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30 兄弟神との仲を祝福されまくってる件
俺が息を吹き替えして咳き込んでいる側にテレビスとセレビスは、駆け寄ると俺の体を抱き上げた。
「しっかりしろ、アマヤ!」
「 ・・ぃ、じょう、ぶ、だ」
俺は、なんとか声を絞り出した。
「もう、大丈夫、だから・・」
しかし、二人は、俺を寝室のベッドまで運び、そこへ寝かせると俺を覗き込んで言った。
「すぐに医者を!」
俺に有無を言わせずに、二人は、俺の体をシーツでくるむと、サキに指示を出した。
「医者を呼んでくれ!」
10分程して医者がやって来たときには、俺は、二人の手で暖かい魔物の毛皮で幾層にも巻かれて、ベッドの上で二人に抱き締められていた。
医者は、俺の体を診るために二人を俺から引き離さなくてはならなかった。
「大丈夫です、大事はありません」
その白い髭を蓄えた白髪の老医者は、言った。
「ただ、このお方は、身籠っておられますな」
医者は、テレビスたちに言った。
「もうじき、本格的な冬が来ますし、もっと、医療の整った首都の方で過ごされることをおすすめします」
「首都か」
テレビスが言った。
「確かに、アマヤにとって、最初の出産だしな。この冬は、レイモンドのところに世話になるか」
「レイモンドの妃も、妊娠中だったのではないか?」
セレビスが言った。
何でも、魔神モードになっていたセレビスのもとにもレイモンドは、ちょくちょく会いに来ていたのだという。
その時に、いろいろな相談や、報告などを返事をすることもなかったセレビスに、一人で呟いていたのだという。
セレビスに言われてテレビスも頷いた。
「そういえば、そうだった。彼女も、初めての出産だとか。アマヤと同じだし、お互いに心強いかもしれないな」
レイモンドの妃?
俺は、はっと気づいた。
つまり、魔王の嫁ってことだよな?
それって、シエナの元カノ?
俺が聞き耳を立てているのに気づいたテレビスが優しく微笑んだ。
「アマヤも、その方がいいだろう?」
そう言って、テレビスは、俺の頭をくしゃっと撫でた。
何?
俺は、テレビスから目をそらした。
こういうことされたら、なんか、ドキドキするじゃねぇか!
「何?アマヤ様、顔が赤いですよ?風邪でもひいたんじゃないですか?」
サキの奴がすかさず絡んでくるから、俺は、ぷぃっと横を向いた。
「何でもねぇし、風邪なんかひいてねぇよ」
「風邪?」
セレビスが俺の額に手をあてて前髪をかき上げて、自分の額をくっ付けてきた。
わわっ!
俺は、びびっていた。
なんだ、こいつ!
「うん。熱は、ないな」
セレビスが俺の顔を覗き込んで言った。菫色の美しい瞳に、俺は、思わず、見惚れてしまった。
セレビスは、俺を見つめて、にっこりと笑うと、そっと俺の頬に口付けた。
その様子を見ていた老医者が、微笑ましげに言った。
「いやいや、お熱いことで。結構なことですな」
「本当にね!」
サキが拳を握りしめて言った。
「私も、この冬こそは、マジで、彼氏とか作って、け、結婚とかしちゃうんですからね!」
それは、無理。
俺は、心の中で思っていた。
お前は、性格が悪すぎだろ。
俺たちが、首都メイラへと旅だったのは、それから、3日ほどしてからのことだった。
「じゃあ、悪いが、留守中のことは、頼んだぞ、サキ」
「すまないな、サキ」
テレビスとセレビスは、魔王城からの迎えの車に乗り込んでから、サキに言った。
サキは、ひきつった笑みを浮かべていた。
「大丈夫です。お気遣いなく。サキは、皆様のお留守をしっかりとお守りいたしますからね」
俺は、テレビスとセレビスに挟まれて座っていたが、顔を覗かせてサキに言った。
「ガキを虐めるんじゃねぇぞ、サキ」
「誰が、ですか!」
サキが激昂した。
「私は、神妃様みたいに器が小さくないんで、大丈夫ですよ!」
誰が、器が小さい、だ!
俺がギリギリ歯軋りしているのを見て、テレビスが笑った。
「本当に、サキとアマヤは、仲良しだなぁ」
はい?
