転生したら本でした~スパダリ御主人様の溺愛っぷりがすごいんです~

トモモト ヨシユキ

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0 一万回の善行のために転生することになっちゃいました。

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   「あなたは、お亡くなりになりました、細川   ユウさん」
    「はい?」
    俺は、いきなり現れた見知らぬ兄ちゃんにそう言われてキョトンだった。が、同時に、ああ、そういうことかとふに落ちていた。
    ここは、いつもの学校の帰り道にある交差点だった。
    俺は、何日か前から、この交差点付近に閉じ込められていた。
   ここから離れることができないのだ。
    離れようとしても、気がつくと、ここに戻ってきていた。
   俺がもう死んでいて、そして、ここに地縛ってるのならこの状況もなんとなく理解できるというものだった。
    俺は、どこからか、目の前に現れた、なんか、チャラそうな兄ちゃんをじっと凝視した。
    肩までの茶髪に青い瞳。
   今時の若者風の服装をした、なんの変哲もない兄ちゃんは、俺に言った。
    「細川  ユウさん、あなたは、9999回、小さな命を救ってきました。そして、この度、10000回めの善行を行われました」
    はい?
   俺は、記憶に残っている思い出の隅から隅まで探してみたが、こいつの言ってることがなんのことやら理解することができなかった。
    俺が小さな生命を救ってきたって?
   俺は、別に殺人鬼とかなわけじゃないけど、別に、聖者様なわけでもなかった。
    そんなに善行を行った覚えは、まったくなかった。
       「あの、すみませんけど、誰か別の人と間違えてんじゃね?」
    俺がきくと、その兄ちゃんは、持っていた本をめくって言った。
   「いえ、間違いありません。あなたは、10000匹もの生き物たちを救ってきました」
    「でも、そんな覚えがないんだけど」
    「そう言われましても、ここにはそう、記録されています」
    言い切る兄ちゃんに、俺は、きいた。
   「いったい、何を俺が救ったことになってんだよ?」
   「そ、それは・・その、ですね、まず、アリ、ですね」
    アリ?
   「そして、蚊、ハエ、団子虫、蜘蛛・・その他、いろいろな小さな生き物たちを、あなたは、救ってきたのです」
    はい?
    俺は、首をかしげた。
   まったく、覚えがない。
   確かに、俺は、無駄な殺生はしない派だが、別に、すすんでそいつらのために何かをした覚えもなかった。
    どういうこと?
   「とにかく、です」
    兄ちゃんが邪魔くさそうに言った。
    「ここに記憶されているからには、おそらくは、間違いなく、あなたは、これだけの善行を知らず知らずのうちとはいえ、重ねられてきたのでしょう。それによって、あなたは、転生を果たされることが決定しました」
     「転生?」
     「そうです」
     兄ちゃんが輝く笑顔で言った。
    「次の人生では、あなたは、SSS クラスの特別な魂として転生されることになっています」
    「SSSクラスって・・すげぇの?」
    「はい、もちろんです」
    兄ちゃんは、興奮した様子で身を乗り出して力説した。
   「このクラスですと神にもなれます」
    「マジで?」
     俺は、簡単には信じることができなかった。
    俺が、神様になっちゃうってか?
    そんなバカなことがあるわけがないだろ。
       だが、俺は、一応確認してみた。
   「どんな神様だよ?」
     「本です」
      兄ちゃんがはっきりくっきりと答えたので、俺は、またまた、キョトンだった。
    本?
    あの、紙でできてて、文字が書いてあったりする本だよな?
    「あ、本っていっても、意思を持った、すごく高次の存在ですからご安心ください。後、世界を滅ぼし、再生するくらいの力を軽く持ってますからご注意くださいね。あなたが、やろうと思えば、世界を手中にすることもできますよ。漢のロマンでしょ」
    はい?
   漢のロマンって。
   俺は、頭がぐるぐるなっていた。
   本なのに世界征服とかできちゃうんだ、俺。
   「いや、いや、いや、マジで」
    俺は、兄ちゃんに言った。
   「そんなすげぇもんじゃなくったってもいいから、もっと、普通の生き物にしてくんない?例えば、人間とか、人間とか、人間とか、さ」
    「めっちゃ人間押しじゃないですか」
     兄ちゃんがつまらなさそうに唇を尖らせた。
   「でも、あなたが本に転生されることはすでに決定事項ですから、諦めてください」
   なんですとぉ⁉️
   俺がちょっと待って、と言おうとしたとき、兄ちゃんがにっこりと微笑んで俺の手を掴んだ。
   「さあ、いきましょうか、来世へ」
    「ちょ・・ちょっと」
    「楽しくなりますよ、きっと。万能の力を持った至高の存在になれるんですから」
    兄ちゃんに引っ張られて、俺は、どんどん天空へと吸い込まれていった。
   「かわいい女の子を集めてハーレム作ってもいいし、世界中の富を集めて愛でてもいいし、やりたい放題ですよ」
    「いや、俺、普通に暮らしたいし」
    俺は、兄ちゃんに引かれて空へと飲み込まれていきながらも、必死に抵抗していた。
   「普通に、幸せになりたいんだよ!」
    「いいから、いいから、私にお任せくださいね」
    兄ちゃんが軽薄そうにいったのが、俺の今生での最後の記憶になった。
   「必ず、満足させてみせますから」
    そうして、俺は、光に飲み込まれた。
   
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