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第4部『Spinning world(回る世界)』
第37話『Pride of the Blade(剣士の矜持)』 B Part
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示現の流れを身勝手に組み込むガロウ・チュウマの滾る刃。
対するは意志在るAIと自らの想いを具現化した夢見の力で水滴り落ちる夢現の倭刀を振るうヴァロウズ第三の剣士トレノ。
真っ直ぐな剣士と水で為した見た目と異なる羽根より軽い重剣振るうトレノ。
同じ刀使いなれど、全く異なる剣と矜持が絡み合いを始めた。
両者微動に譲らぬ争い始めた裏──。
アルベェラータ父娘、騎士ジェリドと司祭の少女リイナがフォルテザ市から漁村エドナへ帰投の道行く。ローダが二人へ預けた目的。
22世紀初頭以来、歴史が止まりアスファルト忘れた道。街道とは世辞にも言い難き荒れ果てた地面を踏みしめる。もう目指すエドナは間もなく……。
ズサッ……。
「──むぅ」
「あ、貴女は!」
脇から道へヌッと赤過ぎる女戦士が現れ二人の行方を阻む仁王立ち。迷彩柄のコートを『邪魔だ』とばかりに脱ぎ捨てた。
赤い髪、女を捨てた感漂う適当なる切り捨て。
右頬に残る戦士の勲章、全身の各所に及ぶ。
元フォルデノ王国聖騎士の長、ジェリドと比べても見劣りしない体格。
鎧要らずの筋肉覆った全身鎧。『俺の身体が抜き身の剣』ヴァロウズ第五の女戦士ティン・クエンに相違ない。
「この先は行かせねぇよ、彼奴の邪魔はこの俺が赦さん」
立てた親指自分へ胸差し軽々笑顔を流すティン・クエン。
ズザッ!
「──ッ!?」
「良いんだな女、貴様はとうに忘れただろうが我が妻の仇だ手加減出来んぞ」
拳闘を得意とするティンでさえ背筋走る戦慄。
見た目通り重さに沈む白き鎧と柄の長い斧を寸分狂い無く仇の首元へあてがうジェリドの疾風怒涛。
勢いそのまま突けばティンの首が形残さず消し飛んだやも知れぬ矛盾孕んだ一閃。
相手が如何にも緩慢そうな鎧の騎士と争い向かぬ司祭の少女。
数多の死線潜り抜けたティン・クェン、油断が呼び込む冷汗。地面蹴り僅かに後退、開始早々、道譲る屈辱。
──舐め過ぎた!
己の甘さに苛立ち募り歯軋りするティン。この騎士、嘗てトレノと彼の相棒である巨大な狼相手に独りで対峙。
トレノは軽量な武器エストックを用い、速さで対抗するも相棒の首級奪われ敗走強いられた。『何故俺を誘わなかった』とトレノを叱咤した当時。まさに思い知らされた。
クイッ……。
「……覚えているさ司祭級とは思えなかった洗練された動きの女。アンタの嫁だったのか。頗る心地好い殺し合いだったよ」
両腕上げ、さも拳闘思わせる軽快な跳躍踏みながら、右手で殺戮の舞台上がれと誘うティンの挑発。心に住まう鐘鳴らした。
だが決して乗せなられない熟練滲むジェリドの構え。
敵の異能が未だ漠然、理解進めるべく思考巡らす。
実の処、白霧に沈み何も見えない訳ではないのだ。
首筋まで着実届けた殺気帯びた一撃、殺る気であったが削がれた真実。
──何故下がらなかった?
ジェリド、己の一挙一投足を見透かされた不吉に気分駆られた。
◇◇
ローダ&ルシアVsRaviNero戦いの図式へ話を戻す。
全く以って柔らかくない黒猫の装甲に手を焼くローダ側。
一方、じゃれる黒猫の爪届かぬ英傑達の宙舞う瞬足。
高次元なる硬直状態続くかにみえた争い、乱入したレイがLeythemendで放つ銃弾が一挙楔刺した事柄に気付いたローダ。
──割れている?
ただの乱射に見える二丁のLeythemend撃ち出す弾筋。
寸分の狂いなく同じ場所を捉えていた。まるで継矢か、はたまたレイの毛嫌いしてるライフル銃の暗殺術。じゃれて来る右前脚関節部へ入れた好機。
口先三寸だけに非ず、レイの法は既に成し終えていたのだ。
▷▷──ルシア、アレだ。俺の剣を導いてくれ、やれるな?
──はッ! う、うんっ!
