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19 今、明かされる真実とか、愛とかの件
国教の神であるオロ神の登場と王の介入によって、俺の要望は受け入れられることとなった。
これからキナの国は、大国を通り越し、龍仙国の一商人である俺と直接取引をすることになるのだ。
商品の輸送は、黒龍の会社に頼むこととなるのが少し、不満だったが他に海を渡ることのできる連中がいないのだから仕方がない。
とりあえず、今回は、青い布をあるだけ買うことにした。
その金額は、俺の想像を遥かに超えていた。
俺は、布代として、キナの国に100ボル支払うことになった。
それは、龍仙国の通貨で、1ボルは、1000ギルで1ギルが、100イェルだった。だいたい、1イェルが10円ぐらいの価値だったから、約1億円ぐらいの金額となった。
もちろん、支払いは、黒龍だった。
シエナは、布の価格を普通の布より少し高いぐらいに設定してくれたのだが、それでも結構な金額になった。
俺は、黒龍がシエナに現金で支払うのを見てごくりと息を飲んだ。
1ボルというのは、金貨1枚のことだったが、金貨が、箱で何箱も積まれていた。
これが、全部、俺の借金になるのか。
うわっ。
本当に、大丈夫なのか?俺。
だが。
俺は、目を閉じてすぅっと深呼吸をした。
そして、目を開くと俺は、シエナの差し出した契約書にサインをしてこの貿易の契約を締結した。
もう、後には、戻れない。
売って、売って、売りまくらなくては。
俺たちは、次は、アナの研究している赤い布と緑の布も生産してもらい、仕入れることを約束していた。
俺は、契約の場に立ち会ったアナに言った。
「頼んだぞ、アナ。君に全てがかかってるんだ」
「はい、お任せください、神妃様」
アナは、緊張した面持ちで、だが、しっかりと俺に頷いて見せた。
「もっと、もっと、この世界に隠されている華やかな色を、私は、現したい」
こうして商談は、まとまった。
俺は、すぐにも龍仙国へと帰りたかったが、シエナの王位継承の式典に出席して欲しいと頼まれ、断ることもできずに、もう2週間、キナの国に留まることとなった。
だが、荷物はすでに黒龍が手配してくれ、龍仙国へと向かっていた。
俺は、何通かの手紙を樹理と柴あてに書いた。
そして、手紙と一緒に『人魚姫』の物語を託した。
黒龍は、いつもと変わらぬ冷酷にすら見える表情で、俺から荷を受けると言った。
「安心しろ、アマヤ。俺の会社は、この世界で1番、確実に荷を届けられる。3日もすれば、この荷は、龍仙国のお前の仲間たちのもとへと届けられるだろう」
「なら、いいんだがな」
俺は、冷ややかに言った。
「もし、何かの事故で届かなかったりしたときは、10倍の額を保証して貰うからな」
「いいだろう」
黒龍は、にやっと笑った。
なんか、その笑みに、俺は、背筋がゾクゾクした。
傲慢で、嫌な奴。
だけど、今は、こいつを信じるしかない。
シエナの王位継承式は、国をあげてのお祭りになった。
俺とオロ神に、なぜか、カースや月花までが駆り出されて、国王の隣に祭り上げられていた。
俺は、あまりの緊張感に胃が痛かったが、オロ神は、そんな俺を優しく、癒し、励ましてくれた。
「大丈夫ですか?神妃様」
「ああ」
俺たちは、みな、オロ神と同じ、白と青の式服を着せられて、シエナの玉座を挟んで両脇に並んで座っていた。
オロ神だけが、薄いブルーのベールを纏っていた。
黒髪に、あの双子を思わせる青い瞳。
俺は、オロ神の隣に座って、アナからきいたオロ神についての話を思い出していた。
オロ神もまた、月花の母である春花と同じ、瘴気の子だった。
前々回の神妃の生んだ子であるオロ神は、最初、この地で、細々と魔女として暮らしていたのだそうだ。
しかし、その魔力によって、人々に貢献し、それ故に、人々から尊敬を集め、愛され、いつの間にか、神格を得てこの地の神となった。
「オロ神の父親は、どの神だったわけ?」
俺は、何気なさを装ってきいた。アナは、小首を傾げた。
「それは、私には、よくわかりません。なにしろ、かなり昔のことですので。もっと以前よりお仕えしていた者たちなら知っているのかもしれませんが。でも、オロ神が、戦神であるシグリード神と縁のある神であるということは間違いないのですが」
シグリード?
