないかと思います」
「うん」
出していた顔を中に戻し、火にあたる。
魔法で凍らせていたカレーの入った鍋を取り出し、解凍しろと念じてみるもなにも起きないので、お昼休憩まで続けることにした。
その甲斐あってか、やはり何をどうしたのか全くわからないが、カレーが解凍されたので、続けて鍋に水と米を入れて、中の火でお米を炊く。
お昼休憩の時には、二人に驚かれてしまったが、作る手間もなく食事が済んだので、早く出発できることになったが、風がきついので、夜過ごせる場所を探すのが先決だと言われ、後ろからも確認しながら進んでいく。
二人の見逃しだろうか?
左手の岩に隙間があったので、すぐにそのことを伝え、岩穴に向かって進むと、入口は狭いが荷犬車もなんとか通れそうだったので、そこで一晩過ごすことにし、荷台から降りる。
「風も入らないから何か暖かいね」
「そうですね。前から見ているとやはり風の強さで視界が奪われてしまうので。これで犬達もゆっくり休ませてあげられますね」
「うん。ここって洞窟ではないよね?天井も吹き抜けみたいになってて、なにか住んでたのかな?」
「その様です……下がっていてください」
ニコルが剣を抜いて前に行き、ノアが俺とブランの前に立つ。
「何がいるの……?」
かなり高い位置に複数の目がある。
想像したくないが、だんだん見えてくる姿に鳥肌が立っていた。
「ブラン、ポケットに入ってろ」
そう言って、自分も魔法で剣を作り握る。
この前戦った時に、ニコルが俺の剣の技は切りたいものだけ切ると言っていた。
それなら後方から鎌鼬を放っても問題は無いはずだ。そう考えて今もてる最大の力で剣を振る。
大きな鎌鼬が洞窟の岩まで削ぎながら化物に向かって飛んでいく。
丁度、真ん中あたりにあたり、予想していたものが落ちてくる。
蜘蛛の足__
「お手柄です!」と、二人が駆け出して仕留める。
「奏太様、よく思いつきましたね」
「前にニコルさんが、俺の剣は味方は傷つけないって言ってたから……って言うより俺、蜘蛛大っ嫌いなんだけど……」
「そうでしたね。ですが、あの蜘蛛の爪は採取しておきませんと」
「材料か……仕方ないな」
蜘蛛に近づき改めてみると、かなりデカイ。それも身体中毛だらけで、足の1本1本まで毛に覆われている。
「後ろ大丈夫みたいだけど、次の街までどのくらい掛かる?」
「今、結構飛ばしてますが、これから風も強くなります。お昼の休憩を短くしても二日はかかるので、奏太様はゆっくりしていて下さい」
「でも……」
「私達は大丈夫ですよ。それにだいぶと風がきつくなってきましたので、敵もこないかと思います」
「うん」
出していた顔を中に戻し、火にあたる。
魔法で凍らせていたカレーの入った鍋を取り出し、解凍しろと念じてみるもなにも起きないので、お昼休憩まで続けることにした。
その甲斐あってか、やはり何をどうしたのか全くわからないが、カレーが解凍されたので、続けて鍋に水と米を入れて、中の火でお米を炊く。
お昼休憩の時には、二人に驚かれてしまったが、作る手間もなく食事が済んだので、早く出発できることになったが、風がきついので、夜過ごせる場所を探すのが先決だと言われ、後ろからも確認しながら進んでいく。
二人の見逃しだろうか?
左手の岩に隙間があったので、すぐにそのことを伝え、岩穴に向かって進むと、入口は狭いが荷犬車もなんとか通れそうだったので、そこで一晩過ごすことにし、荷台から降りる。
「風も入らないから何か暖かいね」
「そうですね。前から見ているとやはり風の強さで視界が奪われてしまうので。これで犬達もゆっくり休ませてあげられますね」
「うん。ここって洞窟ではないよね?天井も吹き抜けみたいになってて、なにか住んでたのかな?」
「その様です……下がっていてください」
ニコルが剣を抜いて前に行き、ノアが俺とブランの前に立つ。
「何がいるの……?」
かなり高い位置に複数の目がある。
想像したくないが、だんだん見えてくる姿に鳥肌が立っていた。
「ブラン、ポケットに入ってろ」
そう言って、自分も魔法で剣を作り握る。
この前戦った時に、ニコルが俺の剣の技は切りたいものだけ切ると言っていた。
それなら後方から鎌鼬を放っても問題は無いはずだ。そう考えて今もてる最大の力で剣を振る。
大きな鎌鼬が洞窟の岩まで削ぎながら化物に向かって飛んでいく。
丁度、真ん中あたりにあたり、予想していたものが落ちてくる。
蜘蛛の足__
「お手柄です!」と、二人が駆け出して仕留める。
「奏太様、よく思いつきましたね」
「前にニコルさんが、俺の剣は味方は傷つけないって言ってたから……って言うより俺、蜘蛛大っ嫌いなんだけど……」
「そうでしたね。ですが、あの蜘蛛の爪は採取しておきませんと」
「材料か……仕方ないな」
蜘蛛に近づき改めてみると、かなりデカイ。それも身体中毛だらけで、足の1本1本まで毛に覆われている。
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