異世界から嫁に来ました~すったもんだがありましたが、すっかり溺愛されてます~

トモモト ヨシユキ

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2 御尋ね者と3匹の猫

2ー1 手配書

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 2ー1 手配書

 俺とラーが繁華街にある娼館『レッドリア』で暮らすようになって1ヶ月が過ぎた。
 王城の人々は、俺とラーのことを探しているようだった。
 「お前・・いや、あなたは、もしかしてアルバート国王陛下の婚約者であるミコト・ハルタ様ではありませんか?」
 ある日、クーラントの執務室に呼び出されてこう問いただされた。
 俺は、一緒についてきていたラーを膝の上に抱いたまま驚いて固まっていた。
 なんで、ばれたんだ?
 俺が口を閉ざしているのを見て、クーラントは、俺を手で制した。
 「いえ、きっとこんなところにおられるのには、深い理由があることでしょう。ただ、王城の方では、あなた様とその猫に懸賞金をかけて探しているようなのでお伝えした方がよいのでは、と思いまして」
 「懸賞金?」
 俺がきくとクーラントは、一枚の紙を差し出した。
 それは、ざらっとした感触の分厚い紙で表面に俺らしき黒髪の目付きの悪い男と金色のシマシマ模様の極悪な表情の猫の絵が描かれていて、その下に懸賞金100万ギルと書かれており、しかも小さく『生存の場合のみ』と書かれていた。
 いや!
 字、ちっさっ!
 こんなのこの世界の人たちなら、殺して死体を運んで、「あ、気がつかなかった!」とか言いそうだし!
 けっこう、この世界の人ってそういうとこあるよ!
 俺は、ちなみに100万ギルってどのくらいの金額なのかクーラントに聞いてみた。
 クーラントは、かわいそうな子を見るような目で俺を見つめて答えた。
 「1ギルは、金貨1枚のことですよ。ちなみに1ギルは、1000ペルーニの価値があります」
 マジで⁉
 俺は、以前宿屋に泊まった時のことを思い出して衝撃を受けていた。
 貨幣の価値がわからなかった俺は、宿屋の娘に騙されて銀貨1枚のところを金貨1枚払わされてしまったのだ。
 まさか、そんなに価値が違うとは!
 しかし、この絵、酷すぎないか?
 俺、こんなに凶悪そうな顔してる?
 ラーも。
 こんな狂暴そうな猫じゃないし!
 悪意を感じる!
 絵を見つめて黙り込んでいる俺に、クーラントは、そっと小声で伝えた。
 「誰か信頼できる方に保護を求めた方がよいのではないですか?ミコト様」
 それは、そうだけど。
 俺は、手配書を無言で破り捨てた。
 クーラントがぎょっとしているのに俺は、微笑んだ。
 
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