🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第4部『Spinning world(回る世界)』

第37話『Pride of the Blade(剣士の矜持)』 B Part

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 示現じげんの流れを身勝手に組み込むガロウ・チュウマの滾るたぎる刃。
 対するは意志在るAIと自らの想いを具現化したで水滴りしたたり落ちる倭刀わとうを振るうヴァロウズ第三の剣士トレノ。

 真っ直ぐな剣士と水で為した見た目と異なる羽根より軽い剣振るうトレノ。
 同じ刀使いなれど、全く異なる剣と矜持きょうじが絡み合いを始めた。

 両者微動に一歩もゆずらぬ争い始めた裏──。

 アルベェラータ父娘、騎士ジェリドと司祭の少女リイナがフォルテザ市から漁村エドナへ帰投の道行く。ローダが二人へ預けた目的。

 22世紀初頭以来、歴史が止まりアスファルト道。街道とは世辞にも言い難き荒れ果てた地面を踏みしめる。もう目指すエドナは間もなく……。

 ズサッ……。

「──むぅ」
「あ、貴女は!」

 脇から道へヌッと赤過ぎる女戦士が現れ二人の行方を阻むはばむ仁王におう立ち。迷彩柄めいさいがらのコートを『邪魔だ』とばかりに脱ぎ捨てた。

 赤い髪、女を捨てた感漂うただよう適当なる切り捨て。
 右頬みぎほおに残る戦士の勲章傷跡、全身の各所に及ぶ。
 元フォルデノ王国聖騎士の長、ジェリドと比べても見劣りみおとりしない体格。
 鎧要らずの筋肉おおった全身鎧フルメイル。『俺の身体が抜き身の』ヴァロウズ第五の女戦士ティン・クエンに相違ない。

「この先は行かせねぇよ、彼奴トレノの邪魔はこの俺が赦さん」

 立てた親指自分へ胸差し軽々笑顔を流すティン・クエン。

 ズザッ!

「──ッ!?」
「良いんだな女、貴様はとうに忘れただろうが我が妻ホーリィーンかたきだ手加減出来んぞ」

 拳闘を得意とするティンでさえ背筋走る戦慄せんりつ
 見た目通り重さに沈む白き鎧と柄の長い斧バトルアックスを寸分狂い無く仇の首元へあてがうジェリドの疾風怒涛しっぷうどとう
 勢いそのまま突けばティンの首が形残さず消し飛んだやも知れぬはらんだ一閃いっせん

 相手が如何いかにも緩慢かんまんそうな鎧の騎士と争い向かぬ司祭の少女。
 数多あまたの死線潜り抜けたティン・クェン、油断が呼び込む冷汗。地面蹴り僅かわずかに後退、開始早々、道譲るゆずる屈辱くつじょく

 ──め過ぎた!

 己の甘さに苛立ちいらだち募りつのり歯軋りはぎしりするティン。この騎士、嘗てかつてトレノと彼の相棒である巨大な狼相手に独りで対峙たいじ
 トレノは軽量な武器エストック細身の長剣を用い、速さで対抗するも相棒の首級クビ奪われ敗走いられた。『何故俺を誘わなかった』とトレノを叱咤しったした当時。まさに思い知らされた。

 クイッ……。

「……覚えているさ司祭クラスとは思えなかった洗練された動きの女。アンタの嫁だったのか。頗るすこぶる心地い殺し合いだったよ」

 両腕ガード上げ、さも拳闘ボクサー思わせる軽快な跳躍ステップ踏みながら、右手で殺戮さつりく舞台マット上がれと誘うさそうティンの挑発ちょうはつ。心に住まうゴング鳴らした。

 だが決して乗せなられない熟練じゅくれん滲むにじむジェリドの構え。
 敵の異能が未だ、理解進めるべく思考めぐらす。

 実の処、白霧はくぶに沈み何も見えない訳ではないのだ。
 首筋まで着実届けた殺気帯びた一撃、気であったががれた真実まこと

 ──何故

 ジェリド、己の一挙一投足を見透かされた不吉ふきつに気分駆られた。

 ◇◇

 ローダ&ルシアVsRaviNeroラヴィネロ戦いの図式へ話を戻す。
 全く以ってやわらかくないの装甲に手を焼くローダ側。
 一方、じゃれる黒猫の爪届かぬ英傑えいけつ達の宙舞う瞬足。

 高次元なる硬直状態続くかにみえた争い、乱入したレイがLeythemendレイジメンドで放つ銃弾が一挙くさび刺した事柄に気付いたローダ。

 ──割れている? 

