異世界探偵はステータスオープンで謎を解く

花野りら

文字の大きさ
14 / 115
第一章 異世界の村 毒の森 盗まれた三億の金貨

12 美少女を緊縛して捕らえてみた

しおりを挟む
「御主人様……この子は誰ですか? えっ……なんでネクタイで腕を縛られてるのですか? それ御主人様のネクタイじゃないですか……何してたんですか?」
「いやややや、違うんだ! 誤解している」
「御主人様って……そういう趣味があったんですね……」
「ちがうちがう! じつはこの子は盗賊なんだ。だからこうやって緊縛して村長に突き出してやろうと思っているところだ」
「ふーん……盗賊? そうなふうには見えません。可憐な少女にしか……」
「見た目に騙されるな。この姿はいつわりかもしれん」
「ほんとですか? 縛っていやらしいことをするつもりでは?」
「何をバカなことを……」

 リンちゃんは相変わらず冷たい目で俺を見つめている。

「どうだか~?」

 と言って腕をのばしながらストレッチをする。
 本当に寝ていたようだ。猫などの動物はお腹いっぱい食べたあと眠ってしまう習性がある。そんな無防備なリンちゃんを拉致したというわけか。この少女、見た目は可憐なくせに許せない。さっそく『サーチ』したステータスの内容について問いつめてみよう。
 
「あかねちゃん……悪いことは言わない。素直に金貨のありかを言えば自由にしてやってもいいぞ」
「ふっ……甘いなぁ貴様。ひょっとしてその猫娘といっしょに異世界に来たばかりだろう?」
「ああ、実はそうなんだ。だから情報がほしい」
「情報?」
「ああ、魔王について何か知ってたら教えてほしい」
「魔王……そういえば、転移したときに、神が魔王を倒してくれっていってたな」
「ほう、あかねちゃんも転移してたのか?」
「まぁな……っていうか……そのあかねちゃんってやめてくれないかな! そもそもなんで私の前世の名前を知ってるんだよ?」
「これを見てみろ」

 俺は指先で四角をつくってあかねちゃんを枠におさめた。
 キュイン、という音が鳴るとウィンドウが現れた。
 
『 あかね りょうりにん せいべつ:おんな 』
『 レベル:18     ねんれい:28  』

『     ちから:  3  』
『    すばやさ: 68  』
『   みのまもり: 34  』
『    かしこさ:255  』
『   うんのよさ: 88  』
『  さいだいHP: 87  』
『  さいだいMP:200  』
『   こうげき力:  8  』
『    しゅび力: 42  』

『 EX:     5820 』
『  G:300008700 』

『 スキル:リフリジュレーター』
『 のろい:永遠の少女    』
『 まほう:火        』

 俺はウィンドウに手をかざし操作しながらステータスをオープンしていく。
 両手の指先で画面の枠に触れ、そのまま両手を広げてウィンドウを拡大させた。
 するとあかねちゃんはびっくり仰天して目を大きく見開いた。顔面も蒼白としている。

「わわわわわ! なんだこれ? 見るなぁ見るなぁ……」
「ふふふ……君、少女のくせに二十八歳っておばさんじゃないか? それにこのGのところをよく見てみろ。なんでこんな大金を持っているのかな? これ盗んだ金貨だろ?」
「わ、私はおばさんじゃない……お姉さんといえ! 金貨だって私のものだ……」
「信じられない」
「この金貨はもともと私のものだったんだっ」
「どういうことだ? 説明してくれないか?」

 あかねちゃんはコクリとうなずいた。
 俺はあかねちゃんを椅子に座るよう促した。リンちゃんもそれに倣う。詳しく話を聞こうと思い、俺もテーブルの椅子を引いて腰を下ろした。
 
