天満堂へようこそ 4

浅井 ことは

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風の地

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ブランがご飯を食べ終えた所で幌をずらし、御者台の二人に声をかける。

「後ろ大丈夫みたいだけど、次の街までどのくらい掛かる?」

「今、結構飛ばしてますが、これから風も強くなります。お昼の休憩を短くしても二日はかかるので、奏太様はゆっくりしていて下さい」

「でも……」

「私達は大丈夫ですよ。それにだいぶと風がきつくなってきましたので、敵もこないかと思います」

「うん」

出していた顔を中に戻し、火にあたる。
魔法で凍らせていたカレーの入った鍋を取り出し、解凍しろと念じてみるもなにも起きないので、お昼休憩まで続けることにした。

その甲斐あってか、やはり何をどうしたのか全くわからないが、カレーが解凍されたので、続けて鍋に水と米を入れて、中の火でお米を炊く。

お昼休憩の時には、二人に驚かれてしまったが、作る手間もなく食事が済んだので、早く出発できることになったが、風がきついので、夜過ごせる場所を探すのが先決だと言われ、後ろからも確認しながら進んでいく。

二人の見逃しだろうか?
左手の岩に隙間があったので、すぐにそのことを伝え、岩穴に向かって進むと、入口は狭いが荷犬車もなんとか通れそうだったので、そこで一晩過ごすことにし、荷台から降りる。

「風も入らないから何か暖かいね」

「そうですね。前から見ているとやはり風の強さで視界が奪われてしまうので。これで犬達もゆっくり休ませてあげられますね」

「うん。ここって洞窟ではないよね?天井も吹き抜けみたいになってて、なにか住んでたのかな?」

「その様です……下がっていてください」

ニコルが剣を抜いて前に行き、ノアが俺とブランの前に立つ。

「何がいるの……?」

かなり高い位置に複数の目がある。
想像したくないが、だんだん見えてくる姿に鳥肌が立っていた。

「ブラン、ポケットに入ってろ」

そう言って、自分も魔法で剣を作り握る。

この前戦った時に、ニコルが俺の剣の技は切りたいものだけ切ると言っていた。
それなら後方から鎌鼬を放っても問題は無いはずだ。そう考えて今もてる最大の力で剣を振る。

大きな鎌鼬が洞窟の岩まで削ぎながら化物に向かって飛んでいく。

丁度、真ん中あたりにあたり、予想していたものが落ちてくる。

蜘蛛の足__

「お手柄です!」と、二人が駆け出して仕留める。

「奏太様、よく思いつきましたね」

「前にニコルさんが、俺の剣は味方は傷つけないって言ってたから……って言うより俺、蜘蛛大っ嫌いなんだけど……」

「そうでしたね。ですが、あの蜘蛛の爪は採取しておきませんと」

「材料か……仕方ないな」

蜘蛛に近づき改めてみると、かなりデカイ。それも身体中毛だらけで、足の1本1本まで毛に覆われている。
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