 ただの乱射に見える二丁のLeythemendレイジメンド撃ち出す
 寸分の狂いなく同じ場所をとらえていた。まるで継矢つぎやか、はたまたレイの毛嫌いしてるライフル銃の暗殺術。じゃれて来る右前脚関節部へ入れた好機ひび割れ

 口先三寸さんすんだけに非ずあらずレイLeyは既に成し終えていたのだ。

 ▷▷──ルシア、アレだ。俺の剣を導いてくれ、やれるな?

 ──はッ! う、うんっ!

 突然ルシアの脳裏に響き渡る愛がれる彼氏ローダから。風の精霊術、言の葉風の便りが呼び込む指示。

 略奪りゃくだつ愛──勝手に彼が自分から奪った秘密の連絡先風の術式
 命削り合う戦闘の合間、私だけ出来る愛の囁きささやきと受け容れた背徳はいとく感。心毎横領おうりょうされた悦びよろこび浸るひたるさま。彼との余白距離ZEROに至る

 機械AI頼みなRaviNeroラビィネロへ人間の意志をつむいだルヴァエルとて右前脚の異変に気づいていた。それが返って良好でない波長呼び込む。

 候補者ローダのみ心血注ぐべき現状、なれど脚を喪失そうしつし兼ねない状況変化に思わずな女二人へ守りの意識を向けてしまった迂闊うかつ、集中すべき意識を散らしてしまった。

 風纏うまとうルシアが現界召喚した光の精霊術に因るよる攪乱かくらん
 空間転移で自在に迫り来るLeythemendレイジメンド威嚇いかくの発砲。
 二人の女性が成し得た即興そっきょう連携コンボ、見逃す筈ないローダの蒼白い剣戟けんげき飛び込む隙間すきまが遂にひらかれた。

 ガシャンッ!

 宙舞いながら突きを見舞うローダの攻勢。くさび込んだ同じ場所へ『届け!』と声なき咆哮ほうこう。剣がRaviNeroラビィネロの装甲を貫通かんつう──

「なッ!? な、なんだこれはッ! どうしたと云うのだRaviNeroラビィネロ!」

 黒猫の操縦席内部コックピット、響き渡り鳴り止まない警告音ALERT騒乱そうらん
 狼狽ろうばいせざるを得ないルヴァエル。ありとあらゆる計器類を見渡した上、『沈まれ!』と思念送るが徒労とろうする。

 ローダの放った剣戟こそ、この争いに於ける英雄女傑二人の調。文字通りローダは試作機TYPE-ZEROの扉を拓き、己が意志を接続ONLINEしたのだ。

 に認められ昇格しつつある候補者の思念が滝の如く注ぎ込み防御璧セキュリティ喪失そうしつしたAIの愚直ぐちょくな意志を暴走させるウイルスへ転じた。
 これならば黒猫の中枢が何処へ潜んでいようが無関係、装甲さえ打ち破ればRaviNeroラビィネロを飾りへ戻せる元の木阿弥もくあみ策略さくりゃくが最初から存在していた。

 ルヴァエル守りし操縦席内コックピットの各計器類、漆黒しっこくちる完全停止シャットダウン再起動リブート許容出来ぬ必然。

『機械相手にが負ける訳ないよ』

 闘う前から知り抜いた結果、ルシアの思いが遂に形を成した。

 そう──。
 機械相手にこの英傑二人が負ける道理がないのだ。
 問題なのは寧ろむしろこれから。黒猫のが持ち寄る力こそ未知数。

 真の戦いはこれから始まる……。
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