俺は、テレビスを信じられないものを見るような目で見つめていた。サキの方を見ると、あいつも、同じ目をしてテレビスのことを見つめていた。
「それじゃあ、首都 メイラへ出発だ」
セレビスが言って、俺たちを乗せた車は、走り出した。
俺たちは、町を通り抜ける度に、人々の歓待を受けた。
「セレビス様、テレビス様!」
人々は、俺たちの車に向かって手を振り、二人の名を呼びながら手に手に、白い花を持って祝いの言葉を投げた。
「おめでとうございます!お元気な神子の誕生を心よりお祈り申し上げます」
「ありがとう、みんな」
テレビスとセレビスは、窓を開けて、人々の祝福に応えていた。時々、二人は、捧げられた白い花を受け取って俺に渡してきた。
「これは、モナの花だ。一般的な結婚式に飾られる祝いの花だよ、アマヤ」
そうなんだ。
俺は、黙って、頷いていた。
俺たち、結婚とかしてねぇし!
そんなことが繰り返され、首都につくまでに、車の中は、大量の白い花で埋まっていた。
「この世界は、白い花しかないのか?」
俺がきくと、二人は、顔を見合わせて笑った。
「そんなことは、考えてもみなかったな。だが、同じような色だが、こうして潰せば」
セレビスは、手元にあった白い花から一枚、花びらを抜くと指でくちゅくちゅっと潰して見せた。
すると、白い花びらは、赤い汁をだして、セレビスの白い指先を真っ赤に染めていた。
「ほら、赤くなっただろう?」
「本当だ」
俺は、その赤い色に、すっかり魅せられていた。
美しい色だった。
俺は、前に、月花の母である春花が言っていた言葉を思い出していた。
この世界は、あなたが思うよりずっと美しい。
この世界の美は、まだまだ、隠されて眠っているのかもしれない。
俺は、一刻も早く、この世界に隠された色を解き放ちたくて、心がはやった。
早く、龍仙国へと帰りたい。
だが。
たぶん、もうしばらくは、帰ることは無理そうだった。
テレビスいわく、瘴気の子は、普通の人間の子供より早く成長し、生まれてくるのだという。
おそらく、春頃には、俺は、子供を産むことになるのだそうだ。
だから、この冬は、体に負担をかけてはいけないと二人は、口を揃えて言った。
国境を越えるなんて、絶対許されない。
とりあえず、俺は、城についたら、当初の計画通りに、レイモンドに頼んで、龍仙国の仲間たちに連絡をとることにした。
マジで。
みんな、心配しているだろうな。
何しろ、いきなり、姿を消したのだから。
俺は、溜め息をついた。
俺が子供を産むことを知ったら、カースたちは、どう思うかなぁ。
俺は、双子のことを思って、背筋がぞくぞくした。
マジで、ヤバくね?
このままいけば、俺の神妃としての第一の夫とやらは、こいつら兄弟のものになりそうだし。
きっと、ややこしいことになりそうだ。
「どうしたんだ、アマヤ?」
テレビスとセレビスが俺を覗き込んできたので、俺は、思わず焦ってしまった。
「な、なんでもないし」
「本当に?」
テレビスが、くすっと笑った。
「なら、いいんだが。ここに」
テレビスが俺の眉と眉の間をつん、と指先でつついて言った。
「シワをよせて、何か、難しい顔をして考えていたから心配になってしまったよ」
「マジか」
俺は、額に指で触れてみた。
うん。
異常なし。
そんな俺を、テレビスとセレビスは、微笑ましげに見つめていた。
何?
この甘ったるい雰囲気。
俺は、心の中で、俺自身を叱咤した。
飲まれちゃだめだ、しっかりしろ、俺!
俺が、自分に渇を入れていると、セレビスが前を指して言った。
「ほら、首都 メイラが見えてきたぞ、アマヤ」
うん?