確か、月花が黒龍のことをそう読んでいなかったか?
ということは、もしかして、オロ神は、やつらの肉親、というか、子供なんじゃね?
俺は、なんか、胸がムカムカしてくるのを感じていた。
オロ神が、奴等と先々代の神妃との子供だと考えると、なんか、複雑な気持ちになる。
なんと言えばいいのか。
よくわからない、謎の気持ちに俺は、心穏やかではなかった。
式典が滞りなく終わり、祝いのパーティが始まってしばらくして、シエナが俺に声をかけてきた。
「どうした?アマヤ。また、顔が怖くなってるぞ」
「えっ?」
俺は、シエナの言葉に、はっとして慌てて言った。
「そんな、こと、ないだろ?」
「いや、本当に」
シエナは、マジな顔をして言った。
「まるで、恋敵でも見るような目でオロ神を見ていたぞ」
「そんなわけが」
俺が言おうとしたら、シエナが少し、寂しげに微笑んだ。
「お前は、この式典がすんだら、龍仙国に帰るのだな、アマヤ」
「ああ」
俺は、それを考えると、ちょっと憂鬱だった。
龍仙国に帰れば、また、双子との爛れた日々が待っているのだろうか。
そう思うと、帰りたくない気もしていた。
そう言うと、シエナが少しだけ、嬉しそうに言った。
「いっそ、もう、この国にいついてしまえばいいじゃないか、アマヤ」
「はい?」
「この国は、お前のような神を大切にする国だぞ」
いや。
俺は、首を振った。
「俺は、龍仙国に帰らないといけない」
「そうか」
シエナが穏やかな微笑みを浮かべた。
「やはり、お前は、神妃なのだな、アマヤ」
はい?
俺は、シエナの言葉の意味がわからず、ぽかんとしていた。
シエナは、そっと俺の頬に触れて言った。
「お前は、所詮、高値の花だということだ」
「ええっ?」
シエナは、そっと俺に顔をよせて、一瞬だけ、軽く触れるようなキスをしてきた。
はい?
俺は、驚いてシエナを見つめた。シエナは、いたずらっ子みたいな笑みを浮かべた。
「王になったご褒美ということで、許されよ、神妃どの」
そして、彼は、俺を残して人混みの中へと消えていった。
俺は、
触れあうだけのキスだった。
だけど。
触れ合っただけの唇が熱くって、俺は、ただ、その場に立ち尽くしていた。
「本当に、罪作りな神妃様だな、アマヤは」
カースと月花が近寄ってきて、俺の肩に手を置いて言った。
「はい?」
「本当に」
背後からオロ神の声がして振り向くと、彼女は、俺に言った。
「もし、あなた様が、神妃でなかったならば、そして、あの方たちの思い人でなかったなら、私は、何があってもあなた様をシエナの妃にしてみせるのに。もう、あの子に悲しい恋をさせたくはないのです」
「それは、勘弁してくれ、オロ神よ」
黒龍がどこからか現れて、俺の側にい並ぶ神々を押し退け、俺の肩を抱いて言った。
「これは、私の神妃故に」
「我々の、だろうが」
カースが、黒龍から俺を奪い取るとぎゅっと抱き締めて俺の肩越しに黒龍を睨み付けた。
「いっとくが、私たちの立場は、同等だぞ。アマヤの第一の夫の座は、渡さん」
黒龍は、嘲笑うようにカースに言い放った。
「この我々の何が、同じだと言うのだ?カース兄よ」
「惚けるな!同じように淫紋を与え、アマヤを手に入れた者同士、立場は、変わらぬであろう」
「そんなこと、か」
黒龍が、ふっと鼻で笑った。
「淫紋のことなら、俺たちは、まだ、アマヤに与えてはいないぞ、兄上」
「なんだと?」
ええっ?
俺も、目を見張った。
いや、何ですと?
カースを押し退けると、俺は、黒龍を問い詰めた。
「でも、ほら、ここに、最初にでてきたやつ、あれ」
「あれは、俺たちのものじゃない」
はい?
