乱交的フラストレーション〜美少年の先輩はドMでした♡〜

花野りら

文字の大きさ
2 / 42
上巻

プロローグ 2

  キッチンで倒れている人の足を見て、一瞬、時が止まった。
  
  いや、逆に時が変な方向に動き出したのかもしれなかった。
  
  俺はハッと我にかえる。
  
  すぐに、その人は自分の母親だとわかった。
  
  顔を近づけると酒の臭いがした。
  
  ああ、やっぱりか……。
  
  最近、母親は昼間から酒を飲んでいるらしい。
  
  との情報を、うちの婆ちゃんから前々から聞いていた。
  
  うちの婆ちゃんとは、俺の父親のお母さんだ。
  
  俺は夏休みで家にいるようになったので、その真相を確かめようとしばらく母親の様子を母屋の部屋からうかがっていたが、酒を飲んでいるようには見えなかった。
  
  これはどうも、婆ちゃんの見間違いだろう、と俺は踏んでいた。
  
  だが、その矢先だった。
  
「おい、おかあさん!  大丈夫か?  おい!  おい!」

  激しめに肩を揺すると、母親は酒臭い声でやっと反応した。
  
「ああ!  大丈夫、大丈夫……いま何時?  ああ、夏休みだったわね、お昼にしよっか?」
 
  と言って、立ち上がるが、ドテッと尻餅をつく。
  
  どうしようもないなあ……。
  
「ああ、いいよ、いいよ、適当にお茶漬けでも食べるし」

  俺は家庭のことは諦めて、自分のことは自分でしようと決めた。
  
  お茶漬けに大量の氷を入れてかき混ぜ、腹を満たす。
  
  食べながら、母親を見てみた。というよりは診察に等しかった。
  
  母親はジッと何かを見つめたかと思うと、いきなり笑いだした。
  
  そして、狂ったように頭をかきむしる。
  
  なんだこれは?  母親のこの症状はなんだ?
  
  というか、俺は……ここにはあまりいたくないなあ……。
  
  俺は茶漬けを食べて部屋に戻った。
  
  気づくと、俺は部屋の中でドアにもたれたまま、しばらく立ったままだった。
  
  体が震えてきた。
    
  たぶん、これはきっと……悲しみというやつだ。
  
  目の奥が熱くなってくるのがわかった。
  
  だが、男の俺が簡単に泣くわけにもいかず、何か客観的な状況を作り出すことに努力してみる。
  
  とりあえず、母親についてまとめてみることにした。
  
  まあ、簡単に言うと、うちの母親はアル中ってやつだ。きっと助からない。
  
  病院に行って、お薬を処方されることの繰り返しだろう。
  
  でも、俺は気にしない。
  
  母親がアル中だろうと、ガンだろうと、脳梗塞だろうと気にしない。
  
  泣くかもしれないが、ずっと気にしていてもしょうがない。
  
  なぜか……それは人間はどんな生き方をしていようといずれ死ぬからだ。

  去年、爺さんの葬儀をしているときに、まあ、死ぬよな……人はどんなにしてようと必ず死ぬ……そうだよなあ、と腑に落ちたものだ。
  
  そして、俺は爺さんにありがとうと感謝した。
  
  俺が生を授かり、この世でこうして元気でいられるのも、爺さんが頑張ってセックスをしてくれたおかげだからだ。
  
  ありがとう……爺さん……。
    
  棺桶に寝かされた爺さんの亡骸を見ている時に、頑張れって告げられているような気がした。
  
  頑張れ?  ああ、そういうことか……。
  
  俺はまだこの世で何もしてないからなあ……と気づかされた。

  ああ、そうだよ……俺は童貞だった。

  童貞のまま、子孫を残せないまま死ぬなよ……。
  
  と、爺ちゃんから告げられているような気がした。
  
  そして、じいちゃんは燃えて灰となった。
  
  まあ、でも焦るな、時間ならたっぷりある。

  そこで、俺は人生とはなんだろうかと考えてみる。
  
  だが、なかなかその答えは自分の内側からは出てこない。
  
  そういうときには、何か答えはないものかと外側に目を向ける。
  
  本を読み、時に人の話しを聞き、映画を鑑賞する。
  
  俺は特に映画の鑑賞をすることがよきだと考えていた。
  
  単純に映画が好きだったこともある。
  
  人生とは何か?  生きるとは何か?  
  
  映画には、その答えを見つけるヒントがあるんじゃないかと思っていた。
  
  とりあえず俺は指先で涙をぬぐうと、部屋の窓とカーテンを、ザッと閉めた。
  
  冷房を入れて、間接照明だけにして幻想的な空間を演出する。
  
  そして、テレビをつける。デカかった。55インチの有機ELテレビだった。
  
  爺ちゃんの遺産だと思っている。
  
  今の俺にはこの映像の世界が希望の光だった。
  
  俺は狂った世界から抜け出すように、DVDプレイヤーを起動させる。
  
  テレビは明るくして見ましょうなんて注意喚起してるけど、夢中になるなら絶対暗くするしかないだろう。
  
  俺はソファにドカッと腰を下ろすと、映画館にいる雰囲気で鑑賞した。
  
  映画が始まった……。
  
  主人公は男だ……ある一人の男が綺麗な女と結婚した。
  
  男は仕事と家庭を順風満帆に進む船のごとく人生を謳歌していた。
  
  だが、人生とは面白いもので、突然びっくりすることがおきる。

  なんと、妻は浮気をしていたのだ。
  
  男は妻と浮気相手ともども殺そうと拳銃を手に取り浮気現場に忍び込む…・・だが、そこにはすでに死体となった妻がいた。そして、男は無実なのだが、儚くも刑務所に投獄されてしまう。
  
  男はそこで終身刑を迎える……。
  
  つまり、死ぬまで塀の外には出られない。
  
  その、はずだった……。
  
  そのはずだったのだが、男は最後まで人生を諦めなかった。
  
  どんなに残酷な痛いめにあっても、どんなに最悪な環境でも、男は諦めなかった。
  
  いつか必ず希望の光がさすと信じて自分の人生と戦っていた。
  
  そして、映画はハッピーエンドで幕を閉じた。
  
  俺はエンドロールを飛ばすことができなかった。
  
  なぜなら、号泣して動くことができなかったからだ。
  
  めちゃくちゃ最低で、残酷で、不幸で、クソみたいな世界でも、絶対に諦めない男がいたのだ……俺もそんな男になりたいと思った。
  
  この男の人生に比べたら、俺の人生なんて、ショートケーキのようだ。
  
  この男の人生に比べたら、俺の人生なんて、イージーなRPGゲームのようだ。
  
  俺はガンとして奮い立った。そして、ザッとカーテンを開ける。
  
  外は青紫色がにじみ、ゆっくりと夜の帳が落ちる景色が広がっていた。
感想 1

あなたにおすすめの小説

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。 **2026.01.02start~2026.01.17end** ◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です! https://estar.jp/novels/26513389

義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった

くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。 血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。 夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。 「……涼介くん」 薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。 逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。 夜、来て。 その一言が——涼介の、全部を壊した。 甘くて、苦しくて、止まれない。 これは、ある夏の、秘密の話。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。