聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~

トモモト ヨシユキ

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13 婚約とドレスと女の戦い(2)

13ー2 治せません!

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 13ー2 治せません!

 わたしは、胸が悪くなった。
 もしこれが認知症なら決してうつるような病ではないのに。
 「その病は、魂を殺すの」
 レイアさんは、涙を流していた。
 「私ももうすぐ100才になるわ。もし、その病になったらと思うと恐ろしくって」
 「レイアさん・・・」
 わたしが慰める言葉を探しているとライナス先生がちらっと横目でわたしを見た。
 「もう、そういう話をトガーに聞かせないでください、レイア様。トガーの聖女が発動して今度は、エルフを救済したいとか言い出しそうなので」
 「聖女が発動って!」
 わたしは、ライナス先生をぎろりと睨み付けた。
 だが、レイアさんと大公閣下は見つめあって頷いていた。
 「それは、確かに。トガー殿は、まるで、というか聖女としか思えんからな」
 「女神の教会に届ければきっと聖女認定されてしまいますわね」
 レイアさんが寂しげに微笑んだ。
 「そうしたら、もう、教会の奥に閉じ込められて自由にお会いできなくなってしまいますわ」
 いやいやいや!
 余計なことは、しないでくださいね!
 わたしは、きぃっとみんなを睨み付けた。
 「ほんと、何回も言うけれど、わたしは、聖女なんかじゃありませんからね!」
 「それでも、君は、もう、そのかわいいおつむでエルフのことをどうにかしたいなんて考えてるんじゃないのか?トガー」
 ライナス先生は、深いため息をついた。
 「いいか?トガー。人には、できることとできないことがある。エルフの病を治すことは、手足のない人々に義肢を与えるのとは全く違うんだよ?」
 「でも」
 わたしは、わがままな子供のように主張した。
 「その病がわたしの知っている病なら」
 「治せるのですか?」
 レイアさんがわたしにきくのでわたしは、頭を振った。
 「いえ。わたしが知っている病ならまだ治すことはできないかもしれないです。でも、エルフの窮状を放っておくことはできないし!」
 「では、私と一緒にエルフの村にいってくださいますか?トガー様」
 レイアさんがわたしに訊ねたのでわたしは、頷いた。
 「わたしに何ができるのかもわかりませんけど」
 それでも、何かが変えられるかもしれない!
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