突然ルシアの脳裏に響き渡る愛焦がれる彼氏から直電。風の精霊術、言の葉が呼び込む指示。
略奪愛──勝手に彼が自分から奪った秘密の連絡先。
命削り合う戦闘の合間、私だけ独占出来る愛の囁きと受け容れた背徳感。心毎横領された悦び浸る様。彼との余白が零に至る快楽。
機械頼みなRaviNeroへ人間の意志を紡いだルヴァエルとて右前脚の異変に気づいていた。それが返って良好でない波長呼び込む。
候補者ローダのみ心血注ぐべき現状、なれど脚を喪失し兼ねない状況変化に思わず余分な女二人へ守りの意識を向けてしまった迂闊、集中すべき意識を散らしてしまった。
風纏うルシアが現界した光の精霊術に因る攪乱。
空間転移で自在に迫り来るLeythemendへ威嚇の発砲。
二人の女性が成し得た即興の連携、見逃す筈ないローダの蒼白い剣戟飛び込む隙間が遂に拓かれた。
ガシャンッ!
宙舞いながら突きを見舞うローダの攻勢。楔撃ち込んだ同じ場所へ『届け!』と声なき咆哮。剣がRaviNeroの装甲を貫通──繋がった成立。
「なッ!? な、なんだこれはッ! どうしたと云うのだRaviNero!」
黒猫の操縦席内部、響き渡り鳴り止まない警告音の騒乱。
狼狽せざるを得ないルヴァエル。ありとあらゆる計器類を見渡した上、『沈まれ!』と思念送るが徒労に帰する。
ローダの放った剣戟こそ、この争いに於ける英雄二人の予定調和。文字通りローダは試作機の扉を拓き、己が意志を接続したのだ。
鍵に認められ昇格しつつある候補者の思念が滝の如く注ぎ込み防御璧喪失したAIの愚直な意志を暴走させるウイルスへ転じた。
これならば黒猫の中枢が何処へ潜んでいようが無関係、装甲さえ打ち破ればRaviNeroを飾りへ戻せる元の木阿弥的策略が最初から存在していた。
ルヴァエル守りし操縦席内の各計器類、漆黒へ堕ちる完全停止、再起動許容出来ぬ必然。
『機械相手に私のローダが負ける訳ないよ』
闘う前から知り抜いた結果、ルシアの思いが遂に形を成した。
そう──。
機械相手にこの英傑二人が負ける道理がないのだ。
問題なのは寧ろこれから。黒猫の中身が持ち寄る力こそ未知数。
真の戦いはこれから始まる……。
対するは意志在るAIと自らの想いを具現化した夢見の力で水滴り落ちる夢現の倭刀を振るうヴァロウズ第三の剣士トレノ。
真っ直ぐな剣士と水で為した見た目と異なる羽根より軽い重剣振るうトレノ。
同じ刀使いなれど、全く異なる剣と矜持が絡み合いを始めた。
両者微動に譲らぬ争い始めた裏──。
アルベェラータ父娘、騎士ジェリドと司祭の少女リイナがフォルテザ市から漁村エドナへ帰投の道行く。ローダが二人へ預けた目的。
22世紀初頭以来、歴史が止まりアスファルト忘れた道。街道とは世辞にも言い難き荒れ果てた地面を踏みしめる。もう目指すエドナは間もなく……。
ズサッ……。
「──むぅ」
「あ、貴女は!」
脇から道へヌッと赤過ぎる女戦士が現れ二人の行方を阻む仁王立ち。迷彩柄のコートを『邪魔だ』とばかりに脱ぎ捨てた。
赤い髪、女を捨てた感漂う適当なる切り捨て。
右頬に残る戦士の勲章、全身の各所に及ぶ。
元フォルデノ王国聖騎士の長、ジェリドと比べても見劣りしない体格。
鎧要らずの筋肉覆った全身鎧。『俺の身体が抜き身の剣』ヴァロウズ第五の女戦士ティン・クエンに相違ない。
「この先は行かせねぇよ、彼奴の邪魔はこの俺が赦さん」
立てた親指自分へ胸差し軽々笑顔を流すティン・クエン。
ズザッ!
「──ッ!?」
「良いんだな女、貴様はとうに忘れただろうが我が妻の仇だ手加減出来んぞ」
拳闘を得意とするティンでさえ背筋走る戦慄。
見た目通り重さに沈む白き鎧と柄の長い斧を寸分狂い無く仇の首元へあてがうジェリドの疾風怒涛。
勢いそのまま突けばティンの首が形残さず消し飛んだやも知れぬ矛盾孕んだ一閃。
相手が如何にも緩慢そうな鎧の騎士と争い向かぬ司祭の少女。
数多の死線潜り抜けたティン・クェン、油断が呼び込む冷汗。地面蹴り僅かに後退、開始早々、道譲る屈辱。
──舐め過ぎた!