俺は、セレビスの指差す方を見た。
遠くに、赤茶色い障壁が 見えてきた。
心なしか、行き交う車や、馬車の数も増えてきていた。
首都 メイラ。
魔界1の大都会であるメイラには、魔界のほぼ半数に近い人々が暮らしているのだそうだ。
俺は、正直、少し、この大都会での暮らしを楽しみにしているところもあった。
魔界の文化を吸収して、さらに、世界を華やかにしていこう。
そう、俺は、決意していた。
そのためにも、何がなんでも、龍仙国へ、帰らなくてはならない。
例え、どんな問題が待っていようとも。
首都 メイラの城門の前では、地竜に乗ったレイモンドとその9人の円卓の魔導師たちが待っていた。
俺たちを待っていた彼らに、テレビスとセレビスは、 車の中から声をかけた。
「久しいな、レイモンド」
テレビスに声をかけられたレイモンドが地竜から降りて、はっと頭を垂れて礼をした。
「お二人とも、健やかなご様子で、私も、大変に安堵しております」
「すべて、我等が神妃、アマヤのおかげだ。もちろん、アマヤを見つけてこの世界へと連れてきたお前たちのおかげでもあるがな」
セレビスが言うのをきいて、レイモンドが喜びのあまり、涙ぐんで言った。
「我々など、とるに足らぬ存在でございます」
「とにかく」
テレビスが、言った。
「サキからも連絡が行っていると思うが、神妃は、今、身重の体故、はやく、休ませてやる必要がある」
「はっ!もちろん、了解しております」
城門が開かれて、俺たちは、レイモンドたちに導かれて中へと入っていった。
彼らを先頭に、俺たちは、一列に並び、ゆっくりとメイラの中央に位置する魔王城へと向かった。
街の至るところに人だかりが出来ており、人々が、手に手に白いモナの花を捧げて俺たちが来るのを待っていた。
「おめでとうございます。セレビス様、テレビス様」
「神妃様といつまでも、末長く仲睦まじくお過ごしくださいませ」
「ありがとう、みんな」
二人は、にこやかに手を振って、人々の声援に応えていた。
俺は、というと。
二人の間に隠れるように、小さくなっていた。
本当、なれないな、こういうの。
俺って、ほんとに、生まれながらの庶民なんだよな。
「ほら、アマヤ」
テレビスが白い花で作った花輪を俺の頭にちょこんとのせた。
「民がお前のために作ってくれたものだ。よく似合ってるぞ。我等が神妃よ」
「はぁ・・」
俺は、ひきつった笑いを浮かべていた。
ううっ。
俺は、テレビスとセレビスに優しく腰を抱かれて思っていた。
こんなのされたら、逃げられなくなっちゃうじゃん。
俺。
マジで、どうなっちゃうの?
「しっかりしろ、アマヤ!」
「 ・・ぃ、じょう、ぶ、だ」
俺は、なんとか声を絞り出した。
「もう、大丈夫、だから・・」
しかし、二人は、俺を寝室のベッドまで運び、そこへ寝かせると俺を覗き込んで言った。
「すぐに医者を!」
俺に有無を言わせずに、二人は、俺の体をシーツでくるむと、サキに指示を出した。
「医者を呼んでくれ!」
10分程して医者がやって来たときには、俺は、二人の手で暖かい魔物の毛皮で幾層にも巻かれて、ベッドの上で二人に抱き締められていた。
医者は、俺の体を診るために二人を俺から引き離さなくてはならなかった。
「大丈夫です、大事はありません」
その白い髭を蓄えた白髪の老医者は、言った。
「ただ、このお方は、身籠っておられますな」
医者は、テレビスたちに言った。
「もうじき、本格的な冬が来ますし、もっと、医療の整った首都の方で過ごされることをおすすめします」
「首都か」
テレビスが言った。
「確かに、アマヤにとって、最初の出産だしな。この冬は、レイモンドのところに世話になるか」
「レイモンドの妃も、妊娠中だったのではないか?」
セレビスが言った。
何でも、魔神モードになっていたセレビスのもとにもレイモンドは、ちょくちょく会いに来ていたのだという。
その時に、いろいろな相談や、報告などを返事をすることもなかったセレビスに、一人で呟いていたのだという。
セレビスに言われてテレビスも頷いた。
「そういえば、そうだった。彼女も、初めての出産だとか。アマヤと同じだし、お互いに心強いかもしれないな」
レイモンドの妃?
俺は、はっと気づいた。
つまり、魔王の嫁ってことだよな?
それって、シエナの元カノ?
俺が聞き耳を立てているのに気づいたテレビスが優しく微笑んだ。
「アマヤも、その方がいいだろう?」
そう言って、テレビスは、俺の頭をくしゃっと撫でた。
何?
俺は、テレビスから目をそらした。
こういうことされたら、なんか、ドキドキするじゃねぇか!
