65 / 71
魔界城
.
しおりを挟む
「天界はやっぱりお花畑にってイメージあるけど……」と話した瞬間、チクッと頭が痛くなったのをノアがすぐに気づいてくれる。
「奏太様……」
「痛むのか?」
「ちょっとチクッとしただけ」
「なぁ、結月。やっぱり天界で休憩した方がいいんじゃないか?」
「それが一番いいんだが、奏太は早く帰りたいらしいし、魔界もそのうち落ち着くだろ?その後ゆっくり天界に行かせたらいいかなと思ってはいるんだが」
「俺、家に帰りたい……でもこの痛み、前の時計塔の時とよく似てて……」
たったそれだけしか言わなかったのに、ベッドに横になれだの、熱はないかだの大騒ぎされる。
「いいってば!」
「に、荷台は破壊するなよ?」
「もー!しないよ。外みていい?」
幌をすこし避けると、まだ洞窟内部だったが、何かで位置がわかったのか、出口だとルーカスがおしえてくれた。
抜けた先の目の前には大きな城。
たしかに不気味といえば不気味だが、存在感がすごく、無駄なものが一切ない要塞にも見えた。
少しまだ頭が痛かったので、ゆっくりと深呼吸して座り、残りのコーヒーを飲む。
「大丈夫か?今から裏門に入ったら、いる荷物だけ持って中に入るから、お前横になれ」
「うん……」
「親父には上手くいっておくから平気だから……っと着いたな」
荷台が止まり、先にルーカス達が降りる。
その後に続いて降り、中から必要な物だけだし、後は兵に任せる。
結月は慣れているのか、麻袋に入れた薬と鍋をいくつかに分けて転送させ、ブランに元の姿に戻るように言っている。
「お、お鍋にしない?食べない?」
「食べんわ!奏太を乗せてくれ」
「あ、はい」
「歩けるからいいよ」と断っていると、扉から一人の女性が飛び出してきた。
背が高くとてもスタイルのいい長身の女性ではあるが、服装が胸元を大胆に出したドレスなので、目のやり場にこまる。
「ニコルー!」と走っていってニコルに抱きつく。
すぐ側に居たルーカス以外がみんな驚いて見ているしかなかったが、女性は大胆にもニコルに飛びつき、首に手を回しながら濃厚なキスをしている。
「まだ王子とお客人がいるんだから離しなさい」
「んふ、照れちゃって。いいわ、今だけ離れてあげる」
「に、ニコルさん?」
「どなたですか?」
「婚約者のエマです」と紹介されるが、あまりにもさらっというので気が抜けてしまった。
「へえ、婚約者なんだ……って、ええ?」
「はい。エマ挨拶を」
「初めまして姫様、王子様。婚約者のエマです」と綺麗なお辞儀をするが、胸がこぼれ落ちそうでそちらにばかり目がいってしまう。
「ニコル、お前言ってなかったのか?」
「聞かれなかったので。それに、バカ王子がしっかりしないから、こちらは色々お預けで困ってるんですが?」
「奏太様……」
「痛むのか?」
「ちょっとチクッとしただけ」
「なぁ、結月。やっぱり天界で休憩した方がいいんじゃないか?」
「それが一番いいんだが、奏太は早く帰りたいらしいし、魔界もそのうち落ち着くだろ?その後ゆっくり天界に行かせたらいいかなと思ってはいるんだが」
「俺、家に帰りたい……でもこの痛み、前の時計塔の時とよく似てて……」
たったそれだけしか言わなかったのに、ベッドに横になれだの、熱はないかだの大騒ぎされる。
「いいってば!」
「に、荷台は破壊するなよ?」
「もー!しないよ。外みていい?」
幌をすこし避けると、まだ洞窟内部だったが、何かで位置がわかったのか、出口だとルーカスがおしえてくれた。
抜けた先の目の前には大きな城。
たしかに不気味といえば不気味だが、存在感がすごく、無駄なものが一切ない要塞にも見えた。
少しまだ頭が痛かったので、ゆっくりと深呼吸して座り、残りのコーヒーを飲む。
「大丈夫か?今から裏門に入ったら、いる荷物だけ持って中に入るから、お前横になれ」
「うん……」
「親父には上手くいっておくから平気だから……っと着いたな」
荷台が止まり、先にルーカス達が降りる。
その後に続いて降り、中から必要な物だけだし、後は兵に任せる。
結月は慣れているのか、麻袋に入れた薬と鍋をいくつかに分けて転送させ、ブランに元の姿に戻るように言っている。
「お、お鍋にしない?食べない?」
「食べんわ!奏太を乗せてくれ」
「あ、はい」
「歩けるからいいよ」と断っていると、扉から一人の女性が飛び出してきた。
背が高くとてもスタイルのいい長身の女性ではあるが、服装が胸元を大胆に出したドレスなので、目のやり場にこまる。
「ニコルー!」と走っていってニコルに抱きつく。
すぐ側に居たルーカス以外がみんな驚いて見ているしかなかったが、女性は大胆にもニコルに飛びつき、首に手を回しながら濃厚なキスをしている。
「まだ王子とお客人がいるんだから離しなさい」
「んふ、照れちゃって。いいわ、今だけ離れてあげる」
「に、ニコルさん?」
「どなたですか?」
「婚約者のエマです」と紹介されるが、あまりにもさらっというので気が抜けてしまった。
「へえ、婚約者なんだ……って、ええ?」
「はい。エマ挨拶を」
「初めまして姫様、王子様。婚約者のエマです」と綺麗なお辞儀をするが、胸がこぼれ落ちそうでそちらにばかり目がいってしまう。
「ニコル、お前言ってなかったのか?」
「聞かれなかったので。それに、バカ王子がしっかりしないから、こちらは色々お預けで困ってるんですが?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
28
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる