🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第3部『Chaos Surrounding the World(世界を取り巻く混沌)』

第28話『Repeated sad resentments(繰り返される哀しき怨嗟)』 B Part

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 フォルテザ市街で行われたローダ・ファルムーンの謎めいた能力の調査。
 実施報告はフォルデノ城を根城ねじろとするマーダルイス達へも報告済。

 なれど結果報告迄は結局の処、成されなかった。

亮一りょういち……ただの開発者Programmer開発System設計者Engineerに本気で盾突くたてつくつもりか。増長ぞうちょうはなはだしき愚か者めが」

 怒りに打ち震える白髪の老人、サイガン・ロットレン。
 嘗てかつて弟子として、友として自由意志を持ち得た人工知能開発を共に歩んだ最大の功労者こうろうしゃ土壇場どたんば謀るはかる裏切り行為。

 それを尻目しりめに黒づくめのマーダルイスは苦笑を禁じ得ない。
 所詮しょせん似た者同士のいがみ合いにしか思えぬ。開発者と設計者、何れが欠けても何も成し得ぬただの人間に成り下がるのみ。

「まあ確かに候補者に最も近しいともくされる人物を独占されるのは面白くないけどね」

 やれやれといった風体ふうていで首すくめるマーダルイスの失笑。
 双方片手落ちで夢追う本質見失った現実主義者リアリスト悲観主義者ペシニストに落ち往く様は見るにえない。

「だけど彼の考えも決して支持出来なくもない。僕等は誰よりも迅速じんそくに候補者の能力を見極めなければ世界のに押しつぶされるんじゃないか?」

 ──世界の物量……?

 マーダルイスから発せられた呆れあきれ声に黒い魔導士のローブ姿へNo4の女魔導士、フォウ・クワットロが意味を解せず琥珀色こはくいろの瞳とまゆひそめた。

 先進都市フォルテザ、三柱みはしらの神々。
 何より魔導を独り占めしているアドノスAdon・North脅かすおびやかす新勢力が出現するとは想像が及ばない。

「フォウ……君はこの老人が犯した禁忌きんきをもう忘れたのかな?」

 フォウの意識を読心したかの如きマーダルイスから耳元でのめる様な甘い囁きささやき。突然背後から意識盗まれ息飲むフォウの戦慄せんりつ

「世界中にくまなくばらいた人工知性体積んだナノマシン達。それらに身体中をされ尽くした人間達」

「あ、嗚呼……」

 古惚けふるぼけ陽に焼けた地球儀を回しながらほくそ笑むマーダルイスかんづいたフォウを吸血鬼ヴァンパイア真祖しんそが如き黒いマントでからだ毎包み込み愉悦ゆえつ微笑びしょうたたえた。

 依り代よりしろである人間の意識と人工知性体ナノマシン達融合果たし互いを認め合いの異能を取得する可能性は世界中に存在し得る。

 背筋が凍る思いに駆られたフォウ、マーダルイス眷属けんぞくじみた様子で我が身を預けた。

「この私が造り上げた物を好きにされるのは実に不愉快ふゆかいだが間違いなかろう。其れそれが小細工した処で大気使いザラレノが刺した針で此方こちらにも筒抜けつつぬけだからの」

 自分がいた種を自身で刈り取らねばならぬ面倒に皺顔しわがおしかめるサイガンおきな
 吉野亮一から裏切られた嫌な気分を本名で呼ぶ行為を捨て去る事で表現する大人気おとなげなさ。

 争いの最中、ザラレノ・ウィニゲスタがローダへ飛ばした殺し道具でない針。
 生体検査スキャン程ではないがあの針が刺さった者を調べる事が可能。
 寄ってザラレノは目的を完璧にげていたのだ。

 ドンドンドンッ!!

「何じゃ? 随分ずいぶnさわがしいのぅ……」
「いやいや、貴方が初めて此方へお見えになられた時はもっと酷かったよ」

 フォルデノ城・王の間の誇大こだいな両開き扉を激しく叩く音。
 如何いかにも不快な顔を其方そちらへ向けるサイガンだがマーダルイスが苦笑混じりにたしなめた。

「開いているよ、入りたまえ」

 またもやマーダルイス
 城を守護出来ない御飾りの兵士相手に丁寧ていねい過ぎてフォウは正直気色悪さを感じる。昔のマーダ様なら決して在り得なかったその態度に。

「申し上げますッ! 『バラタバザル旧インド領』ビクトリア記念堂にて巨大なを観測致しました!」

 ピクリッ。

 ──爆発?

