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2 女神の祝福とエリクサーもどき
2ー6 祝福の意味
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2ー6 祝福の意味
「女神の祝福というのはな」
白髪の老人は、俺と黒髪の少年の方へと歩み寄ると屈み込み俺の頭をそっと撫でた。
不思議なことに呼吸が楽になってくる。
俺は、泣きながら黒髪の少年の肩越しに白髪の老人を見上げていた。
老人は、静かな声で続けた。
「この国の始祖より伝わる話では、この世界を貫く理の外にある者に与えられる最高のスキルなんじゃよ」
ぐすっと鼻をすする俺を見つめて老人は、優しく微笑んだ。
「女神の力の及ばぬ理の外にある者というのが時々、この世界に生まれ落ちることがある。その者を守るために女神は、その祝福を与えられる。祝福を与えられた者がこの世界で幸福に生きられるように。そう、女神が祈って与えられるのじゃ。だから、その祝福を持つ者を国王は、与えられる最高の地位を持ってお迎えするのじゃ」
「最高の、地位?」
俺が震える声で問いかけると白髪の老人がこくり、と頷く。
「そうじゃ。この国で最高は、もちろん国王だけど、残念なことだがお主を王様にするわけにはいかん。じゃから、お主は、この国で王族以外が望める一番高い位につくのじゃ」
「……王様の奥さん?」
白髪の老人が俺の頭をなでなでとしながら俺の涙を指先で拭った。
「そうじゃ」
「でも」
俺は、ぐすっと鼻を鳴らす。
「俺、女の人じゃないし」
「子供が産める産めないが問題ではないのじゃ。お主が王の花嫁となることに意味があるのじゃよ、カナエ」
俺は、考え込んでいた。
王の花嫁?
そんなバカな!
それは、リリーのことだし!
俺は、顔を上げて老人の澄んだ青い瞳を覗き込んだ。
なぜか、すぅっと心が落ち着いてくる。
だけど。
うん。
やっぱり、ないわ!
俺が王様の嫁とか、絶対、ないし!
たぶん、この人たち、リリーと俺を間違えてるし!
俺は、なんとかそのことを説明しようとした。
が、声が出なくて。
俺がはくはくしてると、俺を抱き締めている殿下が声を上げた。
「これは、私のもの、だ!誰にもやらない!例え、兄上にだって渡さない!」
あー、やっぱ、この人、ディール殿下だ。
俺は、確信していた。
ディール王子は、王家の第2王子だ。
そして、ヒロインがディール王子を攻略しようとしたときだけ王位を継ぐ。
それ以外のときは、ヒロインが選んだ攻略対象者の恋敵として君臨する。
俺には、関係ない世界の住人だ。
なのに。
なんで、この人に触れられてるところが、こんなにも熱い?
全身に熱が拡がって。
俺は、おかしな気分になっていた。
身の置き所がないというか。
体の中を魔力が駆け巡り、その出口を探しているというか。
なんか、変な感覚だ。
「女神の祝福というのはな」
白髪の老人は、俺と黒髪の少年の方へと歩み寄ると屈み込み俺の頭をそっと撫でた。
不思議なことに呼吸が楽になってくる。
俺は、泣きながら黒髪の少年の肩越しに白髪の老人を見上げていた。
老人は、静かな声で続けた。
「この国の始祖より伝わる話では、この世界を貫く理の外にある者に与えられる最高のスキルなんじゃよ」
ぐすっと鼻をすする俺を見つめて老人は、優しく微笑んだ。
「女神の力の及ばぬ理の外にある者というのが時々、この世界に生まれ落ちることがある。その者を守るために女神は、その祝福を与えられる。祝福を与えられた者がこの世界で幸福に生きられるように。そう、女神が祈って与えられるのじゃ。だから、その祝福を持つ者を国王は、与えられる最高の地位を持ってお迎えするのじゃ」
「最高の、地位?」
俺が震える声で問いかけると白髪の老人がこくり、と頷く。
「そうじゃ。この国で最高は、もちろん国王だけど、残念なことだがお主を王様にするわけにはいかん。じゃから、お主は、この国で王族以外が望める一番高い位につくのじゃ」
「……王様の奥さん?」
白髪の老人が俺の頭をなでなでとしながら俺の涙を指先で拭った。
「そうじゃ」
「でも」
俺は、ぐすっと鼻を鳴らす。
「俺、女の人じゃないし」
「子供が産める産めないが問題ではないのじゃ。お主が王の花嫁となることに意味があるのじゃよ、カナエ」
俺は、考え込んでいた。
王の花嫁?
そんなバカな!
それは、リリーのことだし!
俺は、顔を上げて老人の澄んだ青い瞳を覗き込んだ。
なぜか、すぅっと心が落ち着いてくる。
だけど。
うん。
やっぱり、ないわ!
俺が王様の嫁とか、絶対、ないし!
たぶん、この人たち、リリーと俺を間違えてるし!
俺は、なんとかそのことを説明しようとした。
が、声が出なくて。
俺がはくはくしてると、俺を抱き締めている殿下が声を上げた。
「これは、私のもの、だ!誰にもやらない!例え、兄上にだって渡さない!」
あー、やっぱ、この人、ディール殿下だ。
俺は、確信していた。
ディール王子は、王家の第2王子だ。
そして、ヒロインがディール王子を攻略しようとしたときだけ王位を継ぐ。
それ以外のときは、ヒロインが選んだ攻略対象者の恋敵として君臨する。
俺には、関係ない世界の住人だ。
なのに。
なんで、この人に触れられてるところが、こんなにも熱い?
全身に熱が拡がって。
俺は、おかしな気分になっていた。
身の置き所がないというか。
体の中を魔力が駆け巡り、その出口を探しているというか。
なんか、変な感覚だ。
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