俺は、はと豆でぱちくりして黒龍を見つめた。
俺をさんざん苛んだこの淫紋が、こいつらのものじゃないって?
どういうこと?
黒龍は、俺を抱き寄せるとカースたちに見せつけるかのように荒々しくキスしてきた。そして、カースと月花に言った。
「俺たちは、そんなものとは関わりなく、アマヤを愛しているのだ」
なんですと?
カースが黒龍にきいた。
「じゃあ、この下腹部の淫紋は、誰のものなんだ?」
「『名を持たぬ者』」
黒龍が吐き捨てるように言った。
「奴が刻み込んだものだ。アマヤへの呪いを込めて、な」
マジで?
黒龍は、俺の頬に口づけて、ちらっとカースを睨んだ。
「 『名を持たぬ者』は、淫紋を刻み
アマヤを抱きはしなかった。我々は、アマヤの体に刻まれた奴の呪いを鎮はしたが、我々の淫紋は、まだ与えてはいない」
「なぜだ?」
月花が黒龍に問うた。
「なぜ、お前たちは、アマヤに淫紋を与えない?」
「俺たちは」
黒龍が俺を抱いて言った。
「アマヤを淫紋で縛ることなく、ただ、アマヤを愛しているのだ」
はい?
俺は、黒龍にぎゅっと抱き締められて体が熱を持ってくるのがわかった。
この、熱は、なんだってんだよ?
俺は、甘く疼く体に、熱い吐息を漏らした。
「黒龍・・」
「俺たちは、淫紋などには、関わらずにアマヤを愛している」
黒龍は、俺を抱き上げるとカースと月花に言った。
「淫紋の力を借りてアマヤを自分のものにしたお前たちとは違う」
はい?
俺は、奴の腕の中に抱かれて、身を固くしていた。
この人たちは、ガチで俺のことを抱いていたってことか?
俺は、思っていた。
変態だ。
マジで、モノホンの変態、だ。
でも、最初に、この世界に神妃として俺を拐ってきたのは、こいつらじゃないか。
今さら。
俺は、黒龍の腕の中から、こいつのことを睨みつけていた。
こいつらは、本当に、何がしたいわけなんだ?
これからキナの国は、大国を通り越し、龍仙国の一商人である俺と直接取引をすることになるのだ。
商品の輸送は、黒龍の会社に頼むこととなるのが少し、不満だったが他に海を渡ることのできる連中がいないのだから仕方がない。
とりあえず、今回は、青い布をあるだけ買うことにした。
その金額は、俺の想像を遥かに超えていた。
俺は、布代として、キナの国に100ボル支払うことになった。
それは、龍仙国の通貨で、1ボルは、1000ギルで1ギルが、100イェルだった。だいたい、1イェルが10円ぐらいの価値だったから、約1億円ぐらいの金額となった。
もちろん、支払いは、黒龍だった。
シエナは、布の価格を普通の布より少し高いぐらいに設定してくれたのだが、それでも結構な金額になった。
俺は、黒龍がシエナに現金で支払うのを見てごくりと息を飲んだ。
1ボルというのは、金貨1枚のことだったが、金貨が、箱で何箱も積まれていた。
これが、全部、俺の借金になるのか。
うわっ。
本当に、大丈夫なのか?俺。
だが。
俺は、目を閉じてすぅっと深呼吸をした。
そして、目を開くと俺は、シエナの差し出した契約書にサインをしてこの貿易の契約を締結した。
もう、後には、戻れない。
売って、売って、売りまくらなくては。
俺たちは、次は、アナの研究している赤い布と緑の布も生産してもらい、仕入れることを約束していた。
俺は、契約の場に立ち会ったアナに言った。
「頼んだぞ、アナ。君に全てがかかってるんだ」
「はい、お任せください、神妃様」
アナは、緊張した面持ちで、だが、しっかりと俺に頷いて見せた。
「もっと、もっと、この世界に隠されている華やかな色を、私は、現したい」
こうして商談は、まとまった。
俺は、すぐにも龍仙国へと帰りたかったが、シエナの王位継承の式典に出席して欲しいと頼まれ、断ることもできずに、もう2週間、キナの国に留まることとなった。
