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第4部『Spinning world(回る世界)』
第38話『Rebirth of the Obsidian Queen(復刻,漆黒の女神)』B Part
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壊れた玩具──黒猫RaviNeroから零れ落ちた中身。
亡霊の様な少女ルヴァエル。落差ある異形に思わず怯え感ずるローダとルシア。此処から真実の争い始まる劣悪を想像、気が削がれる思いに駆られた。
ヴァロウズからの助っ人、二丁拳銃使いのレイだけは不感らしく片時なる味方の震えに銀髪の首を傾げた。
一方、ヴァロウズ3番目の倭刀使いトレノ。
Resistanceの実質的リーダー格、髭面の剣士ガロウ・チュウマが一騎討ちは激化の一途辿る伯仲。
両者一歩足りとも退かぬ剣戟、水滴るトレノの刃。落ちた雫がガロウの膝へと染み渡る毒。
「グッ!──熱か剣じゃ。じゃっどん、そげな虚仮威し。かえって血がたぐっど!」
またしてもただの水滴に非ず、酸混じる水がガロウの服毎肌溶かす痛々しき烙印刻む。
されど心地好き雨粒浴びた様なガロウの蛮勇。硫酸さえ涼しき打ち水が如し顔つき。
「減らず口を……」
腹立たしいトレノ、痛い脇腹を突かれた気分。
この桜陽の侍『剣に頼らず術だけ成し得た小賢しき剣』と煽られた己の在り様。
滾る刃のみ非ず──灼熱抱えた二刀が滴り落ち往く己自体を蒸発させんと盛り征く。
悔やむ気持ちを地面へ刻み間合いを開いたトレノ。
得意の左斜め下段から刃と云うより流れる水そのものを振り上げ勇猛だと認めた剣士へ投げる。
続けざま、上段下段と流麗を絵に描いたトレノの変遷。彼の動き、岩肌すら削る川の渓流示すと共に白き流れの美しさを体現していた。
──へッ!
ガロウ向けて襲い来る酸帯びた濁流。滝登り赦さぬ様相、津波の如し理不尽。
さりとて髭面の笑顔潰えず。敵と同じく刃を下段に構え、討ち出すべく砂地踏み抜く。
「示現我狼──『櫻道』!」
トレノと等しく交わる剣ない立ち位置での下から降り抜いた刃。
砂浜斬り裂き大地に眠る溶岩噴出させ、技名通りの赤き道を創造、トレノが拓いた水源流れる川の剣を見事相殺。陽から火への変遷。
トレノ、火山召喚と云う全く以って人の御業と思えぬガロウの剣、僅かにたじろぐも、構わず同一の太刀筋にて再び濡れた飛び道具繰り出す。
──ッ?
乱れた黒髪を少し傾げながらも先程と同じ櫻道で迎え討つべく逆袈裟懸け。敵の倭刀使いが効かぬと知りつつ同様の剣を捻り出したのに感じた違和感。
ピキンッ! ピキピキッ!
「なッ! ウグッ!?」
ガロウが斬り拓いた灼熱の道が蒼白く凍結。氷山へと再錬成されたではないか。驚きひん剥いたガロウの視線、迂闊呼び込む。
漁村エドナの波飛沫、氷の五寸釘へ転生。髭面の侍が視線奪われた最中、背中へ突き刺さる巫山戯た丑の刻参り。
硫酸がただの水分へ返りて氷の礫。一見凡庸なるトレノ、剣術の変遷。だがそれだけで終わらぬのが剣士の怒れた矜持なのだ。
「ハァッ!」
やはりトレノは暮れても剣豪なのだ──。
見る者の心さえ凍える氷山の錬成すら捨て石、見る間に凍結する溶岩の背後、己の身を忍ばせ一挙間合いを詰め征く。そして沈黙吐き捨て、気合込めた最上段からの一閃。
遂に牙剝くトレノ剣士の本懐。
トレノ舞い踊る霜刃演儀──。
氷上の演舞思わす荘厳さと滑走の氷理一対、美しさの裏側に秘めた血の匂い。
「むぅッ!」
遂にガロウの笑み失せた戦慄、凍り往く髭面。
キンッ! 剣、交わる残響さえ凍り閉ざされた。
とうに抜刀済だが抜かされたガロウ護りに徹する剣。脇差握る手を咄嗟に捨て、本命の柄を両手で掴みトレノ渾身の一撃と相まみえる。
振り下ろす者、受けて立つ男。何れも眉顰めずいられぬ必然。
トレノの迂闊、剣士の本能に従い正直に首級を獲りに向かった真っ直ぐな剣。
殺られる──!
