エロゲーのモブ(♂)に転生した～スパダリたちにエロかわいいと熱愛されてます(泣)～

6 恋の蟻地獄ですか？

6ー3 説得

　６ー３　説得

　その時、俺の部屋の扉が開かれた。
　「お待ちください！」
　そこに現れたのは、俺の想定外の人物だった。
　輝くはちみつ色のブロンドに深い緑の瞳をした美しい少女は、その場に跪いた。
　「どうか、兄をお許しくださいませ！」
　「リリー！？」
　突然現れた本来の彼らが攻略されるべき相手であるリリーに３人は、虚をつかれていた。
　俺は、その隙をついてベッドから逃げ出した。
　半裸で駆け出した俺を追いかけようとした３人の前にリリーが立ちふさがる。
　「逃げて！お兄様！」
　ごめん！
　リリー！
　俺は、リリーに申し訳なくて涙が溢れてきた。
　ほんとならディール殿下もイグスもフロムもロズワルドだって、こんなことするような人たちじゃない。
　確かにリリーとエロいことするけど、こんな風に無理矢理なんてしたりしない筈なんだ。
　それがこんなことになってるのは、すべて俺のせいだ！
　俺が悪い。
　俺がこの世界を変えてしまったんだ！
　俺は、2階にある奥のリネン類の置かれた小部屋に身を潜めた。
　窓もない薄暗い部屋の隅で俺は、がたがたと震えていた。
　俺は、今まで彼らに甘やかされていた。
　ほんとは、こんなにも力の差があったのに。
　みんな、俺が心を決めるのを待ってくれていたのに、俺は、優柔不断で。
　というか、みんなが来年、リリーに出会うまで、とか思っていたんだ。
　来年、リリーと出会ってしまえばみんな、正気に戻る。
　もう、俺のことなんて追いかけたりはしない。
　俺は。
　みんなのことを弄んでいたって思われてもおかしくないのかも。
　というか。
　どんな風に考えたって、ロズワルドが1番悪いし！
　俺のこと、こんな状況に追い込んだのは、あいつだ！
　もしかしてこれまでさんざん利用してきたから？
　恨まれてたのかも。
　俺が金のためにあいつを利用してきたことが原因なのかも！
　俺は、しばらく悶々と考えていた。
　でも。
　俺の混乱した頭は、ぐるぐると同じことを繰り返して。
　俺は、わけがわからなくなってただ、涙を流していた。
　部屋の外で足音が聞こえて俺は、体を強ばらせた。
　ぎぃっとゆっくりとドアが開いた。
　俺は、体を小さく丸めて震えていた。
　足音は、だんだんと近づいてきて。
　「カナエ」
　その声に俺は、顔を上げる。
　そこには、ロズワルドが立っていた。　
　俺は。
　号泣していた。
　「ああ、怖かったんですね、カナエ」
　ロズワルドが俺の前に膝をついて俺の髪を撫でる。
　「もう、大丈夫ですよ。彼らは、僕が説得しましたから」
　「説得？」
　俺は、ぐすっと鼻をすする。
　ロズワルドが優しく微笑んで頷く。
　「そうです。僕がみんなを説得しました」