「何?アマヤ様、顔が赤いですよ?風邪でもひいたんじゃないですか?」
サキの奴がすかさず絡んでくるから、俺は、ぷぃっと横を向いた。
「何でもねぇし、風邪なんかひいてねぇよ」
「風邪?」
セレビスが俺の額に手をあてて前髪をかき上げて、自分の額をくっ付けてきた。
わわっ!
俺は、びびっていた。
なんだ、こいつ!
「うん。熱は、ないな」
セレビスが俺の顔を覗き込んで言った。菫色の美しい瞳に、俺は、思わず、見惚れてしまった。
セレビスは、俺を見つめて、にっこりと笑うと、そっと俺の頬に口付けた。
その様子を見ていた老医者が、微笑ましげに言った。
「いやいや、お熱いことで。結構なことですな」
「本当にね!」
サキが拳を握りしめて言った。
「私も、この冬こそは、マジで、彼氏とか作って、け、結婚とかしちゃうんですからね!」
それは、無理。
俺は、心の中で思っていた。
お前は、性格が悪すぎだろ。
俺たちが、首都メイラへと旅だったのは、それから、3日ほどしてからのことだった。
「じゃあ、悪いが、留守中のことは、頼んだぞ、サキ」
「すまないな、サキ」
テレビスとセレビスは、魔王城からの迎えの車に乗り込んでから、サキに言った。
サキは、ひきつった笑みを浮かべていた。
「大丈夫です。お気遣いなく。サキは、皆様のお留守をしっかりとお守りいたしますからね」
俺は、テレビスとセレビスに挟まれて座っていたが、顔を覗かせてサキに言った。
「ガキを虐めるんじゃねぇぞ、サキ」
「誰が、ですか!」
サキが激昂した。
「私は、神妃様みたいに器が小さくないんで、大丈夫ですよ!」
誰が、器が小さい、だ!
俺がギリギリ歯軋りしているのを見て、テレビスが笑った。
「本当に、サキとアマヤは、仲良しだなぁ」
はい?
俺は、テレビスを信じられないものを見るような目で見つめていた。サキの方を見ると、あいつも、同じ目をしてテレビスのことを見つめていた。
「それじゃあ、首都 メイラへ出発だ」
セレビスが言って、俺たちを乗せた車は、走り出した。
俺たちは、町を通り抜ける度に、人々の歓待を受けた。
「セレビス様、テレビス様!」
人々は、俺たちの車に向かって手を振り、二人の名を呼びながら手に手に、白い花を持って祝いの言葉を投げた。
「おめでとうございます!お元気な神子の誕生を心よりお祈り申し上げます」
「ありがとう、みんな」
テレビスとセレビスは、窓を開けて、人々の祝福に応えていた。時々、二人は、捧げられた白い花を受け取って俺に渡してきた。
「これは、モナの花だ。一般的な結婚式に飾られる祝いの花だよ、アマヤ」
そうなんだ。
俺は、黙って、頷いていた。
俺たち、結婚とかしてねぇし!
そんなことが繰り返され、首都につくまでに、車の中は、大量の白い花で埋まっていた。
「この世界は、白い花しかないのか?」
俺がきくと、二人は、顔を見合わせて笑った。
「そんなことは、考えてもみなかったな。だが、同じような色だが、こうして潰せば」
セレビスは、手元にあった白い花から一枚、花びらを抜くと指でくちゅくちゅっと潰して見せた。
すると、白い花びらは、赤い汁をだして、セレビスの白い指先を真っ赤に染めていた。
「ほら、赤くなっただろう?」
「本当だ」
俺は、その赤い色に、すっかり魅せられていた。
美しい色だった。
俺は、前に、月花の母である春花が言っていた言葉を思い出していた。
この世界は、あなたが思うよりずっと美しい。
この世界の美は、まだまだ、隠されて眠っているのかもしれない。
俺は、一刻も早く、この世界に隠された色を解き放ちたくて、心がはやった。
早く、龍仙国へと帰りたい。
だが。
たぶん、もうしばらくは、帰ることは無理そうだった。
テレビスいわく、瘴気の子は、普通の人間の子供より早く成長し、生まれてくるのだという。
おそらく、春頃には、俺は、子供を産むことになるのだそうだ。
だから、この冬は、体に負担をかけてはいけないと二人は、口を揃えて言った。
国境を越えるなんて、絶対許されない。
とりあえず、俺は、城についたら、当初の計画通りに、レイモンドに頼んで、龍仙国の仲間たちに連絡をとることにした。
マジで。
みんな、心配しているだろうな。
何しろ、いきなり、姿を消したのだから。
俺は、溜め息をついた。
俺が子供を産むことを知ったら、カースたちは、どう思うかなぁ。
俺は、双子のことを思って、背筋がぞくぞくした。
マジで、ヤバくね?
