塔の上のオメガは、アルファに熱愛される~逃れたいんだが番がそれを許さない~

トモモト ヨシユキ

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5 歴史は夜に作られる?

5ー8 逃れられない!

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 5ー8 逃れられない!

 オーリが遠征から戻ってくる数日前に俺を客が訪ねてきた。
 それは、宰相閣下で。
 そもそもこのクリュセイド王国に宰相がいるなんて知らなかった俺は、後宮の応接室に通されたその人をまじまじと見つめてしまった。
 長い銀髪に美しい青い瞳の美男子だ。
 もしかしたら宰相閣下の方が俺よりも後宮の住人となるのに相応しいのかもと思ってしまうほどの美形っぷりに俺は、感嘆していた。
 「ミリナルダ様にはご機嫌麗しく」
 宰相閣下こと、ルシウス・ローデリカ様は、型通りの挨拶をするとじいちゃんが出してくれたお茶に口をつけた。
 「王の婚約式までに一度お会いしたく思っておりました。さすがにあの王が拐ってこられただけのことはある。お美しい方だ」
 「はぁ」
 俺は、ちょっと間が抜けた感じで返事をしてしまう。
 だって!
 こんなきれいな人にそんなこといわれてもなぁ。
 俺もオーガ君が入れてくれたお茶をちびちびと飲んだ。
 最近、俺の口に入るものは徹底的にガードされている。
 じいちゃんが用意するものは、特に注意されている。
 俺からすれば、獣人族のみなさんの出してくれるものも怖いんですけど!
 というのも後宮の図書室で調べたんだけど、獣人族の薬の知識は高く評価されていて、特に妊娠促進剤は、他国からも求められることがあるとか。
 マジでひくわ!
 そんなもの、毎日飲まされてたらオーリの姿を見ただけで妊娠してしまう!
 俺は、オーガ君たちが用意してくれるものもあまり口にしたくはなかったが、口にしないわけにはいかないし!
 恐る恐る俺がお茶をすすっているとルシウス様が微笑みかけてきた。
 「なぜ、身内のことまで警戒されているのですか?」
 うん?
 俺は、顔を上げる。
 ルシウス様は、知っている?
 俺がじいちゃんの出すものを口にしないことをルシウス様は、知っているのだ。
 その上で、俺がなぜ、身内のことまで警戒している理由を知りたがっている。
 俺は、ははっと笑った。
 「俺は……実は、妊娠する自信がないので。立派な王様の後継者なんて俺ではきっと無理ですから」
 「では、なぜ、後宮におられるのです?」
 ルシウス様は、俺に訊ねた。
 「はやくここから出ていけばいいではないですか」
 それができるなら!
 俺は、思わず涙目になっていた。
 来たばかりの頃には、何度か脱走を試みたことがあった。
 その度にじいちゃんに連れ戻されてお仕置きされていたのだ。
 さらには、それをじいちゃんから知らされたオーリにもお仕置きされて。
 とにかく、逃げられないのだ!
 俺は、自分の意思ではここから逃げられないんだよ!
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