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上巻
プロローグ 1
流れる雲をながめていた。
開けっぱなしの窓、揺れるレースのカーテン、首を振る扇風機……。
机の上にあったテキストが風にゆれ、パラパラとめくれた。
ああ、宿題なんて早く終わせて遊びたい……。
俺はため息をつきながらコーラを一口ふくみ、弾けたい思いを飲みこむ。
だが、体はなかなか言うことをきかない。
「ああ、遊びてー!!」
俺はバカみたいに叫んだ。
だが、反応したのは、にゃーなんてあくびするうちの猫くらい。
軒下にある縁側の日陰で、なんとも気持ちよさそうに寝転んでいる。
猫はいいなあ、悩みなんてなさそうで……。
まあ、あれだ、猫のことを考えたってしかたない。
とりあえず宿題をさっさと終わらせるしかない。
と俺はなんとか気持ちを切り替える。
カリカリと、集中すること小一時間……。
ふう、やっと宿題が全て終わった。
「よっしゃー! これで夏休み思いっきり遊べるぞ!」
テンアゲした俺の独り言は加速していく。
「さて、何しよっかな……誰か暇なやつと遊ぶか……」
俺はスマホを開いた。高校のクラスメイトで作ったグループLINEにメールを送る。
『今から遊べるひと~?』
さあ、どうかな……俺はコーラを飲んでしばし待つ。
反応がない……そっか、みんな忙しいか?
すると、トルン♪ トルン♪っと着信音が鳴る。
『無理、宿題やってる』
『俺も、ぜんぜんおわらん』
『え? もう終わったのか~?』
『まさかなw』
俺は『おわた』と返信する。
『おつかれ~』
『くっ……先にいけ……俺のぶんまで遊べ』
『俺の宿題もやってくれ~』
『自分でやれw』
ダメだこいつらは遊べそうにない……はあ……。
深いため息しかでない。すると、お腹の虫が、ぐうと鳴った。
壁にかかっていた時計をみると、まもなく2時を迎えようとしていた。
俺は腹が減っていることに気づき、家を出る。
庭の屋敷の縁側をとぼとぼと歩いて、新築の家に向かう。
うちの庭は広く、伝統的な日本家屋と今風の住宅が建てられていた。
ようは、祖父祖母の母屋と、若夫婦の家つまり俺の父親が建てた離れが混在していたわけだ。
では、なぜ俺の部屋が母屋にあるかと言えば、去年、爺さんが死んだからだ。
母屋に婆ちゃんだけだと、寂しいよねえ……。
そんな理由をつけて、俺は爺さんが使っていた広い部屋を手に入れ、大きなテレビと大きなベッドで寝れる欲求を満たしていたのだ。
父親が建てた家は離れとは言うものの、その見た目は近代的な和モダン建築でいかにも、大手企業が建てた豪華な平家、といった感じだった。
まあ、それだけ父親は稼いでいたということだ。
それにともない、俺は父親の姿を夜しか見ていない。
もっとも、高校生になってから、別に見たいとも思わなくなってきた。
きっと俺は順調に思春期を迎えることができているのだ。
そんなことを考えながら、その和モダンな家の玄関扉を開ける。
やけに静かだった。その足で台所に向かう。
すると、アイランドキッチンの下から横に倒れている足が見えた。
人生とは面白いもので、突然びっくりすることがおきる。
本当に何気ない日常が、一変したりする。
俺はありふれた高校2年生の夏休みを、ただ、ぼんやりと暮らしていただけに過ぎなかった。
開けっぱなしの窓、揺れるレースのカーテン、首を振る扇風機……。
机の上にあったテキストが風にゆれ、パラパラとめくれた。
ああ、宿題なんて早く終わせて遊びたい……。
俺はため息をつきながらコーラを一口ふくみ、弾けたい思いを飲みこむ。
だが、体はなかなか言うことをきかない。
「ああ、遊びてー!!」
俺はバカみたいに叫んだ。
だが、反応したのは、にゃーなんてあくびするうちの猫くらい。
軒下にある縁側の日陰で、なんとも気持ちよさそうに寝転んでいる。
猫はいいなあ、悩みなんてなさそうで……。
まあ、あれだ、猫のことを考えたってしかたない。
とりあえず宿題をさっさと終わらせるしかない。
と俺はなんとか気持ちを切り替える。
カリカリと、集中すること小一時間……。
ふう、やっと宿題が全て終わった。
「よっしゃー! これで夏休み思いっきり遊べるぞ!」
テンアゲした俺の独り言は加速していく。
「さて、何しよっかな……誰か暇なやつと遊ぶか……」
俺はスマホを開いた。高校のクラスメイトで作ったグループLINEにメールを送る。
『今から遊べるひと~?』
さあ、どうかな……俺はコーラを飲んでしばし待つ。
反応がない……そっか、みんな忙しいか?
すると、トルン♪ トルン♪っと着信音が鳴る。
『無理、宿題やってる』
『俺も、ぜんぜんおわらん』
『え? もう終わったのか~?』
『まさかなw』
俺は『おわた』と返信する。
『おつかれ~』
『くっ……先にいけ……俺のぶんまで遊べ』
『俺の宿題もやってくれ~』
『自分でやれw』
ダメだこいつらは遊べそうにない……はあ……。
深いため息しかでない。すると、お腹の虫が、ぐうと鳴った。
壁にかかっていた時計をみると、まもなく2時を迎えようとしていた。
俺は腹が減っていることに気づき、家を出る。
庭の屋敷の縁側をとぼとぼと歩いて、新築の家に向かう。
うちの庭は広く、伝統的な日本家屋と今風の住宅が建てられていた。
ようは、祖父祖母の母屋と、若夫婦の家つまり俺の父親が建てた離れが混在していたわけだ。
では、なぜ俺の部屋が母屋にあるかと言えば、去年、爺さんが死んだからだ。
母屋に婆ちゃんだけだと、寂しいよねえ……。
そんな理由をつけて、俺は爺さんが使っていた広い部屋を手に入れ、大きなテレビと大きなベッドで寝れる欲求を満たしていたのだ。
父親が建てた家は離れとは言うものの、その見た目は近代的な和モダン建築でいかにも、大手企業が建てた豪華な平家、といった感じだった。
まあ、それだけ父親は稼いでいたということだ。
それにともない、俺は父親の姿を夜しか見ていない。
もっとも、高校生になってから、別に見たいとも思わなくなってきた。
きっと俺は順調に思春期を迎えることができているのだ。
そんなことを考えながら、その和モダンな家の玄関扉を開ける。
やけに静かだった。その足で台所に向かう。
すると、アイランドキッチンの下から横に倒れている足が見えた。
人生とは面白いもので、突然びっくりすることがおきる。
本当に何気ない日常が、一変したりする。
俺はありふれた高校2年生の夏休みを、ただ、ぼんやりと暮らしていただけに過ぎなかった。
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