魔科大戦〜世に挑んだ一人の少年〜

鹿之翆才

文字の大きさ
24 / 25
二章〜未来〜

【第六話】決戦

しおりを挟む
「なるほどなぁ」
 奴の魔導が何となくだが見えた、だが見えただけだどうすりゃいいかはわからねぇ、理由は2つ、そのうち1つは奴の魔導だ、奴の魔導は驚く程シンプル、ただの【身体強化ビルドアップ】だ同じようなやつとは何度も戦ってきた、だがこいつは少し違う、【身体強化ビルドアップ】による身体能力の向上こいつはそれが他の奴とは桁違いだ、ただの突進ですら壁にめり込む威力だ、ここは【魔法連合マジカリスタ】最大のセキュリティを誇る施設だぜ?そこにまるで豆腐なんかに突っ込んでんのかってくらいの勢いだ
「…魔錆日でこれとかお前どうなってんだぁ?」
「…我は神に選ばれし者よ…貴様らのような愚か者とは違う…」
 割とまずい、俺が万に1つも負けることはなくてもかなりのダメージは覚悟した方が良さそうだ
戦槍ランス…アルケミー」
 俺は自らの手に槍を出現させ突っ込んだ、だがもちろんかわされる
「単純バカがぁ」
 その瞬間自分の服を無数の剣山にして防御したやつは拳を下げ、後ろへ跳んだ
「…不思議だな」
「あ?」
「【部屋ルーム】の魔導は自らの魔力でドームを創りその中のものならなんでも操れるというものではなかったか…私自身はともかく私の服やこのマスクを使えば私をいとも容易く殺せるのではないか…?」
「ちぃ…」
 気づかれたか、そう俺が不利な理由2つ目それはあいつと俺の魔導の相性だ、俺の魔導には少しのラグがある、その時間僅か1秒直接手で触れている時を除けば必ず1秒はかかる、あのアンドロイド相手の時はあらかじめ【部屋ルーム】を貼っていたからその間に細工を仕掛けることができたが今回は違う、どうにかしてあいつの動きを1秒間だけ止めるかもしくは直接手で触れるかすればあいつを殺せるが
「それが出来ねぇから困ってるってのによぉ!」
 奴の足元の地面をせり上げて天井と挟み押し潰そうとしたが、なんと殴って砕いたせり上がってる地面をまるで瓦割りのようにだ
「このっ…バケモンがぁ!」
「よそ見をしていていいのか?」
 気づいた時にはもう後ろに回られていた、しまったと後ろ振り向いた時には俺は反対側の壁に打ち付けられていた
「…どうした…これで終わりか…こんなものか…がっかりだ…」
 やつが無防備に近づいてくる
「バカがぁ…」
 その瞬間自分の背中の壁を押し出して飛び出した
やつは今は無防備、完全に避けることは不可能だつまり
「チェックメイトだぁ」
 飛び出した時に指先が一瞬だけ触れた、その触れた瞬間に奴の服の内側だけを鋭利な刃物に変えて串刺しにした。
鉄の処女アイアン・メイデンとでも言うかぁ…あぁーいってぇ~ここまでは久々かぁ…クックックおもしれぇなぁ!?」
 俺は天を仰ぎ言った、あぁ今の自分はなんてついているのだろうと今この世界でここまで幸せなのは俺以外にいるのかと、楽しくてたまらないこんな晴れやかな気分は初めてだ、もし全ての人物の運命を決める神がいるのならば一言言いたい、