己の甘さに苛立ち募り歯軋りするティン。この騎士、嘗てトレノと彼の相棒である巨大な狼相手に独りで対峙。
トレノは軽量な武器エストックを用い、速さで対抗するも相棒の首級奪われ敗走強いられた。『何故俺を誘わなかった』とトレノを叱咤した当時。まさに思い知らされた。
クイッ……。
「……覚えているさ司祭級とは思えなかった洗練された動きの女。アンタの嫁だったのか。頗る心地好い殺し合いだったよ」
両腕上げ、さも拳闘思わせる軽快な跳躍踏みながら、右手で殺戮の舞台上がれと誘うティンの挑発。心に住まう鐘鳴らした。
だが決して乗せなられない熟練滲むジェリドの構え。
敵の異能が未だ漠然、理解進めるべく思考巡らす。
実の処、白霧に沈み何も見えない訳ではないのだ。
首筋まで着実届けた殺気帯びた一撃、殺る気であったが削がれた真実。
──何故下がらなかった?
ジェリド、己の一挙一投足を見透かされた不吉に気分駆られた。
◇◇
ローダ&ルシアVsRaviNero戦いの図式へ話を戻す。
全く以って柔らかくない黒猫の装甲に手を焼くローダ側。
一方、じゃれる黒猫の爪届かぬ英傑達の宙舞う瞬足。
高次元なる硬直状態続くかにみえた争い、乱入したレイがLeythemendで放つ銃弾が一挙楔刺した事柄に気付いたローダ。
──割れている?
ただの乱射に見える二丁のLeythemend撃ち出す弾筋。
寸分の狂いなく同じ場所を捉えていた。まるで継矢か、はたまたレイの毛嫌いしてるライフル銃の暗殺術。じゃれて来る右前脚関節部へ入れた好機。
口先三寸だけに非ず、レイの法は既に成し終えていたのだ。
▷▷──ルシア、アレだ。俺の剣を導いてくれ、やれるな?
──はッ! う、うんっ!
突然ルシアの脳裏に響き渡る愛焦がれる彼氏から直電。風の精霊術、言の葉が呼び込む指示。
略奪愛──勝手に彼が自分から奪った秘密の連絡先。
命削り合う戦闘の合間、私だけ独占出来る愛の囁きと受け容れた背徳感。心毎横領された悦び浸る様。彼との余白が零に至る快楽。
機械頼みなRaviNeroへ人間の意志を紡いだルヴァエルとて右前脚の異変に気づいていた。それが返って良好でない波長呼び込む。
候補者ローダのみ心血注ぐべき現状、なれど脚を喪失し兼ねない状況変化に思わず余分な女二人へ守りの意識を向けてしまった迂闊、集中すべき意識を散らしてしまった。
風纏うルシアが現界した光の精霊術に因る攪乱。
空間転移で自在に迫り来るLeythemendへ威嚇の発砲。
二人の女性が成し得た即興の連携、見逃す筈ないローダの蒼白い剣戟飛び込む隙間が遂に拓かれた。
ガシャンッ!
宙舞いながら突きを見舞うローダの攻勢。楔撃ち込んだ同じ場所へ『届け!』と声なき咆哮。剣がRaviNeroの装甲を貫通──繋がった成立。
「なッ!? な、なんだこれはッ! どうしたと云うのだRaviNero!」
黒猫の操縦席内部、響き渡り鳴り止まない警告音の騒乱。
狼狽せざるを得ないルヴァエル。ありとあらゆる計器類を見渡した上、『沈まれ!』と思念送るが徒労に帰する。
ローダの放った剣戟こそ、この争いに於ける英雄二人の予定調和。文字通りローダは試作機の扉を拓き、己が意志を接続したのだ。
鍵に認められ昇格しつつある候補者の思念が滝の如く注ぎ込み防御璧喪失したAIの愚直な意志を暴走させるウイルスへ転じた。
これならば黒猫の中枢が何処へ潜んでいようが無関係、装甲さえ打ち破ればRaviNeroを飾りへ戻せる元の木阿弥的策略が最初から存在していた。
ルヴァエル守りし操縦席内の各計器類、漆黒へ堕ちる完全停止、再起動許容出来ぬ必然。
『機械相手に私のローダが負ける訳ないよ』
闘う前から知り抜いた結果、ルシアの思いが遂に形を成した。
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