だが、荷物はすでに黒龍が手配してくれ、龍仙国へと向かっていた。
俺は、何通かの手紙を樹理と柴あてに書いた。
そして、手紙と一緒に『人魚姫』の物語を託した。
黒龍は、いつもと変わらぬ冷酷にすら見える表情で、俺から荷を受けると言った。
「安心しろ、アマヤ。俺の会社は、この世界で1番、確実に荷を届けられる。3日もすれば、この荷は、龍仙国のお前の仲間たちのもとへと届けられるだろう」
「なら、いいんだがな」
俺は、冷ややかに言った。
「もし、何かの事故で届かなかったりしたときは、10倍の額を保証して貰うからな」
「いいだろう」
黒龍は、にやっと笑った。
なんか、その笑みに、俺は、背筋がゾクゾクした。
傲慢で、嫌な奴。
だけど、今は、こいつを信じるしかない。
シエナの王位継承式は、国をあげてのお祭りになった。
俺とオロ神に、なぜか、カースや月花までが駆り出されて、国王の隣に祭り上げられていた。
俺は、あまりの緊張感に胃が痛かったが、オロ神は、そんな俺を優しく、癒し、励ましてくれた。
「大丈夫ですか?神妃様」
「ああ」
俺たちは、みな、オロ神と同じ、白と青の式服を着せられて、シエナの玉座を挟んで両脇に並んで座っていた。
オロ神だけが、薄いブルーのベールを纏っていた。
黒髪に、あの双子を思わせる青い瞳。
俺は、オロ神の隣に座って、アナからきいたオロ神についての話を思い出していた。
オロ神もまた、月花の母である春花と同じ、瘴気の子だった。
前々回の神妃の生んだ子であるオロ神は、最初、この地で、細々と魔女として暮らしていたのだそうだ。
しかし、その魔力によって、人々に貢献し、それ故に、人々から尊敬を集め、愛され、いつの間にか、神格を得てこの地の神となった。
「オロ神の父親は、どの神だったわけ?」
俺は、何気なさを装ってきいた。アナは、小首を傾げた。
「それは、私には、よくわかりません。なにしろ、かなり昔のことですので。もっと以前よりお仕えしていた者たちなら知っているのかもしれませんが。でも、オロ神が、戦神であるシグリード神と縁のある神であるということは間違いないのですが」
シグリード?
確か、月花が黒龍のことをそう読んでいなかったか?
ということは、もしかして、オロ神は、やつらの肉親、というか、子供なんじゃね?
俺は、なんか、胸がムカムカしてくるのを感じていた。
オロ神が、奴等と先々代の神妃との子供だと考えると、なんか、複雑な気持ちになる。
なんと言えばいいのか。
よくわからない、謎の気持ちに俺は、心穏やかではなかった。
式典が滞りなく終わり、祝いのパーティが始まってしばらくして、シエナが俺に声をかけてきた。
「どうした?アマヤ。また、顔が怖くなってるぞ」
「えっ?」
俺は、シエナの言葉に、はっとして慌てて言った。
「そんな、こと、ないだろ?」
「いや、本当に」
シエナは、マジな顔をして言った。
「まるで、恋敵でも見るような目でオロ神を見ていたぞ」
「そんなわけが」
俺が言おうとしたら、シエナが少し、寂しげに微笑んだ。
「お前は、この式典がすんだら、龍仙国に帰るのだな、アマヤ」
「ああ」
俺は、それを考えると、ちょっと憂鬱だった。
龍仙国に帰れば、また、双子との爛れた日々が待っているのだろうか。
そう思うと、帰りたくない気もしていた。
そう言うと、シエナが少しだけ、嬉しそうに言った。
「いっそ、もう、この国にいついてしまえばいいじゃないか、アマヤ」
「はい?」
「この国は、お前のような神を大切にする国だぞ」
いや。
俺は、首を振った。
「俺は、龍仙国に帰らないといけない」
「そうか」
シエナが穏やかな微笑みを浮かべた。
「やはり、お前は、神妃なのだな、アマヤ」
はい?
