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5 俺と魔王の秘密の約束
5ー4 魔王
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5ー4 魔王
次に目覚めたとき、俺は、娼館の自分の部屋にいた。
ラーの心配そうなエメラルドの瞳が俺をとらえた。
「ミコト・・」
「ラー・・」
なんだかすごく気まずくて俺は、思わずラーから目をそらした。
ラーは、知ってるんだろうか?
俺の。
本当の姿を。
罪深さを。
ラーが手を伸ばして俺の髪をそっと撫でようとしたが、俺は、その手を払い退けていた。
「ミコト」
「ごめん・・1人にして・・」
ラーがしばらく佇んでから部屋を出ていく。
俺は。
1人、涙を流していた。
「何を泣いておるのだ?」
あの時の声が聞こえて俺は、びくっと体をベッドの上に起こした。
丸い青い瞳が見えた。
そこにいたのは、長い黒髪をしたまだ幼い少年だった。
ウィルよりもずっと幼い。
少年は、ベッドの上にのって俺を見上げている。
「なぜ、そちは泣いておるのだ?」
俺は、答えなかった。
それどころか少年を無視しようとした。
少年は、むっとした様子で俺の頬に手をあてて自分の方へと向かせると、俺を覗き込んだ。
「答えよ!我が妃よ」
妃?
こんな子供が何を。
俺は、子供を押し退けてベッドから出ようとした。
子供が後ろに押されてひっくり返った。
それでも、俺は、子供を無視していた。
急がないと。
仕事、しなくては。
俺は、手早く着ていた夜着を脱ぎ捨てると椅子にかけられていた服を身にまとった。
「おい!お前!」
その子供は、俺に呼び掛けていたが俺は、それに答える暇はなくて。
無視して身繕いをして部屋を出ようとすると突然、子供は、声をあげて泣き始めた。
はい?
俺は、驚いて子供の方を見た。
子供は、声をあげて泣きじゃくっていた。
「お前・・」
「お前ではないわ!」
子供は、しゃくりあげながら俺にわめいた。
「余は、バルムドールの一族の王、アキセルじゃ!」
泣きわめく子供に俺は、どうしたらいいのかわからなくなって。
どうにかして慰めようと思って、俺は、子供を抱き寄せてあやすように話しかけた。
「大丈夫。大丈夫だから、もう、泣くな。いい子だから」
「いい子、ではないわ!」
その子供は、俺の胸にすがり付いて泣きながら声をあげた。
「バカにするでないわ!余は、魔王なるぞ!」
「はい、はい」
俺は、子供をあやしながらなんだか、気持ちが落ち着いてくるのを感じていた。
まるで、この子が俺の代わりに泣きわめいてくれたかのような気がして俺は、愛おしくなってきていた。
ぎゅっと抱き締めて俺は、優しく囁いた。
「もう、大丈夫、だから」
小さな魔王さまは、俺の腕の中でじょじょに泣き止んでいった。
次に目覚めたとき、俺は、娼館の自分の部屋にいた。
ラーの心配そうなエメラルドの瞳が俺をとらえた。
「ミコト・・」
「ラー・・」
なんだかすごく気まずくて俺は、思わずラーから目をそらした。
ラーは、知ってるんだろうか?
俺の。
本当の姿を。
罪深さを。
ラーが手を伸ばして俺の髪をそっと撫でようとしたが、俺は、その手を払い退けていた。
「ミコト」
「ごめん・・1人にして・・」
ラーがしばらく佇んでから部屋を出ていく。
俺は。
1人、涙を流していた。
「何を泣いておるのだ?」
あの時の声が聞こえて俺は、びくっと体をベッドの上に起こした。
丸い青い瞳が見えた。
そこにいたのは、長い黒髪をしたまだ幼い少年だった。
ウィルよりもずっと幼い。
少年は、ベッドの上にのって俺を見上げている。
「なぜ、そちは泣いておるのだ?」
俺は、答えなかった。
それどころか少年を無視しようとした。
少年は、むっとした様子で俺の頬に手をあてて自分の方へと向かせると、俺を覗き込んだ。
「答えよ!我が妃よ」
妃?
こんな子供が何を。
俺は、子供を押し退けてベッドから出ようとした。
子供が後ろに押されてひっくり返った。
それでも、俺は、子供を無視していた。
急がないと。
仕事、しなくては。
俺は、手早く着ていた夜着を脱ぎ捨てると椅子にかけられていた服を身にまとった。
「おい!お前!」
その子供は、俺に呼び掛けていたが俺は、それに答える暇はなくて。
無視して身繕いをして部屋を出ようとすると突然、子供は、声をあげて泣き始めた。
はい?
俺は、驚いて子供の方を見た。
子供は、声をあげて泣きじゃくっていた。
「お前・・」
「お前ではないわ!」
子供は、しゃくりあげながら俺にわめいた。
「余は、バルムドールの一族の王、アキセルじゃ!」
泣きわめく子供に俺は、どうしたらいいのかわからなくなって。
どうにかして慰めようと思って、俺は、子供を抱き寄せてあやすように話しかけた。
「大丈夫。大丈夫だから、もう、泣くな。いい子だから」
「いい子、ではないわ!」
その子供は、俺の胸にすがり付いて泣きながら声をあげた。
「バカにするでないわ!余は、魔王なるぞ!」
「はい、はい」
俺は、子供をあやしながらなんだか、気持ちが落ち着いてくるのを感じていた。
まるで、この子が俺の代わりに泣きわめいてくれたかのような気がして俺は、愛おしくなってきていた。
ぎゅっと抱き締めて俺は、優しく囁いた。
「もう、大丈夫、だから」
小さな魔王さまは、俺の腕の中でじょじょに泣き止んでいった。
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🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。
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