このままいけば、俺の神妃としての第一の夫とやらは、こいつら兄弟のものになりそうだし。
きっと、ややこしいことになりそうだ。
「どうしたんだ、アマヤ?」
テレビスとセレビスが俺を覗き込んできたので、俺は、思わず焦ってしまった。
「な、なんでもないし」
「本当に?」
テレビスが、くすっと笑った。
「なら、いいんだが。ここに」
テレビスが俺の眉と眉の間をつん、と指先でつついて言った。
「シワをよせて、何か、難しい顔をして考えていたから心配になってしまったよ」
「マジか」
俺は、額に指で触れてみた。
うん。
異常なし。
そんな俺を、テレビスとセレビスは、微笑ましげに見つめていた。
何?
この甘ったるい雰囲気。
俺は、心の中で、俺自身を叱咤した。
飲まれちゃだめだ、しっかりしろ、俺!
俺が、自分に渇を入れていると、セレビスが前を指して言った。
「ほら、首都 メイラが見えてきたぞ、アマヤ」
うん?
俺は、セレビスの指差す方を見た。
遠くに、赤茶色い障壁が 見えてきた。
心なしか、行き交う車や、馬車の数も増えてきていた。
首都 メイラ。
魔界1の大都会であるメイラには、魔界のほぼ半数に近い人々が暮らしているのだそうだ。
俺は、正直、少し、この大都会での暮らしを楽しみにしているところもあった。
魔界の文化を吸収して、さらに、世界を華やかにしていこう。
そう、俺は、決意していた。
そのためにも、何がなんでも、龍仙国へ、帰らなくてはならない。
例え、どんな問題が待っていようとも。
首都 メイラの城門の前では、地竜に乗ったレイモンドとその9人の円卓の魔導師たちが待っていた。
俺たちを待っていた彼らに、テレビスとセレビスは、 車の中から声をかけた。
「久しいな、レイモンド」
テレビスに声をかけられたレイモンドが地竜から降りて、はっと頭を垂れて礼をした。
「お二人とも、健やかなご様子で、私も、大変に安堵しております」
「すべて、我等が神妃、アマヤのおかげだ。もちろん、アマヤを見つけてこの世界へと連れてきたお前たちのおかげでもあるがな」
セレビスが言うのをきいて、レイモンドが喜びのあまり、涙ぐんで言った。
「我々など、とるに足らぬ存在でございます」
「とにかく」
テレビスが、言った。
「サキからも連絡が行っていると思うが、神妃は、今、身重の体故、はやく、休ませてやる必要がある」
「はっ!もちろん、了解しております」
城門が開かれて、俺たちは、レイモンドたちに導かれて中へと入っていった。
彼らを先頭に、俺たちは、一列に並び、ゆっくりとメイラの中央に位置する魔王城へと向かった。
街の至るところに人だかりが出来ており、人々が、手に手に白いモナの花を捧げて俺たちが来るのを待っていた。
「おめでとうございます。セレビス様、テレビス様」
「神妃様といつまでも、末長く仲睦まじくお過ごしくださいませ」
「ありがとう、みんな」
二人は、にこやかに手を振って、人々の声援に応えていた。
俺は、というと。
二人の間に隠れるように、小さくなっていた。
本当、なれないな、こういうの。
俺って、ほんとに、生まれながらの庶民なんだよな。
「ほら、アマヤ」
テレビスが白い花で作った花輪を俺の頭にちょこんとのせた。
「民がお前のために作ってくれたものだ。よく似合ってるぞ。我等が神妃よ」
「はぁ・・」
俺は、ひきつった笑いを浮かべていた。
ううっ。
俺は、テレビスとセレビスに優しく腰を抱かれて思っていた。
こんなのされたら、逃げられなくなっちゃうじゃん。
俺。
マジで、どうなっちゃうの?
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