🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第4部『Spinning world(回る世界)』

第35話『Black Fang Unleashed(解き放たれし黒き牙)』B Part

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 レヴァーラ・ガン・イルッゾの血縁とおぼしきルヴァエル。
 彼女の駆る候補者新人類駆逐兵器『RaviNeroラヴィネロ』がフォルテザ市の喉元のどもとへ迫る勢いみせる中、ヴァロウズの学者ドゥーウェンがフォルテザ市の迎撃システムを機能させるべく全力を注ぎ込む。

 されど人工知性体進化用意志在るAI育成用ナノマシンOS『AYAME』の開発にたずさわった天才肌の彼でさえ、そう簡単にこなせる仕事ではない。ルヴァエル側に奪取だっしゅされた仕組みSYSTEMを取り戻し新たに機能させる。
 並大抵の仕事に非ずあらず。「最低でも30分は欲しい処です」そんな冷汗弱音を吐き散らしつつ、目にも止まらぬ速さでキーボードを叩き続けていた。

 だがRaviNeroラヴィネロとフォルテザ市の間隔は1kmを間もなく切るのだ。如何どう見繕みつくろっても分の悪い賭け。

 ブオォォォォンッ! ガツンッ!! ズッガーーンッ!!

「「──ッ!?」」

 絶望しかみえぬ思いに希望の種を投じた壮絶そうぜつなる絵柄えがらがドゥーウェンとベランドナの視界へ飛び込む驚天動地きょうてんどうち

 翼のプロペラシャフトが全力運転で風切る音。
 新旧の機械同士がぶつかり合う金属音と爆発が引き起こす残響ざんきょう
 セスナ軽飛行機RaviNeroラヴィネロの横っ面に特攻ストレート、爆散し5mの巨体をただの一撃で横倒しにしてみせた不意打ち。

『な、何事……だ!?』

 RaviNeroラヴィネロ操縦席コックピットに座るだけ、ただの飾り雛かざりびなであるルヴァエルが三つ編み振って状況確認。信じ難い事実馬鹿共視界に雪崩れなだれ込む。

 地上のリング──よもやな初弾に因るよるダウン取られた黒猫の上、腕組む二人の男女が空で制止。此方を見下した態度が映る霹靂へきれき

「──俺の声が聴こえるか? に乗ってる操縦士、バルタバザルの旧インド領から来たルヴァエルだな?」
「此処から先は一歩も前に征かせないよ!」

 セスナ軽飛行機をAI任せに飛び込ませ、自分達は直前に脱出。
 マーダと争い奪った魔導、重力解放ヴァレディステラで飛ぶ英雄ローダ
 真なる風の翼を用いて空を華麗に舞う天女めいた女傑ルシア

 外敵未知睨みにらみ付け腕組み揃うそろう仁王立ち。英傑えいけつにおわす悠然ゆうぜんたる振舞い。

『ドゥーウェン、俺達英傑奇跡の薔薇の力を此処に示す。映像を世界へ流すんだ』

 腕時計型携帯端末を用い、とりでに居座るドゥーウェンへ用件を事務的に伝達するローダ。これから始まる闘争劇とうそうげきと堂々宣言。

 一昨日終えたばかりの外敵に対する集会、声で英雄ヒーローの意志。
 次は態度で体現たいげんすると言い放つ小癪こしゃく。こんな外連味けれんみだらけの彼は大変珍しい。

『ろ、ローダ君にルシアさんまで!? 生身で巨大兵器相手にどう立ち向かうのですかッ!?』

 敵の兵器がフォルテザ市を蹂躙じゅうりんする最悪を避けた事柄すら吹き飛ぶドゥーウェンの問い掛け。
 心がよろけた気分、ルシアすら勢い任せに飛び出すのは少々予想外。吉野亮一時代に鑑賞かんしょうした欧米出自の不出来な特撮映画を彷彿ほうふつさせた現実。

『貴方、私達が人型兵器の装甲まとった不死の巨人と戦う一部始終を観てたんでしょ?』

 次はルシアが学者を煽るあおる反吐へどをつく。この間、不死アンデッドの巨人と直にやり合ったローダ。苦戦いられた要因よういん、不死なる人間達がローダへ続々こぼした無念の残留思念。