「旧インド領……この辺りかな。確か旧イギリスのビクトリア女王に因んだちなんだ建造物。先住民バラタ族屈辱くつじょくの象徴。吹き飛ばすとは判り易いやすい宣伝アピールだね。死傷者数甚大じんだいって処かな?」

 この建造物に限らず世界中のあらゆる文明秘めた遺跡群は、連合国軍が300年前に粛清しゅくせいと称して葬りほうむり去った。
 爆発、ありふれた攻撃手段であるにも関わらず心から慕うしたうマーダルイスからだが揺れ動いたのを認識したフォウ。知ってはならぬ心根本心を直感した気分。

 マーダルイスが『旧インド領』と語りながら300年以上昔の地球儀を転がし指差す。死傷者数は特段気に止まない意味を持たぬどうでも良い捨て台詞。

「そ、それが……爆破から死者処か傷を負った者は独りとして報告を受けておりません」

 報告する兵士の面構えがまるで己自身が爆弾魔主犯格が如き震えを帯びた声で応答するのだ。

「ほぅ?」

 感心なかった話が拡がり往くのを聞き及び興味抱いたマーダルイスの顔。
 サイガンも途端とたん傾聴けいちょうし始める。
 兵士が伝聞でんぶんした『爆発』一見無駄遣いな言葉遊びに聴こえる発言。

「それってまさかしてないよねぇ……」

「ウグッ!?」

 胸倉むなぐらつかむ者など見えぬのに不自然に吊られた浮かんだ兵士。彼自身が死刑囚が如き様で涙にじませながら全身揺らして狼狽うろたえる。

 マーダルイスの問いの正否がまるで判別不能。声にならぬ叫びで『殺さないで!』と必死なのだ。
 マーダルイス体温脈拍感じる背中が凍結する思いで様子見つめるフォウの顔が引き攣るつる

 ドサッ! 拉致らちあかぬ兵士を諦めあきらめ床へ落した音響く。

「あ、ごめんごめん。別に驚かせるつもりはなかったんだよ、君が面白い事を言うからつい興奮しちゃってさ。フォウもびっくりさせて済まない」

「あ、い、いえ……」

 フォウを胸に抱いたままの姿で兵士へ冷たき笑顔を寄せるマーダルイス狂気きょうき
 自分の恐怖心を見抜かれた思いのフォウが僅かわずかに謝罪の意味で目礼もくれいした。

「──で、どうなんだい? そもそも僕の言っている言葉の意味、君に理解出来たかな?」

 作り笑顔を押し付け続けるマーダルイス、恐怖の絵柄えがら

 ガバッ!

「お、仰せの通りでございますッ! 多数の人間が炸裂さくれつ! 遺体は一切残らずッ!」

 いよいよ床を這うはう感じで土下座しながら答えた兵士。彼には一切罪は無いのだ。

「あっそ……主犯格はの男かな?」

 マーダルイスの想像は正解、次なる予想を兵士に問う。

「い、いえので少女でございます。然も全身機械の様な感じで……」

 次の想定は意外にも外れた。
 まるで首謀者しゅぼうしゃを見知った感じで詰め寄るの予想が外れ、兵士も不思議な気分に我を次第に取り戻す。

「え……? あ、いや……の予想は忘れ報告を続けるのだ」

 話躱されかわされ瞬間固まるマーダの真顔、一人称『ルイス』から『マーダ』に転じた。大昔300年の記憶を辿りて外れた予想に独りのたまう。

小癪こしゃくにも堂々『バラタバザルの誇り高き民草たみくさよ、今こそ立ち上がれ。森の女神ファウナ神さえ従えた現人神あらひとがみレヴァーラの眷属けんぞく『ルヴァエル』が自由と権利をさずけようぞ』などと民衆を煽動せんどうしておりました」

 汗なのか恐怖で滲んだ涙か不明な赤絨毯あかじゅうたん垂れたれ流しながら報告を終えた兵士。漸くようやく人心地ひちここちついた様子。

 首謀者とおぼしき少女の映像見せ付けられたマーダ絶句。
 己の中に人の永劫回帰えいごうかいきに我を見失った。

 ── 第3部『Chaos Surrounding the World(世界を取り巻く混沌)』 Fin ──
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