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5 戦争とか青春とか

5ー2 手のひらの上の戦争

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 5ー2 手のひらの上の戦争

 魔法、か。
 だが、すごい魔法使いってのは、いったいどうすればスカウトできるんだ?
 というかそんな簡単ならアーガシュ伯爵たちがどうにかしてるんじゃね?
 「普通にこの現代で手に入る武器でなんとかするとしたら?それも、一般の市民が手に入れることができるもので、だ」
 「なんだ?縛りがあるのか?」
 蒔苗弟は、考え込んだ。
 「それなら重機を使うっていうのは?車両とかも使えるだろう」
 「重機か・・」
 俺は、うめいた。
 実は、先立つものがもうないんだよ。
 軍資金なしで手に入る重機もしくは車両なんてないだろう?
 これで詰みだな。
 俺は、ため息をついた。
 いつの時代、どこの世界でも金がものをいうわけだ。
 貧乏だと勝てる戦争も勝てなくなる。
 「重機ならレンタルすればよくないですか?」
 田中 メイコが思い付いた様に言った。
 「もしも、異世界との行き来ができるのであれば、ですが」
 なるほど。
 俺は、ポン、と手を打った。
 レンタルか!
 それならなんとかなるかもな!
 しかし、重機のレンタルには、免許証が必要なのでは?
 「高校生じゃ、無理か」
 「何?主人公は、高校生なわけ?」
 蒔苗姉がきいた。
 「協力者は?」
 「協力者は、約1名ほどはいるんだが」
 俺の返事をきくと蒔苗弟が告げた。
 「なら、そいつに頼んでレンタルしたら?」
 
 というわけで俺は、マスターに頼んで重機を数台レンタルすることにした。
 レンタルする重機は、あまり大きくない小型のものにした。
 あと、レンタカーも数台借りることにした。
 物資を運ぶのにも役立ちそうなのでトラックとかいいかもな。
 あとは、食料や医薬品もいるかな。
 マスターにこれらのものを依頼することにする。
 だが、しょせんは、ただのじいさんだ。
 人より長生きしているというだけで特に財力があるわけでもない。
 結局、週末までに用意できた重機は、小型のユンボが3台とトラック1台だけだった。
 あとは、量販店で購入した非常食の缶詰が5箱と傷の手当てをするためのキットがいくつか。
 まあ、個人の力じゃ、これぐらいしかできないか。
 じいさんは、特大の魔方陣を近所の空き地に石灰で描き終わると、申し訳なさげに俺に告げた。
 「すまんが、これでなんとかしてくれるか?薫」
 
 
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