「ハッ!なかなかやるじゃねぇかジジィ!気に入ったぜ!」
「気に入られても特に嬉しくはないがのう、ほれ」
 空中で身体を捻り蹴りを一発繰り出す、だが全く効きてる様子は無い、一応全力なんじゃがな
「そこまで効かないとちょっとへこむのぉ、お主なんなんじゃ」
「は?何って普通に人間だよ、科学者達によって遺伝子構造から何から何まで変えられた、哀れな人間さ」
「それが本当ならお主魔導を使えないのか?【科学連合サイエンティスタ】はそういう人体実験は自国でやるからの」
「そーだけどなんか文句あんのか?おめぇも同じだろ、魔導の気配を感じねぇまさかとは思うがおめぇ俺と同じ改造実験の」
「お主が思っとるのとは多分じゃが逆の人間じゃろうな、昔に研究のレポートを見たことがある人間の原子配列を当人の思うがままに操ることが出来る人間の研究、今のお主にそっくりじゃの」
 呆気にとられていた、それはもう大層なマヌケ顔でだと思っておったら、急に俯きながら震えて話し出した
「貴様等科学者のせいで…俺は…俺たちは…どれほど惨めだったと思っている!【科学連合サイエンティスタ】を追い出され!人として生きるだけでどれほど苦労をしたか!」
「あぁうるさいのぉ、言っておくがわしはその研究全く関わっとらんぞ、わしは興味がなかったからの」
 なだめようと自分は無関係だと伝えるが、わなわなと震えるやつに声は届くはずもない
「はぁ…仕方ないのぉ【血燐けつりん】」
 【血燐けつりん】自身の血液中にあるナノマシンを一斉に稼働させ身体能力を底上げする、わしの体内の内蔵はほとんどアンドロイドと変わらん自身のダメージになることはない
「すぐに片をつけるかの」
「やってみろクソジジイ!!!!!!【金剛石ダイヤモンド】!!!!!!」
 瞬間、2人が飛び出し2人のちょうど真ん中でぶつかり合った、いや正確にはぶつかりそして弾き飛ばされた
「ゲホッガハッ、ハァ…ハァ…科学者なんぞに…負けるとは…」
「だから言っとるじゃろわしは全く関係ないと、なぜわしを目の敵にするそれはお門違いってやつじゃよ」
「うるせぇ!科学者のせいで俺は…俺は!!!!」
「あほらしいのぉさっさと先に行かせてもらうぞ」
 スタスタと立ち去ろうとする、すると後ろから声が聞こえてくる、待て逃げるのかなどという罵声…なのか、だがあいにくわしにはもう何も無い、世界や他の人間なぞしらん、そうして無視を続けているとだんだんと声がほそくなっていき、ついには何もならない静寂となった



 危険信号を【bit】が鳴らす、私の偵察機のスペックでは勝てないことを物語っている
「だからと言って、負ける訳にはいかないのよ!【解放バースト】【拡散ショット】」
 羽の兵装を解放し拡散して放つ、だがやつはいくら体が崩れようとお構い無しに突っ込んでくる、アンドロイドならば当然だしかもこいつは私よりも最新のバージョンが搭載されている、私のスピードではこいつの攻撃を避けることは不可能だ
『【集中弾シュート】』
 気がついたら目の前にいた、私のセンサーも追いつけない程のスピードだ、私は奴の攻撃を左肩に受けた、幸い動かせないほど損傷がある訳では無いまだ左腕はつかえる
「【反重力アンチグラビド】【核砲ニトロショット】!」
 ビルマ戦の何倍にも威力が上がった攻撃で攻め立てる、今回はあの時と違い【針釘】は撃てない、つまり真っ向からで勝つしかない!
「【bit】!【全解放フルリリース】!」
 その時【bit】が弾けそして私の周りに浮遊している
「【融合ユナイト】!」
 次々に私のからだと合体していく、【bit】はただの偵察機では無い、いつもは容量が多く咄嗟の動きができないため外していた私専用の強化パーツ、その名を【マジカリズムアーマー】!
「【火炎陣】!」
 そう言った時奴の足元に魔法陣が形成され、巨大な火柱が出現した、この【マジカリズムアーマー】は多種多様あらゆる魔法陣をどこにでも形成することが出来る
「これが!科学と魔法2つの力だ!【核砲ニトロショット】!」
 立て続けにもう1発放つ、これでやれたかと思ったが、そうは上手くいかない、強引にからだが壊れながら突っ込んできたが当たっても全くダメージが無い、だが何度も何度もからだを私に打ち付けてくる、まるで任務に取り憑かれた人形…いやまるでは違う、私たちアンドロイドは人形だ
「…あなたも、何かを感じることができたなら、何かを思うことが出来たら…なにか違ったのかもね…すいません」
 そう言いながら私は彼の首を切り先へ進んだ、その時私は初めてどこかもわからない痛みを感じた。



 カツンカツンという音は変わらず聴こえる、いや少し音が増えた、これは水滴の音か?その音のさきには、返り血に塗れたヘルクの姿があった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...