🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第4部『Spinning world(回る世界)』

第36話『"Ley", where the law lies("レイ",法の在処)』 B Part

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 ルヴァエル駆るRaviNeroラヴィネロが神の住まう街、Fortezaフォルテザを潰しに掛からんとする矢先。
 たった二人の生身で巨大兵器を相手取っていたローダ・ファルムーンとルシア・ロットレン。

 決して追い詰められていた訳ではないのだ。
 だがその戦いぶり、余りに打つ手がない様に見受けられ、英傑えいけつ達の能力に半ば落ち込む愚者すら居た。

 そこへまさかの介入者かいにゅうしゃヴァロウズナンバーズのレイ、颯爽さっそうと現る。
 然しながら例え、一度は文明失われた世界軸とはいえども22世紀よりとき重ねること300余年。
 今更コルト・ガバメントのレプリカ携えたずさえ火薬必須な古臭い小銃を持ち出された処で、揶揄うからかう者あれど歓喜かんきに打ち震える賢者は居ないのだ。

 パンッパンッ!

 レイ、次は宙返りしながら連射ではなく単発へ転じた変幻自在。Leythemendレイジメンド、主人が語る法の在処ありか示すべく銃弾を散らす。

 笑顔を保ち続けた容姿、喉奥引き金に指差し入れ、RaviNeroラビィネロの関節部を狙い撃つ二重の悦楽えつらく
 自ら抜き出す喘ぎ銃声れた当人が恍惚こうこつ浮かべた。

「嗚呼……ヤッバ、此奴等最高さいっこう。このぐれえ感じて震えてんじゃねぇよ、俺様が先にっちまう」

 法を体現する名で体を表す女とは思えぬ快楽かいらく織り込んだ妖艶ようえんなる行為。熱く滾りたぎりし銃口、めるかに思えた頬擦りほおずり

 ローダ達に取って最大最後の敵黒騎士の軍勢側から繰り出された捩じれねじれ切った正義の味方。

「あの童貞学者ドゥーウェン幾らいくら頼んでも造ってくんなくってよぉ……。だけどな、がアッサリに形にしやがった。彼奴アイツ相当イカれてるぜ」

 思い当たる──。
 ルシア・の顔色に一挙陰りかげりが差した。

「俺様は小銃だけがれてんだ、ライフルLongBarrel? いけかねぇな。だけどそいじゃ威力いりょくがもの足んねえ。ならば簡単、相手ので決めりゃ済む話さ」

 相も変わらず誰も聞いてない話を小鳥の様に口遊むくちずさむレイのお遊戯ゆうぎ。されど彼女はこの戦場に現存しないと思われたを持ち込んだ。

 それは、候補者でないレイを敵とさだめたRaviNeroラヴィネロの転化した姿である。レイは恐らく異能者だが一摘みひとつまみしか持ち得ぬ中途な存在。

 理由──。
 それは何とも味気あじけない、されど周囲が知覚し切れてなかっただけの真実。

 貴重な試作機TYPE-ZEROの赤い瞳を撃ち抜かれ激昂げきこうしたルヴァエルに他ならない。
 バルタバザル旧インド領決起のおり、ゆるりと動いた試作機TYPE-ZERO。その糸口が見え隠れしていた。

 ルヴァエルの機械じみたからだ──。
 細い線が平たいたばを成し得てRaviNeroラヴィネロと結線されていたのだ。一応操縦士パイロットの資格を有していた次第。

 有線で己が思念をAIに介入かいにゅうさせを通わせる作業。人間の攻め手に欠ける弱気な部分は機械で足りない部品を生き血が補う注ぐのだ。

「おっと、迂闊うかつに喋り過ぎた。これはあくまで助っ人だかんな。次殺る時は手前テメェ等が俺様の裁かれる撃たれるかも知んねえ、覚悟しとけ」

 手銃で指差しローダ達を威嚇いかく射撃したレイの

 共闘──確かに違いないのだがローダとルシアは、戦いの図式を始めから一貫いっかんし続けている。

 ルシアがRaviNeroラヴィネロ支える地盤を徐々に。手を汚すのは必ずローダの公式。周囲を好きに跳ね遊ぶレイの三者三様。

 世辞にも連携とは言い難い闘争の在り方。なれどゾッとする背筋弄るまさぐる恐怖の音。最先端技術が生み落とした黒い怪異かいい
 フォルテザに住まう争い知らぬ民草にも伝わり尽くす戦争の音源根源。怖いものみたさ──人が禁断の果実欲しがる本質サガ呼び込む。

