🗡️🐺Roda『The One Who Opens the Door to the World』(ローダ・世界の扉を拓く者)

🗡🐺狼駄(ろうだ)

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第4部『Spinning world(回る世界)』

第41話『Conversations of the Void(虚無の語らい)』 A Part

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 ルヴァエルの機械仕掛け思わすからだ、至る所に存在する翠焔すいえん
 これぞ彼女の力を象徴しょうちょうする色艶いろつや。人と機械Machine入り混じる姿でローダ達の攻撃をすべからずはじいた根源吐露とろした自信。

 ルシア『それでも!』と相打ち覚悟で初めて放った土の精霊術に因るよるはがねの拳。
 相対するルヴァエル、緑がへ移行しながら迎えうつ準備整えた矢先。

 大海蛇シーサペントの爪思わす金色こんじき混じりの漆黒しっこくが果たす介入行動。
 ヴァロウズのNo4暗黒神の神聖術士しんせいじゅつし、フォウ・クワットロの微笑みが巻き起こした結実であった。

 これ迄常にマーダルイスの背中預かる彼女がよもやな後塵こうじん拝すはいすルイス・ファルムーンが僅か遅れて参戦成した逆転劇。

 未だ宿敵──それもローダ達に取っての最上級が背中護る形で姿現した。
 否応いやおうなしに走る戦慄せんりつ、これは必然。

「ローダ・、そしてルシア・ロットレン。今日の僕達は君等の味方だ。そこに振ん反りふんぞり返った僕達の宿敵外敵を追い払う。レイを送り込んだ理屈と同じだよ」

 金色の飾り──フォウが鍵、界嫁開花させ聖痕せいこん成し得た神格しんかくの表れ。
 彼女を先に送り込んだルイス余裕の真顔几帳面嘲笑面ちょうしょうづら消え失せた視線を血縁の繋がり含む連中へ注いだ。

 さらにさや不要のいびつなる大剣、紅色の蜃気楼レッド・ミラージュが彼の手元で赤い霧の中から名前にたがわぬ現界げんかい果たす。

 ピクリッ……。

 ルヴァエルのまゆかすかに揺れる。
 紅色の蜃気楼レッド・ミラージュで己を差し『宿敵』とののしられた発言悪口。マーダこそ我の宿敵、真祖しんそレヴァーラを無理矢理とりこに落した巫山戯ふざけた存在。『聞き捨てならぬ』彼女に流れる血が叫ぶ逆鱗げきりん

 カッ!

 ルヴァエルの翠眼すいがんが赤に染まる激怒呼び込む。

 ゆらぁ……。ルヴァエル周囲の大気、蜃気楼しんきろうが如き揺れ動く様。当人もふらりと目眩めまい思わす変遷へんせん蠢きうごめき首鳴らした。

「宿敵? 空耳かなぁ……。言葉の意味判ってるぅ? 貴様が300年もの間、間抜け面まぬけづらさらして生き長られたのは誰の御陰ェッ!」

 両目ひん剥きむき爪立て、牙見せルイスへ飛び掛かるルヴァエル狂気の変貌へんぼう。これ迄何されても涼風吹かした少女が初めて見せる怒髪天どはつてん
 レヴァーラ・ガン・イルッゾから得た異能──意識を他人へ移し替える力を躰毎からだごと強奪した故、現在のマーダが存在し得るのだ。

 畏敬いけいの念抱くべき相手からまさかの『宿敵』呼ばわり。ルヴァエルの激怒、察して余りある。

 だが其れそれにしても別人格──いや、別人にし切った様相。少女が一転、吸血鬼ヴァンパイア──それも散々『眷属けんぞく』と云い尽くした存在が『真祖本物』を彷彿ほうふつさせる変身。

 ボッ!

 ルイスマーダ、まるで暴発したライター思わす炎、蜃気楼Mirageに変わり失せた。
 人から神獣へ転化した感あるルヴァエルの奇襲、赤から霧に転じ避けず透かした。これぞ紅色の蜃気楼レッド・ミラージュの真価だ。

 首強く横へ振り、消えたルイスマーダを追い求めるルヴァエル。これでは獣の狩りそのもの。

 ヴォン!