剣筋予測出来ているにも関わらず鋭き剣圧に背筋凍るガロウ。柄握る腕に走る痺れ、決死で魂流し握力に頼れぬ分を補う。
ダンッ!
だがガロウ、尋常じゃない剣の狂気呼び覚ます。
剣狂一念──理を超えた一念の刃。
全霊込め砂地踏み抜き、落した脇差宙を縦に転がる様。瞬時砂で創った塁、不覚にも怯むトレノ。
あろうことか剣士の命である大太刀落として脇差握り返す奇異なる剣。
当人ですらこんな狂い裂き知らぬ。敵の好機を潰した直後、今こそ最高の機会。理屈で動いた訳に非ず、殺られたら殺り返すのが剣の本質。
真逆絡み合う互いの剣気、両者の剣舞は千日手に及ぶのか?
否──達人同士の真剣勝負、刹那などという文学的美麗な言葉は似合わないのだ。
──『櫻打』!
狙った訳でない、偶々逆手で握った脇差、拳毎燃え盛りながら刃と云うより漢の拳叩き込むガロウの新術。『示現我狼』と技名発言する刻さえ惜しむ全力。
ガロウ、四六時中滾る桜の拳がトレノ細身の顎を砕かんと今にも掠める一瞬。
何処から両者の死闘を見物する剣神が犯す悪戯。
エドナの波が荒れ狂い、闘争に水を刺す。絶望的トレノへ垂らされた蜘蛛の糸。
次なるはトレノの即興、荒れ狂う波飛沫浴びた腕を凍らせた刀鍛冶。
脇差離さなかったガロウ、逆手に握った剣の刃と交わりし必然呼んだ。
ガシャンッ!
「──グッ!」
「お、折れた!?」
腕凍結させたトレノの新たな刃。
偶然が産み落としたガロウの新剣。
何れも折れる結末呼び込んだ。脇差とはいえ剣士の命折られたガロウと、等しく夢見の能力の全霊で回し剣化した腕捥がれたトレノ。
日本刀の精製は"超"が付く優秀な鍛冶師、ドワーフ族でさえ匙投げる代物。
恐らくガロウの腹裁く為の剣は復活出来ない。
一方トレノは片腕と剣士としての誇りこそ失われたものの、マーダが300年前から伝承せしめし術式で再生叶う事であろう。されど重傷、現状このまま争い続ける訳には往かぬのだ。
剣神は余程二人の剣舞をお気に召したか──この場は痛み分け、再戦を望んだ。
亡霊の様な少女ルヴァエル。落差ある異形に思わず怯え感ずるローダとルシア。此処から真実の争い始まる劣悪を想像、気が削がれる思いに駆られた。
ヴァロウズからの助っ人、二丁拳銃使いのレイだけは不感らしく片時なる味方の震えに銀髪の首を傾げた。
一方、ヴァロウズ3番目の倭刀使いトレノ。
Resistanceの実質的リーダー格、髭面の剣士ガロウ・チュウマが一騎討ちは激化の一途辿る伯仲。
両者一歩足りとも退かぬ剣戟、水滴るトレノの刃。落ちた雫がガロウの膝へと染み渡る毒。
「グッ!──熱か剣じゃ。じゃっどん、そげな虚仮威し。かえって血がたぐっど!」
またしてもただの水滴に非ず、酸混じる水がガロウの服毎肌溶かす痛々しき烙印刻む。
されど心地好き雨粒浴びた様なガロウの蛮勇。硫酸さえ涼しき打ち水が如し顔つき。
「減らず口を……」
腹立たしいトレノ、痛い脇腹を突かれた気分。
この桜陽の侍『剣に頼らず術だけ成し得た小賢しき剣』と煽られた己の在り様。
滾る刃のみ非ず──灼熱抱えた二刀が滴り落ち往く己自体を蒸発させんと盛り征く。
悔やむ気持ちを地面へ刻み間合いを開いたトレノ。
得意の左斜め下段から刃と云うより流れる水そのものを振り上げ勇猛だと認めた剣士へ投げる。
続けざま、上段下段と流麗を絵に描いたトレノの変遷。彼の動き、岩肌すら削る川の渓流示すと共に白き流れの美しさを体現していた。
──へッ!
ガロウ向けて襲い来る酸帯びた濁流。滝登り赦さぬ様相、津波の如し理不尽。
さりとて髭面の笑顔潰えず。敵と同じく刃を下段に構え、討ち出すべく砂地踏み抜く。
「示現我狼──『櫻道』!」
トレノと等しく交わる剣ない立ち位置での下から降り抜いた刃。
砂浜斬り裂き大地に眠る溶岩噴出させ、技名通りの赤き道を創造、トレノが拓いた水源流れる川の剣を見事相殺。陽から火への変遷。
トレノ、火山召喚と云う全く以って人の御業と思えぬガロウの剣、僅かにたじろぐも、構わず同一の太刀筋にて再び濡れた飛び道具繰り出す。
──ッ?
