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9 神様ほいほいですか?

9ー9 犬ですか?

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 9ー9 犬ですか?

 街の主だった店舗やらなんやらを回った俺たちは、最後にやはり聖堂に立ちよった。
 聖堂でも俺たちは、好意的に迎えられた。
 ルーナのお陰だな。
 というか、オリエか?
 オリエは、自ら何人かの裕福な人々のもとへと貸本を持ち込んだりしてくれていたらしく、どこでも仕事はやりやすかった。
 ほんとに優秀な人のようだな。
 俺は、聖堂の下働きや下級騎士たちを相手に商売しながら彼らから話を聞き出していた。
 どうやら突然姿を消したクルトゥのことを探すためにやってきたラキアスは、ぶちギレているらしい。
 妹神であるクルトゥを誘拐した何者かに対してラキアスは、かなり怒り狂っていて、見つけたら必ず殺すと息巻いているとのことだった。
 コワッ!
 できれば会いたくないがそういうわけにもいかないし。
 俺は、客の相手をしながら考えていた。
 なんとかしてラキアスに穏便に近づく方法はないものか。
 退屈そうにしているミミアスに比べるとクルトゥは、興味深げに俺の商売を眺めていた。
 二人とも気配も姿も消していた。
 黒江も辺りに気を配ってくれていた。
  まあ、いきなりラキアスに出くわしたくはないしな。
 俺は、客である下働きの少女から話をきいていた。
 それは、まだ幼い10歳にもなっていないような女の子だった。
 彼女は、何冊か少女漫画を借りながら俺にきかれるままにラキアスについて話してくれていた。
 なんでもその子は、ラキアスの身の回りの世話をしているのだそうだ。
 極端な女嫌いなラキアスの従僕は、こういった年端もいかない少女や、少年たちなのだという。
 「でも、とっても優しいお方です」
 その少女キナは、俺に話してくれた。
 「とてもクルトゥ様たちのことを案じておられますし、クルトゥ様のいなくなったこのクルクスの街の人々のことも考えてくださっています」
 なるほど。
 俺は、なんかラキアスのことがあまり好きにはなれそうになかった。
 はやいとこ用事を終わらせてさっさとどこかに消えてほしかった。
 まあ、奴の探している妹たちが俺の奴隷になっているのだからな。
 どっちにしても奴とは、話をつけなくてはならない。
 俺は、商売をすまして荷物をまとめると自転車を押して聖堂から出ていこうとした。
 そこに声をかけてきたものがいた。
 「待て!」
 振り向くと金髪に真っ青に澄んだ美しい瞳をしたすらっとした細マッチョ系のイケメンが立っていた。
 彼は、俺に近づいてくるとくんくんと鼻を鳴らして俺の周囲の匂いを嗅いだ。
 彼は、犬のように俺の匂いをくんかくんかと嗅いでいたが、やがて顔をあげて俺のことを見た。
 「貴様からクルトゥたちの匂いがする」
 マジかよ!
 こいつ、犬?
 犬なのか?


 
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