 別の生物へ転化したルヴァエルの背後、赤い霧が瞬時集結し尽くし、大剣に帰った紅色の蜃気楼レッド・ミラージュを振り上げたルイスマーダ鮮烈せんれつ

 そのまま斬られる程、凡庸ぼんようあらずなルヴァエル。『殺るなら背中だろ?』瞬間、向かい合いこれ迄あらゆる攻撃を受け流した灰色の掌差し出す。

 だが紅は灰色と混ざらない。赤い大剣の姿成したまま、ルヴァエルが防御をり抜ける

 光を集め成した剣だから他と交わらない? 
 否──紅色の蜃気楼レッド・ミラージュは真の殺意向けた敵の命狙いて斬り裂く無双剣なのだ。

 よもやなルヴァエル敗北サヨナラの絵柄?
 殺意──。
 それは言葉通り、殺害すべき相手がおぼろでなければ成立するのだ。

「なッ──!」

 斬った手応え感じぬ違和感。今度はルイスが慄くおののくターン迎えた。

 緑から怒りの赤、『止まれ!』と凶烈強烈生死制止与えるかにみえたルヴァエル色彩の変遷へんせん
 まるで蒼き月、緑から赤の次は青。SIGNAL信号途絶おぼしきLOST喪失

 ──間違いなく『閃光Enzo』の緑だったんだ、他にもあるのか!?

 ルイス、またしても300年前の記憶を辿りルヴァエルが先祖。旧約聖書に在る『生命の大樹』の頂点に君臨くんりんするレヴァーラが最初に成し得た力閃光Enzo
 緑の輝きが渦成すおり、レヴァーラの精神・体力共に他を圧倒する能力を引き出した。ルヴァエルの躰、至る所に見られる緑こそマーダルイスが最も怯え震えた力の

 なれど緑から一瞬赤思わせる片鱗へんりん見せるも、次は青の朧月夜おぼろづきよを体現したルヴァエルの変幻自在。

「やあ、今のは流石に冷汗いたよ。まさかまで引っ張り出されるだなんてさ」

 冷汗掻いた──?
 それは嘘だと周囲に伝わる寧ろむしろ挑発の蒼色BlueSIGNAL。『青だ、お好きに行ってどうぞ』的な空気。

 処で黒猫RaviNeroラヴィネロと争う直前『俺達の戦いぶりを世界へ流すんだリークするんだ』だと珍しく豪語ごうごしたローダの憂鬱ゆううつ

 意識保ったまま2年ぶり、尊敬する兄との思いがけぬ再会果たすも『これが俺とルシアの仇』魂が眩みくらみそうな気分。完璧に彼はへ置き去りにされた。

 思わず愛するルシアへ目配めくばせ、情けない救い求めたローダの哀愁あいしゅう。『俺のは誰にも負けない! 不甲斐ふがいないないのは俺自身だ!』心音こころねで己を叱咤しった激励げきれいするしかない。

 ビュュュゥ……。

 うつなる彼氏の気分をさっした気遣いきづかいの出来る彼女ルシア。
 ルイスが振り下ろした紅色の蜃気楼レッド・ミラージュり抜けたルヴァエルのおぼろ度合を確かめるべく、風の精霊を送り込む試み。

 何も当たらずさわがず……。青に転じたルヴァエルは、風さえ意に介していない。存在自体、喪失そうしつした。映像だけの完全なる虚無きょむ

 ──と、云う事は攻撃へ転じる為に緑に戻らないと恐らく何も出来ない。

 ルシアがそう断定した矢先の出来事。

 ──『フフッ……。ルシア・ロットレン、貴様のナカに初めての悦びよろこび男の味はであったか?』

「──えッ!?」

 霊魂でも通り抜けた背徳はいとく感じたルシアの悪寒。確かに感じた女の声、されど16歳の少女ルヴァエルの台詞とは思えぬ不可思議。

 ──『我は男から手向たむけた愛撫を知らぬ……いや、違うな。金欲しさに跨るまたがるさみしきだけ。少女の熱にがされた夜なら、虚忘れるが如くあるのだがなフフッ』

 自嘲じちょう──。
 明らかに中年女性の妖艶ようえんあふれ出た声音こわね感じたルシア、これはルヴァエルの仕掛た幻想なのか?
 否──寧ろむしろ心に眠る本音に思えた女のかん空虚くうきょふちなぞった感覚であった。
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