天満堂へようこそ 4

浅井 ことは

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魔界城

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「天界はやっぱりお花畑にってイメージあるけど……」と話した瞬間、チクッと頭が痛くなったのをノアがすぐに気づいてくれる。

「奏太様……」

「痛むのか?」

「ちょっとチクッとしただけ」

「なぁ、結月。やっぱり天界で休憩した方がいいんじゃないか?」

「それが一番いいんだが、奏太は早く帰りたいらしいし、魔界もそのうち落ち着くだろ?その後ゆっくり天界に行かせたらいいかなと思ってはいるんだが」

「俺、家に帰りたい……でもこの痛み、前の時計塔の時とよく似てて……」

たったそれだけしか言わなかったのに、ベッドに横になれだの、熱はないかだの大騒ぎされる。

「いいってば!」

「に、荷台は破壊するなよ?」

「もー!しないよ。外みていい?」

幌をすこし避けると、まだ洞窟内部だったが、何かで位置がわかったのか、出口だとルーカスがおしえてくれた。
抜けた先の目の前には大きな城。

たしかに不気味といえば不気味だが、存在感がすごく、無駄なものが一切ない要塞にも見えた。

少しまだ頭が痛かったので、ゆっくりと深呼吸して座り、残りのコーヒーを飲む。

「大丈夫か?今から裏門に入ったら、いる荷物だけ持って中に入るから、お前横になれ」

「うん……」

「親父には上手くいっておくから平気だから……っと着いたな」

荷台が止まり、先にルーカス達が降りる。
その後に続いて降り、中から必要な物だけだし、後は兵に任せる。

結月は慣れているのか、麻袋に入れた薬と鍋をいくつかに分けて転送させ、ブランに元の姿に戻るように言っている。

「お、お鍋にしない?食べない?」

「食べんわ!奏太を乗せてくれ」

「あ、はい」

「歩けるからいいよ」と断っていると、扉から一人の女性が飛び出してきた。

背が高くとてもスタイルのいい長身の女性ではあるが、服装が胸元を大胆に出したドレスなので、目のやり場にこまる。

「ニコルー!」と走っていってニコルに抱きつく。

すぐ側に居たルーカス以外がみんな驚いて見ているしかなかったが、女性は大胆にもニコルに飛びつき、首に手を回しながら濃厚なキスをしている。

「まだ王子とお客人がいるんだから離しなさい」

「んふ、照れちゃって。いいわ、今だけ離れてあげる」

「に、ニコルさん?」

「どなたですか?」

「婚約者のエマです」と紹介されるが、あまりにもさらっというので気が抜けてしまった。

「へえ、婚約者なんだ……って、ええ?」

「はい。エマ挨拶を」

「初めまして姫様、王子様。婚約者のエマです」と綺麗なお辞儀をするが、胸がこぼれ落ちそうでそちらにばかり目がいってしまう。

「ニコル、お前言ってなかったのか?」

「聞かれなかったので。それに、バカ王子がしっかりしないから、こちらは色々お預けで困ってるんですが?」
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