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7 二つの世界

7ー2 驚きです!

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 7ー2 驚きです!

 朝の食卓についた俺にロリババアが告げた。
 「今日からミミアスちゃんも一緒に学校に通うことになりました」
 なんですと?
 俺が驚いて口もきけなくなっているのを見てマスターが説明した。
 「隷属の魔法をかけたからな。そばにいなくてはミミアスの身が危ないのだ」
 どういうこと?
 俺が問いかける様に見るとマスターが答えた。
 「お前の半径500メートル以内にいなくては、ミミアスの体が保てないんだよ」
 「体が保てない?」
 「そうだ」
 マスターが頷いた。
 「お前から離れるとミミアスの肉体は、崩れ落ちその魂は醜いヒキガエルになるだろう」
 うん。
 俺は、別にこいつがどうなろうとかまわんのだがな。
 じじいが味噌汁を飲みながら俺に話した。
 「せっかく手に入れた神の身柄を無駄に滅ぼすことはできんからな。当分、ミミアスには、生きていてもらわんと」
 「私は、こんな屈辱に耐えるぐらいなら死を選ぶ」
 ミミアスが呟いたがロリババアが笑顔でそれを打ち消した。
 「だめよ、ミミアスちゃん」
 ロリババアがミミアスに言葉を投げ掛ける。
 「あなたは、生きてもらわなくては。薫くんのために生きて生きて、そして、薫くんのために」
 ロリババアが冷ややかに告げた。
 「死んでね」
 「はぅっ!」
 ミミアスがびくん、と体をこわばらせる。
 ロリババアの言霊がミミアスを捕らえていた。
 こいつは、もうロリババアから逃れることはできない。
 俺は、少し、こいつに同情していた。
 だが、こいつは、俺の敵だ。
 そして、倒さねばならない相手は、こいつの他にまだ8柱もいるのだ。
 もう、魔王を封じている連中だけでよくない?
 だが、マスターは、うんといわない。
 「お前にしか神は倒せない」
 「違うだろう?」
 俺は、じじいに反論した。
 「神を倒すのは復活した魔王の仕事だろうが」
 「それなんだがな、薫」
 じじいが言いにくそうに俺に告げた。
 「魔王を復活させるには、お前の体が必要なんだよ」
 はい?
 俺がキョトンとしているとロリババアが口を挟んだ。
 「魔王を復活させるためには、核となるものが必要なの。その核があなたなのよ、薫くん」
 マジですか?
 
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