🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第3部『Chaos Surrounding the World(世界を取り巻く混沌)』

第21話『The blue girl who brought the wind(風を連れて来た蒼き少女)』 A Part

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 一応己の御使いである学者ドゥーウェンからマーダへ届いた忠告。

「──サイガン……フフッ、貴方の弟子ドゥーウェンからの連絡。精々せいぜい楽しませて頂くよ」

 ぶれない余裕面を創造主サイガンマーダルイス寄越すよこす。未だ半裸の姿、如何いかにも剣に長けた騎士の全身に行き渡る確かな肉付き。

 母国旧イタリアの遺跡、神々を石像の様な美麗びれいぶりだと今さら感じた老人サイガン同性の裸体、増してや人が創造した神話なんぞに興味未練湧かない抱かない

 何しろ新しき依り代人種の創造主になる夢を自覚している男だ。依って他人神話の創った神なぞすべからず偽物夢物語なのだ。

「本気の片鱗へんりんを示すか……正直余り良い趣味とは思えんがな、人の形を真似た木偶巨人など……」

 苦虫食いつぶした顔で視線を合わせぬサイガン・ロットレン。
 巨人の真実を見透かしているらしい物言い。

 これを聴いたマーダルイス、冷笑でなく珍しく噴き出しひざすら叩いた。

「これはこれは……いや失礼。まさか最初の模倣者もほうしゃである貴方からそんな言葉が飛び出すとは……」

 マーダ、失笑しっしょうから憫笑びんしょうへ移り変わる緩み笑いを抑え切れぬ態度。
 自由意志を抱いた自分を最初の人造人間アンドロイドとして構築したの台詞とは思えなかった。

「──フォウ。僕のフォウ・クワットロ、良い加減、君の綺麗な顔を出すんだ。僕の正体を君が知った処で何もしやしないさ。寧ろむしろ此方僕達を認めて欲しいくらいだ」

 ビクッ!

 シーツに包まり続け寝床ベッドの一部と化したフォウが不意に呼ばれ動揺どうようの色が
 見知らぬ老父サイガン敬愛けいあいする神の会話がはずんでいた様子に、自分は忘れ去られた存在だと気が緩んでいた。

 シーツをバスローブが如く身体に巻き付け、躊躇いためらい帯びた感じでゆっくり起き上がった黒側最強の女魔導士。
 未だ泳ぐ琥珀色こはくいろ瞳孔どうこう。巻いたシーツがかえって身体のラインを際立きわだたせる。

 ──ほぅ……。まるであつらえた様に似合いの白だな。

 その姿に老父は己の中に秘めた男の感受が沸き立つのを感じた。白一色のシーツがまるで古代ローマ女性の正装ぺパルを彷彿ほうふつさせた。

「こ、こんな姿の無礼をどうか御容赦ごようしゃ下さいサイガン・ロットレン

 さも恥ずかしげなフォウの立ち振る舞い。する礼節れいせつを重んじたい処だが着崩れきくずれするのを恐れていた。

「此方こそ若者達のを邪魔した無礼を赦して欲しい」

 彫刻美なマーダの裸体を見た直後の掌返してのひらがえし
 サイガンは、弟子が連れ添う美麗過ぎる人形ベランドナより、常日頃に潜む現実が御好みらしい。年寄りらしい美学と言えよう。

「フフッ……御老人サイガンの顔つきがあからさまに変わったじゃないか。女好きの性分しょうぶんは300年寝た処で治せないだね」

 自分の女相手に目つきを変えた老人をマーダルイスが『病気』と嘲るあざける。彼とて本音はちょっぴり嬉しいのだ。

「何を言うか若造、あらゆる奇跡人生が生み出した美の造形女性の姿胸躍るむねおどるのだ。年齢の制限など関係なかろう」

 れた泉に思えた老人の口から流れる水が如く女性フォウの美をたたえる台詞が溢れあふれ出る。

「そ、それ以上はどうかご勘弁かんべんを……」

 フォウ・クワットロ、『綺麗や美しいなどとめられるのは慣れておりません』と逃げたくて仕方がない。

 でしっとり濡れた黒髪を揺らしながら、気がへ嫁入り挨拶あいさつ妄想もうそうさえ抱いた自分を心底恥じた。隠れてる所すら真っ赤に燃やした身をよじらせる。

 せめて朱色の顔を埋めたいのだが、シーツを押え続けなければ最悪全裸羞恥しゅうちが訪れるやも知れぬ。だからこれ以上如何どうにもならない。

 ──此方にも部品が在るのではあるまいか?

 やはり早計そうけい過ぎるの深読み。思い描けなかった計略けいりゃくが降って湧くのを感じた。

 ◇◇

 バシュッ──密閉した空気が自由を求め噴き出した音。

「ジェリド・アルベェラータだ。微力びりょくながら助太刀すけだちに来たッ!」

 セスナ軽飛行機レバーを引き、良く通る声で己の存在を証明するジェリド。実に堂々とした振舞い。蒼き地中海の浅瀬あさせに白きよろいが揺らいで映る。

「感謝する、我はラオ守備隊の副団長プリドール・ラオ・ロッソだ。そのまま海に降りては折角せっかく装備剣鎧が台無しに為る。迎えのボートを用意させるゆえ暫ししばし待たれよッ!」

 ジェリドと等しい全身鎧フルメイルのプリドール。

 此方は海の青に漁火いさりびを浮かべた様な赤一色の出で立ち。
 元フォルデノ王国聖騎士団団長におとらぬ凛々りりしく出迎え。赤いシャチの異名を受け答えのみでせた。

「……森の天使にエドルを救った殿まで居やがる。随分御大層ごたいそう救援きゅうえんだぜ」

 セスナ軽飛行機の窓から覗きのぞき見えた若過ぎる英雄ヒーロー達。青い鯱ランチア辟易へきえきした態度を隠す気がない。『光で逃げ出す巨人如きに大袈裟おおげさ……』もうひとつ在る。

 ──暗黒神をやっつけた英雄ヒーロー女傑ヒロイン。そんなもんアテに為んのかよ?

 此方がランチアの本音。『どうせ尾ひれが付いた話じゃねえの?』これ迄誰独りとして敵わなかった相手神様に黒星を付けた若き男女。

 うわさ鵜呑みうのみにする程、ラオ守備隊団長は、おめでたい思考の持ち主ではないのだ。
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