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12 魔王覚醒

12ー12 大団円

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 12ー12 大団円

 「説明してもらえるかしら?柴崎 薫」
 俺たちは、蒔苗姉弟にリビングに連れ出されていた。
 大きなソファの中央に俺を挟んで右にミミアス、ナナルー、左にアイラ、クルトゥ。少し離れてラキアスがぽつんと立っていた。
 「まったく!急に神圧があがったから何事かと思ったらまた神様の数増えてるし!」
 蒔苗 アスナが激昂した。
 「しかも、し、しかも、よりにもよって神と・・いちゃいちゃしてっ!あんた、ほんとに何者なの?」
 「こいつか?」
 ミミアスが俺の横に引っ付いてにっと笑った。
 「こいつは、魔王、だ」
 「魔王?」
 蒔苗たちが俺を凝視した。
 「魔王、だって?」
 「そうよ、れっきとした正真正銘の魔王様」
 アイラがぴったりと俺に張り付いて挑発するように笑った。
 「唯一の神の殺害者よ」
 「その殺害者となんであなた方がつるんでるんですか?」
 田中 メイコが横から訊ねると蒔苗 アスナも激しく同意した。
 「そうよ!神のくせにベタベタして!」
 「何?あんたたち、羨ましいの?」
 アイラが笑顔で訊ねたのに、蒔苗 アスナが立ち上がって叫んだ。
 「そいつは、あたしの!」
 はい?
 俺は、蒔苗姉をじっと見つめた。
 蒔苗 アスナは、頬を真っ赤に染めていた。
 「柴崎 薫は、あたしのもの、よ!」
 マジか?
 この修羅場をなんとかしてくれるものを俺は探していた。
 部屋の隅っこで座り込んでこっちを観察している黒江を発見すると俺は、大声で黒江を呼んだ。
 「黒江!」
 黒江は、ぷいっと横を向くと優雅に毛繕いを始めた。
 「くぅっ!」
 黒江の奴、この状況をみて知らんぷりで通す気だな!
 俺は、女神と勇者と魔女っ子にもみくちゃにされながら思っていた。
 これで大団円でいいのか?
 いいんだよな?
 というか。
 なんでハーレムエンド?
 俺は、平和に暮らしたいだけなのに!
 俺は、貧乳と爆乳の間で叫んだ。
 「どうにかしてくれよ!」
 まあ。
 世界は、一応平和になるし、ルゥたちも地位を回復できそうだ。
 多くは望めない。
 人生は、そういうもんだ。
 俺は、女神たちに挟まれて深いため息をついていた。
 俺って、ほんと三千世界で一番不幸な人造人間だよな。
 ほんと。

 
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