「何があった?」
「私が転移した場所は王都ネイザーランドの中心地だった。そこは絵に描いたようなファンタジーな世界で、剣と魔法がすべての世界だった」
「ほう……それで」
「私はとりあえずギルドにいって冒険者として登録をした。金を稼ぐためだ。魔獣を倒して皮を剥ぎ取り、その素材を換金する。そしてその金で食料を買って飢えをしのぐ。そうやって食いつないできた。だけど……」
「どうした?」
「私は可憐な少女だ……」
「自分で言っちゃったな」
「そして私は弱い。どう見たって戦闘職キャラじゃないだろう。魔法だって弱っちい生活に役立つ程度のファイヤー系しかできない。そんなプレイヤーは、良くてマスコットキャラ、悪くて性奴隷だ。私は秒でパーティから逃げだしたよ」
「そ……それはヤバかったな」
「ああ、あやうく異世界で私は戦士たちに……って貴様、そんなことはどうでもいいだろっ」
「……で、どうなったんだ?」
「それから私は異世界を生きていくため作戦を変更した。冷静になって神経を集中させてみたんだ。すると……」
「なんだ?」
「冷蔵庫が出てきたんだ……」
「はい?」
「れ・い・ぞ・う・こ・だよ! 冷蔵庫! それ以来、私は冒険者ルートをやめて商人ルートに移行したってわけ。おかげで私は大金持ちになった」

 あかねちゃんは語り終わると、ふぅ、とため息を吐いた。
 こんな可憐な美少女に、そんな波乱万丈なことができるのだろうか?
 俺はもう一度、あかねちゃんのステータスを確認した。
 たしかにスキルのところに『リフリジュレーター』と載っている。和訳すると冷蔵庫だ。それにしても、なんで異世界の言葉が英語と日本語が主流なんだと今更ながらに思った。村人とも普通に話せたし……謎は深まるばかり……だが、まぁ、あれだ。そこに関しては、いまは頭が混乱するので気にしないことにする。

「あかねちゃん……冷蔵庫が出せるのか?」
「出せるけど……このネクタイがキツくて無理……」

 あかねちゃんは身をよじって、緊縛された腕をアピールしてくる。
 
「といて……」
 
 と甘えた声で俺に懇願する。救いを求めるように、上目使いをしてくるのは言うまでもない。やはり女の武器は恐ろしい。

 ええい、しかたない。もし逃走をはかったら今度は体ごとぐるぐるに緊縛してやるからな。そう決めた俺は、あかねちゃんの手首からネクタイを外してやった。

 あかねちゃんは、締めつけられていた手首を揉みながら俺を睨んだ。しかし口元は、クスッと微笑んでいるように見える。心のどこかで俺のことを甘いやつだ……とでも思っているのだろうか。俺はネクタイを自分の首に巻き直した。
 
「ちょっとそこをどけ……」
「あ、すいません」

 あかねちゃんにそう言われたリンちゃんは、ぴょんっと飛んで空間をあけた。
 リンちゃんはこれから何が起こるのだろうと言った表情でわくわくしている。
 もちろん俺もそうだ。異世界に冷蔵庫なんて本当かよ? もし本当だとしたら、また美味しい料理が食べれるかもしれない。
 
 ゴクリ……。俺の頭の中で、さっき村人たちと一緒に食べた日本のB級グルメの味が広がってきた。
 いかん、またよだれが……。
 するとあかねちゃんは指先を唇に当ててから、チュッと投げキッスをした。

 ボワン、という音と煙りがあがった。

「……なっ……マジか!」

 部屋の中央の虚空から、突然、冷蔵庫が出現した。
 しかしよく見てみると表面しかなかった。つまり扉しかない薄っぺらな状態で冷蔵庫が立っている。
 かなり不自然な現象だが、ここは異世界だ。受け入れるしかない。
 あかねちゃんは黙って冷蔵庫を見つめていると口を開いた。
 
「探偵さん……私と取引をしないか?」
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました

グミ食べたい
ファンタジー
現実に疲れた俺が辿り着いたのは、自由度抜群のVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。 選んだ職業は“料理人”。 だがそれは、戦闘とは無縁の完全な負け組職業だった。 地味な日々の中、レベル上げ中にネームドモンスター「猛き猪」が出現。 勝てないと判断したアタッカーはログアウトし、残されたのは三人だけ。 熊型獣人のタンク、ヒーラー、そして非戦闘職の俺。 絶体絶命の状況で包丁を構えた瞬間――料理スキルが覚醒し、常識外のダメージを叩き出す! そこから始まる、料理人の大逆転。 ギルド設立、仲間との出会い、意外な秘密、そしてVチューバーとしての活動。 リアルでは無職、ゲームでは負け組。 そんな男が奇跡を起こしていくVRMMO物語。

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

処理中です...