乱れた黒髪を少し傾げながらも先程と同じ櫻道で迎え討つべく逆袈裟懸け。敵の倭刀使いが効かぬと知りつつ同様の剣を捻り出したのに感じた違和感。
ピキンッ! ピキピキッ!
「なッ! ウグッ!?」
ガロウが斬り拓いた灼熱の道が蒼白く凍結。氷山へと再錬成されたではないか。驚きひん剥いたガロウの視線、迂闊呼び込む。
漁村エドナの波飛沫、氷の五寸釘へ転生。髭面の侍が視線奪われた最中、背中へ突き刺さる巫山戯た丑の刻参り。
硫酸がただの水分へ返りて氷の礫。一見凡庸なるトレノ、剣術の変遷。だがそれだけで終わらぬのが剣士の怒れた矜持なのだ。
「ハァッ!」
やはりトレノは暮れても剣豪なのだ──。
見る者の心さえ凍える氷山の錬成すら捨て石、見る間に凍結する溶岩の背後、己の身を忍ばせ一挙間合いを詰め征く。そして沈黙吐き捨て、気合込めた最上段からの一閃。
遂に牙剝くトレノ剣士の本懐。
トレノ舞い踊る霜刃演儀──。
氷上の演舞思わす荘厳さと滑走の氷理一対、美しさの裏側に秘めた血の匂い。
「むぅッ!」
遂にガロウの笑み失せた戦慄、凍り往く髭面。
キンッ! 剣、交わる残響さえ凍り閉ざされた。
とうに抜刀済だが抜かされたガロウ護りに徹する剣。脇差握る手を咄嗟に捨て、本命の柄を両手で掴みトレノ渾身の一撃と相まみえる。
振り下ろす者、受けて立つ男。何れも眉顰めずいられぬ必然。
トレノの迂闊、剣士の本能に従い正直に首級を獲りに向かった真っ直ぐな剣。
殺られる──!
剣筋予測出来ているにも関わらず鋭き剣圧に背筋凍るガロウ。柄握る腕に走る痺れ、決死で魂流し握力に頼れぬ分を補う。
ダンッ!
だがガロウ、尋常じゃない剣の狂気呼び覚ます。
剣狂一念──理を超えた一念の刃。
全霊込め砂地踏み抜き、落した脇差宙を縦に転がる様。瞬時砂で創った塁、不覚にも怯むトレノ。
あろうことか剣士の命である大太刀落として脇差握り返す奇異なる剣。
当人ですらこんな狂い裂き知らぬ。敵の好機を潰した直後、今こそ最高の機会。理屈で動いた訳に非ず、殺られたら殺り返すのが剣の本質。
真逆絡み合う互いの剣気、両者の剣舞は千日手に及ぶのか?
否──達人同士の真剣勝負、刹那などという文学的美麗な言葉は似合わないのだ。
──『櫻打』!
狙った訳でない、偶々逆手で握った脇差、拳毎燃え盛りながら刃と云うより漢の拳叩き込むガロウの新術。『示現我狼』と技名発言する刻さえ惜しむ全力。
ガロウ、四六時中滾る桜の拳がトレノ細身の顎を砕かんと今にも掠める一瞬。
何処から両者の死闘を見物する剣神が犯す悪戯。
エドナの波が荒れ狂い、闘争に水を刺す。絶望的トレノへ垂らされた蜘蛛の糸。
次なるはトレノの即興、荒れ狂う波飛沫浴びた腕を凍らせた刀鍛冶。
脇差離さなかったガロウ、逆手に握った剣の刃と交わりし必然呼んだ。
ガシャンッ!
「──グッ!」
「お、折れた!?」
腕凍結させたトレノの新たな刃。
偶然が産み落としたガロウの新剣。
何れも折れる結末呼び込んだ。脇差とはいえ剣士の命折られたガロウと、等しく夢見の能力の全霊で回し剣化した腕捥がれたトレノ。
日本刀の精製は"超"が付く優秀な鍛冶師、ドワーフ族でさえ匙投げる代物。
恐らくガロウの腹裁く為の剣は復活出来ない。
一方トレノは片腕と剣士としての誇りこそ失われたものの、マーダが300年前から伝承せしめし術式で再生叶う事であろう。されど重傷、現状このまま争い続ける訳には往かぬのだ。
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