 今回の敵はただの機械。負ける気などハナから勘定かんじょうに無き様子を台詞に乗せた。『私の彼氏ローダが機械相手に負ける訳ないよ、そんな事も判んないの?』痛烈なる言葉の刃。

『わ、判りました。30分……時間をかせいで下さい、この街の防衛手段を機能させると約束します。……と、処でリイナさんは、そちらに居ないのですか?』

 一蓮托生いちれんたくしょう、若さあふれる英傑えいけつ達へ任せるべく腹をくくったドゥーウェン。
 ルヴァエルがただの飾りでないのが残る懸念けねん材料、回復兼支援役の存在リイナが見当たらないのが気に掛かる。

『アルベェラータ親娘にはあずけた』

 またしても言葉足らずだが雄弁ゆうべんたるローダの伝言。
 頼り甲斐がい在るジェリドとリイナをこの場へ出さずに任せたと云う気になる『別件』
 機械任せで感知してない他の脅威きょういが存在し得る暗示謎掛け候補者新人類のみが感じた別の何か。

 これ以上、平凡へいぼんな自分が立ち入れる領域でないとドゥーウェンにも流石に知れた。

『了解です、通話を切ります。くれぐれも用心して下さい』

 ローダ達との通話を切ったドゥーウェン、一瞬横目に『僕のベランドナ』を見やる。
 ハイエルフを英傑達の援護えんごへ回す英断えいだん思い付いたが即座に止めた。ベランドナなら戦力として申し分ない。

 二人が堂々奇跡の先導者たる意志を明かすべく戦場へ自ら躍進やくしんしたのだ。やり抜いて欲しい気分芽生めばえた。

 ブンッ!!

「──ッ!」
「速いッ!」

 RaviNeroラヴィネロの右前脚の爪が右腕へ転じ、この世の物とは思えぬ巫山戯ふざけた速度でローダへ振り下ろされる。獰猛どうもう過ぎる猫じゃらし、四脚の生物が二本足へ転ずる刹那せつな

 辛くも寸でかわしたローダ貫くつらぬくAIの殺意。
 風と語り合えるルシアに走る戦慄せんりつ。風の精霊達が無慈悲むじひにも猫爪でかれた声なき断末魔だんまつまを聞いた思いに駆られた。

 パチンッ──操縦席内の声を外へ響かせるべく拡散機スピーカーのスイッチ入れるルヴァエルの悠然ゆうぜん

『ククッ……流石新しき世界のAdon創生主ようするアドレスのおさ。巨大な化け猫が神祀るまつる街を襲撃する地獄を世界へ発信リークするとは』

 16の少女とは思えぬ言動と考察──。

 生身の人間二人だけを無慈悲に断罪だんざいする黒の。実に伝わり易きやすき善悪ぜんあくの図式。ルヴァエル一派は理不尽に奪われた魂の故郷ふるさとを取り戻したいだけの正義。

 されど事情へ気回しする気ない対岸のやからは若い男女の飛躍ひやくおがめば『』を感じ、手放しで愚かへちるが関の山せきのやま

 これは苦笑禁じ得ないルヴァエルにの心情。
 見掛けの白黒だけで悪役へ堕ちる事流れことながれ堕天使ルシファーなぞ手軽に創作出来得る人の狂気きょうきを肌で感じた。

「ローダ、地上へ降りて戦うべきよ!」
「ルシア? 了解した」

 此方より遥かはるか上からかぶせて来る敵の攻勢。
 それでもルシアは地上を蹴って普段通りの動作に於ける優位性をローダへ説いた。

 未だローダが慣れぬ空を駆ける戦い方より、地上と空を自在に混ぜ合う混沌Chaosを敵へ見せ付けるべきだと瞬時に悟った。

「ハァァァッ!!」

 突然地上へ風の精霊帯びた拳を振り下ろすルシア、気が変に為ったかと思わぶりな行為。
 実は冴え渡るルシアの戦闘感覚、荒地が砂浜に化けたかの如き土煙つちけむり──候補者ローダをつけ狙うへ向けた煙幕えんまくを瞬時に錬成れんせいしたのだ。

 ドゥーウェンの手引きで早速、通信環境行き渡る場所へ生中継される戦いの図式。
 たもとを分けたフォルデノ城に潜む黒騎士マーダの記憶に留まる必然を呼んだ。
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