俺は、シエナの言葉の意味がわからず、ぽかんとしていた。
シエナは、そっと俺の頬に触れて言った。
「お前は、所詮、高値の花だということだ」
「ええっ?」
シエナは、そっと俺に顔をよせて、一瞬だけ、軽く触れるようなキスをしてきた。
はい?
俺は、驚いてシエナを見つめた。シエナは、いたずらっ子みたいな笑みを浮かべた。
「王になったご褒美ということで、許されよ、神妃どの」
そして、彼は、俺を残して人混みの中へと消えていった。
俺は、
触れあうだけのキスだった。
だけど。
触れ合っただけの唇が熱くって、俺は、ただ、その場に立ち尽くしていた。
「本当に、罪作りな神妃様だな、アマヤは」
カースと月花が近寄ってきて、俺の肩に手を置いて言った。
「はい?」
「本当に」
背後からオロ神の声がして振り向くと、彼女は、俺に言った。
「もし、あなた様が、神妃でなかったならば、そして、あの方たちの思い人でなかったなら、私は、何があってもあなた様をシエナの妃にしてみせるのに。もう、あの子に悲しい恋をさせたくはないのです」
「それは、勘弁してくれ、オロ神よ」
黒龍がどこからか現れて、俺の側にい並ぶ神々を押し退け、俺の肩を抱いて言った。
「これは、私の神妃故に」
「我々の、だろうが」
カースが、黒龍から俺を奪い取るとぎゅっと抱き締めて俺の肩越しに黒龍を睨み付けた。
「いっとくが、私たちの立場は、同等だぞ。アマヤの第一の夫の座は、渡さん」
黒龍は、嘲笑うようにカースに言い放った。
「この我々の何が、同じだと言うのだ?カース兄よ」
「惚けるな!同じように淫紋を与え、アマヤを手に入れた者同士、立場は、変わらぬであろう」
「そんなこと、か」
黒龍が、ふっと鼻で笑った。
「淫紋のことなら、俺たちは、まだ、アマヤに与えてはいないぞ、兄上」
「なんだと?」
ええっ?
俺も、目を見張った。
いや、何ですと?
カースを押し退けると、俺は、黒龍を問い詰めた。
「でも、ほら、ここに、最初にでてきたやつ、あれ」
「あれは、俺たちのものじゃない」
はい?
俺は、はと豆でぱちくりして黒龍を見つめた。
俺をさんざん苛んだこの淫紋が、こいつらのものじゃないって?
どういうこと?
黒龍は、俺を抱き寄せるとカースたちに見せつけるかのように荒々しくキスしてきた。そして、カースと月花に言った。
「俺たちは、そんなものとは関わりなく、アマヤを愛しているのだ」
なんですと?
カースが黒龍にきいた。
「じゃあ、この下腹部の淫紋は、誰のものなんだ?」
「『名を持たぬ者』」
黒龍が吐き捨てるように言った。
「奴が刻み込んだものだ。アマヤへの呪いを込めて、な」
マジで?
黒龍は、俺の頬に口づけて、ちらっとカースを睨んだ。
「 『名を持たぬ者』は、淫紋を刻み
アマヤを抱きはしなかった。我々は、アマヤの体に刻まれた奴の呪いを鎮はしたが、我々の淫紋は、まだ与えてはいない」
「なぜだ?」
月花が黒龍に問うた。
「なぜ、お前たちは、アマヤに淫紋を与えない?」
「俺たちは」
黒龍が俺を抱いて言った。
「アマヤを淫紋で縛ることなく、ただ、アマヤを愛しているのだ」
はい?
俺は、黒龍にぎゅっと抱き締められて体が熱を持ってくるのがわかった。
この、熱は、なんだってんだよ?
俺は、甘く疼く体に、熱い吐息を漏らした。
「黒龍・・」
「俺たちは、淫紋などには、関わらずにアマヤを愛している」
黒龍は、俺を抱き上げるとカースと月花に言った。
「淫紋の力を借りてアマヤを自分のものにしたお前たちとは違う」
はい?
俺は、奴の腕の中に抱かれて、身を固くしていた。
この人たちは、ガチで俺のことを抱いていたってことか?
俺は、思っていた。
変態だ。
マジで、モノホンの変態、だ。
でも、最初に、この世界に神妃として俺を拐ってきたのは、こいつらじゃないか。
今さら。
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