🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第4部『Spinning world(回る世界)』

第33話『The earth-born spiral(人成す螺旋)』 B Part

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 ローダ・ファルムーンとルシア・ロットレンがひとつを成し得た真なる初夜。
 同じ頃、そんな情事じょうじ憧れあこがれ抱く赤の帽子屋アデルハイドがアドノスをひそやかに抜け出した。

 ローダとルシア──。
 遅咲おそざきなる朝を迎えたまま部屋を抜け出せず、悶々もんもんと更なるとき流れ往く。
 一体どんな顔で皆に逢うのが理想なのか。窓に映る人々の営みいとなみを横目に無駄な思考を螺旋状らせんじょうに繰り返していた二人。

 ローダは他に着替える物が無く下着とYシャツのみ、だらけた感じで寝間着代わりに着衣。
 未だルシアはバスローブ姿でローダの左腕を枕に縋りすがり続けていた。

 夜の静寂せいじゃくと朝陽昇る情熱がひとつに溶け合い、やがて光に包まれていく瞬間迄持続した恋がれた二人の触れ合い。夢の残響ざんぎょう確かめるが如く余韻よいん浸りひたり続ける。

「……それにしてもローダがあれほど踊りが巧いうまいだなんて本当ホント驚いたよ」
「あ、嗚呼……。田舎騎士といえ王族の集まりには、兄貴ルイスと一緒にお目通りを強制された名残なごりだよ」

 彼氏の胸元擦るさするルシアがを耳元で擽るくすぐる。こうした恋人達の一期一会いちごいちえいが、水の惑星地球と云う惑星螺旋DNAをそっと繋ぎ留め、静かに歩み豊かさを生む。

 これ迄恋慕れんぼ辿り着いた事無き彼の応答。ルシアとの温度差、どこか違う場所想いを連想させる。
 吐息といき混じりに語る記憶の断片だんぺん──ルシアと頬寄せほおよせ踊り明かした情熱は、未だ心の奥底で熾火おきびを燃やしているのだ。

 彼女でない女性達との踊り戯れは、まるで霧の中のまぼろし
 触れても何もてのひらに残らぬ砂の様。
 彼女だけが、ローダの人生に於ける螺旋らせんに火を宿やどした。

「俺と兄貴は腹違い母親違いの兄弟だけどな」
「え、そ、そう……なんだ」

 次いでに面倒臭さ包み隠さず語る兄ルイスとの血縁関係。
 微睡みまどろみ続けていたルシアの瞳が驚きを以って見開く。兄ルイスマーダとは瓜二つうちふたつに感じた初対面を思い浮かべた。

「あれ、俺言ってなかったか?」
「ないよぉ……と間違えてんのぉ?」

 シングルベッドの上、ローダの身体に縋りすがり付いたままの姿勢。上目遣いうわめづかいで見やるルシアの御戯れおたわむれ

 横目だけ流して適当めいた質問を流すローダへ、意地悪な質問で返す。
 もう流石にローダの女性遍歴経験ゼロ疑いうたがい余地よち無しなのは変わらぬ。これは年上のぞかす悪戯いたずら態々わざわざ喰い下がるルシアの遊び心。

「おぃ、そういうの無いって何度もだな……」
「ごめんごめん、冗談冗談。──最高に素敵すてきだったよ、貴方の踊りリード

 身体を起こし文句れようとしたローダの額を気軽に押してルシアの幸せ綻びほころびみせる顔。
 これ迄の彼女が知るローダは、口下手一辺倒いっぺんとう
 無駄な台詞を心に独り背負いせおい込む誠実せいじつさこそが彼の愛すべき処セールスポイント

 されど恋人達の契約し終えた今時分じぶん殊更ことさら彼の無駄口引き出す戯れたわむれを楽しみ続けたい心のうつろい感じていた。心躍るおどる気分を抑え切れないルシア。

 執拗いしつこい恋愛模様ながら、ルシアとて初めての男。

 昨晩恋の登山をひと山昇り切り、今は彼氏との心地好いいい会話に漂いただよい続ける。やらしい話、よりも、心がひとつに成る幸福。
 酒要らずの豊潤ほうじゅん紡ぐつむぐ語らいに酔いしれていた。

「──は、話を変えて済まない。昨夜の集会、が居るを感じた」
「えっ?」

 未だ慣れぬ恋人達のやわらかなる語らいに、正直僅かわずか電池活力途絶えたとだえたローダが不思議な台詞を告げ会話の切替え試す。

 何百と出席していたとおぼしき決起集会──。
 ローダの口がつむいだ『見知らぬ人』に金色の髪ブロンドヘアかたむけずにおれないルシア。寧ろむしろ『見知った者』が限りなくゼロに等しいのだ。

「嗚呼、そ、そうじゃないんだ。そのう…何て言うか──空気の違う客人みたいな人の存在を感じたんだ」

「空気の違う人……か」

 ローダの心持ち的には話題をすり替えたいのが正直な処。

 なれどルシアは、彼に預け切った躰を起こし、思わず深読みへと突き進む。
 ルシアの幸福論と反転するやも知れぬが、彼女の知るローダ・ファルムーンは普段無駄口を叩かぬ男。

 話の、重要な局面を決して外さぬ心の落ち着きを持ち得ると、ルシアは彼の心音心の声を身勝手にも汲みくみ取れる寄り添いそいみせゆく。

「それってさぁ……つまりを貴方が感じ取ったんじゃないの?」
「──ッ!?」

 恋人気分のに浸り切ってたルシアが見せる変遷へんせん
 ハッと息飲むローダの驚き。

「昨夜は民衆軍Resistance、マーダ勢関係なく声を掛けた集まりの筈。それにもかかわらず来て欲しくない客……」

 ブツブツ呟きつぶやき始めるローダの考察。
 恋人として距離を詰めた初日から彼氏の言葉足らずを補いおぎないし尽くすルシアの凄味すごみ

が潜んでた!」
「スパイが居たってのか!? だ、だけどそんな者の圧プレッシャーをこの俺が?」

 ローダの肩を強く揺するルシアの答え──。

 自らの眉間みけんを強く掴みつかみ昨晩の状況を整理試みるローダ。『外敵』は恐らく、ルシアに背中を押され心が先にかたむいた。だが未だ思考は、理由を追い求めている。

 バンッ!

「えッ!? ど、どしたの?」
「多分これだッ! 此処へ来る以前、俺は亡者に襲われ逃げることしか出来なかった。……あれはローマ旧イタリア領入国前、そうかッ! グリモア旧オーストリア領で感じたのと同じ違和感をあの集会で俺はッ!」

 突如とつじょローダがベッドを強かしたたかに叩いたが故、心跳ねらせ驚くルシア。
 ローダ、記憶の底に眠る亡者に襲撃され手も足も出せなかった地獄の思い出蘇るよみがえる

 そこから救い上げてくれた蒼氷の瞳アイスブルーの瞳に鋭き眼光をたたえる剣士の面影おもかげと共に。
 あのときの感覚──其れそれが昨晩不審ふしんを抱いた者と似通にかよっていたのだ。
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