新月を追って

響 あうる

文字の大きさ
5 / 38
第1章

【5話】はじまり※(複数)

しおりを挟む

「お前って、オトコに犯されんのがスキなのな」
「ちがっ」

 はあ、はあ、と上がる吐息の合間に外村が耳元で囁き、敦志は大きく目を見開いた。そして、無駄と知りながら身を捩って抵抗する。


「そんなに勃ってんのに?」
「違っ…そん、な…じゃっ」

 外村の更なる言葉に、はっと息を呑む。言われるまま目を向けると、勃っている自分のものが目に入り、絶望的な気分になった。見ていたくなくて目を閉じると耐えていた涙が頬を伝う。
 外村が、その涙を舌で舐めると


「くそ、…ヤッてんのは俺なのに」
「あ!…は、っ…あ、ぁっ…」

 上岡も敦志の関心を惹きたくなったのか、無我夢中に突き上げる。するとぼんやりとだが敦志が上岡を見やり、目が合ったことで上岡は更に昂った。喘ぎ声と、ぶつかり合う肌の音がお互いの熱を上昇させていく。


「もうっ…出る」
「ぁ、あ!ん、……ん…は…」

 注がれる熱さと陰茎を抜かれる刺激に、敦志はビクビクと身体を震わせた。だが、達することが出来ないので苦悶の表情を浮かべる。


「松島さんはヤらないんっすか?」
「んー…今日はいいかな」
「じゃあ…もう、いいっすよね」
 
 外村は、そうつぶやくと羽交絞めを解き、座卓に仰向けに押し倒された敦志に、両手を押さえつける様にして覆いかぶさった。
 まだ肩で息をする、その虚な目に自分を見つけると既視感を覚え、どうしようもなく昂る。
 その証を分からせるように腰を密着させると


「ぁ……っな、んで」

 外村の整った顔に見下ろされ、欲情されていることにゾクッとして腰が揺らめく。
 それはまるで、敦志も求めているようで、たまらなく卑猥だった。


「欲しいんだろ、これが…」
「ちがっ」

  片手で、敦志の両手をまとめて押さえると、外村は陰茎をズボンから出した。そそり勃つそれに、思わず目を逸らせずにいると

「あ!あっあああぁっ…」
「見ろよ…お前のココ、こんな咥え込んで」

 そう言いながら何人もの精液で満たされ、焼けつきそうに熱い、そこを突き上げた。その、刺激に敦志の口からは淫らな吐息が漏れる。
 敦志にとっても、自らを苛む外村のそれは熱く、
 

「あ、あっ…ん、んんっ…」
「だから、…目、閉じ…んなよ…」
「ん、ぁっああ!」

 まるで悦んでいるような声がやめられず、それから逃れるように頭を横に振り、目を閉じた。
 視界を遮ったことで余計に、外村の囁きが快楽を含んでいる事を思い知らされる。
 思わず、目を開けると目が合い、ゾクゾクッと快楽が突き抜けた。


「そうやって…見てろ、お前が……誰に抱かれてんのか」
「あ!あぁっ…ん、んぁあっ」

 外村の言葉に、羞恥からか頬に熱が集中した。それに耐えられず、目を伏せると図らずも外村の陰茎を受け入れている自分が目に入り、ゾクゾクと快感が上り詰める。


「あっ!も…イ、ぁ…イかせ、てっ」
「だったら…言えよ、もっと……犯して下さいって」
「誰がっ」

 外村が熱に浮かされるような目で、声で囁くと敦志は大きく目を見開いた。そして間髪容れずに右腕に力を込める。それは直様、外村に押し付けられてしまったが、殴れるなら殴りたかった。
 仕方なく睨みつけるが、快楽に潤んだ瞳では効果はなかった。


「本当に…お前は…」

―――誰、なんだ?

 "あの人"に似てる顔で、穢されてるのに知らない表情を見せる。重ね合わせていたつもりが、いつの間にか触れ合ったところからの熱に奪われていく。
 熱に、上がる吐息に上書きされて、もう目の前のその表情が欲しいと胸を締め付ける。


「もう……中に出すぞ」
「や、やめっ…」
「は、…悦べよ」
「ふざけっ…んな、」

 外村の言葉が、いちいち敦志をカッとさせる。男に抱かれているだけでも耐えがたいのに、そんな自ら求めるようなことを言えるはずがなかった。
 それなのに、それでも、突き上げられると身体の奥が甘く痺れ、無意識にそれを追い求めて腰が揺れる。


「あぁ…あ、ぁっん、んん!……も、おねがっぃ、かせてっ」

 虚勢も長く続かず、口から出る自分のとは思えない喘ぎ声から逃れようと、敦志は頭を横に振って目を閉じる。
 熱い涙が頬を伝い、外村は再び、その涙を舐め上げた。そして、敦志自身を縛るネクタイを解いた。


「あ!ああああ、…ん、あぁ、あっ」

 解放された瞬間、ビクビクと震わせ、硬く天を向いていた敦志自身からどろどろと精液が溢れ出る。中に咥え込んでいた、外村のそれもキツく締め付けた。


「…上岡、スマホ……とって」
「お、おぅっ」

 外村は、肩で息をする敦志から目を離せないまま、手だけ上岡に向けて差し出した。
上岡は慌ててスマホを取ってきて外村の手に乗せる。
そして

「俺も写メ撮ろっと」

 その上岡の言葉と、外村にカメラを向けられて、敦志は我に返り、やめろと唯一自由の利く左手で外村のスマホを弾き飛ばす。


「は、…わりぃな、こっちの方が欲しいんだよな…?」

 コントロールが悪く、手の届く範囲に飛ばされたスマホを手に取ると、カメラを向けながらグンッとまだ繋がったままの陰茎を突き上げる。
 一度、中に出したはずなのに、再び強度を取り戻したそれに敦志は唇を震わせる。


「う、そ…っだろ」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

ビッチです!誤解しないでください!

モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃 「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」 「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」 「大丈夫か?あんな噂気にするな」 「晃ほど清純な男はいないというのに」 「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」 噂じゃなくて事実ですけど!!!?? 俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生…… 魔性の男で申し訳ない笑 めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。

山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。 お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。 サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。

僕と教授の秘密の遊び (終)

325号室の住人
BL
10年前、魔法学園の卒業式でやらかした元第二王子は、父親の魔法で二度と女遊びができない身体にされてしまった。 学生達が校内にいる時間帯には加齢魔法で老人姿の教授に、終業時間から翌朝の始業時間までは本来の容姿で居られるけれど陰茎は短く子種は出せない。 そんな教授の元に通うのは、教授がそんな魔法を掛けられる原因となった《過去のやらかし》である… 婚約破棄→王位継承権剥奪→新しい婚約発表と破局→王立学園(共学)に勤めて生徒の保護者である未亡人と致したのがバレて子種の出せない体にされる→美人局に引っかかって破産→加齢魔法で生徒を相手にしている時間帯のみ老人になり、貴族向けの魔法学院(全寮制男子校)に教授として勤める←今ここ を、全て見てきたと豪語する男爵子息。 卒業後も彼は自分が仕える伯爵家子息に付き添っては教授の元を訪れていた。 そんな彼と教授とのとある午後の話。

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

今日もBL営業カフェで働いています!?

卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ ※ 不定期更新です。

処理中です...