 やがて誰かが軽々しく口遊むくちずさむ──。

『これは英雄譚えいゆうたんか、それとも災厄さいやくの序章?』

 火事場の見物客引き出すのはときの問題。人、集まれば新たな魑魅魍魎ちみもうりょう召喚し得る対価と為すのだ。

 さらにその蠢きうごめきは、焦りの熱帯びて人の世流離うさすらう。伝染し続ける語りの根幹──それが人の本能らせん。例え危うき業火ごうか呼び覚ますとしても……だ。

 ◇◇

 フォルテザ市を姿通りから支える最上階。砦めいた場所からこの戦いを覗くのぞく金髪のドゥーウェンと御使いみつかいベランドナ。

「──Leyレイ-the-mendメンド……。まさか完成させただなんて」

 自分の遥か上往くサイガンの能力に脅威きょうい畏敬いけいの念、入り混じるドゥーウェンの青ざめた表情。

Masterドゥーウェン、あの銃はそれ程凄いのですか?」

 ベランドナ的に心で首傾げかしげざるを得ない懸案けんあん
 今更火薬で撃ち出す武器に驚倒きょうとうしそうなドゥーウェンの狼狽えうろたえぶり。

Leythemendレイジメンドは簡易な重力制御を秘めてます。発砲時の反動を銃です。アレそのものは、実の処大した物ではない……」

 首を横に振り古めかしき小銃の解説を始めるドゥーウェン。

 Coltコルト・ Governmentガバメント──形式M1911。
 1911年製、弾薬『.45 ACP』口径11.43mm×23mmをオート式で撃ち出す世界初の自動拳銃。その汎用性の高さから改良を重ね続け実に100年間、第一線で活躍続けた傑作けっさく

 Leythemendレイジメンドは、コルト・ガバメントと基本性能に寸分の狂いなし。
 重量金属すらコルトに合わせた無駄多き拳銃。
 ドゥーウェンが語る通り、拳銃で在りながら発砲者が居なくとも己の機能で反動発せず。それだけに過ぎないのだ。

「ヴァロウズの能力者、レイに因るよる処が多分だという話ですよ。空間転移、射程圏内は恐らく視界が届き得る限り。銃処か自分さえも好きに飛ばせる、ですが銃を飛ばしても支えがなければ無意味ナンセンス

 旧式の銃を扱きこき下ろす顔とは明らかに異なるドゥーウェンの身震いさえ伝わる台詞。

因みちなみに形式は『LM1911』彼女、僕を童貞どうてい呼ばわりする割、女性らしい自己陶酔者ナルシストです」と付け加えた。

「レイ自身の能力値だけ評価するなら最底辺なのです。……ですがLeythemendレイジメンドを与えてしまった、サイガン先生は気が狂われたかも知れません」

 ドゥーウェンの気分──。
 要約すればレイを『Leythemend法の先導者』まで押し上げた判断が理解し難いのだ。過剰かじょうな相性、渡してはならぬ代物。

 己自身を空間転移で飛ばし法の裁きを下す行動。これだけなら大した脅威とは言い難い。
 なれど拳銃をあらゆる角度から現界させる裁きの範囲が拡がりみせる。

 敬愛する人間の説明を長耳へ注いだベランドナ──正直に落ちない話。

 学者気取りなこの男、尊敬する先生であり年齢の幅を越えた友人を裏切った
 新人類第一候補と思しきおぼしき男と、彼を確定させる鍵すら握るべく事起こした張本人が棚上げたなあげする不可解。

 ──狂気きょうきの度合……測り合っても無駄なだけ。

 心の奥底へ独りしまい込むベランドナ、ルージュ要らずの気高けだかき唇が封切られる事非ずあらず。歴史の立会人なる有り様を示した──。

 さらに人が争いの火種渇望渇望する螺旋本能、目に映らぬ影絵の劇場所の演目。知らぬ間に封切られ様としていた。
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