1 / 28
0 一万回の善行のために転生することになっちゃいました。
しおりを挟む
「あなたは、お亡くなりになりました、細川 ユウさん」
「はい?」
俺は、いきなり現れた見知らぬ兄ちゃんにそう言われてキョトンだった。が、同時に、ああ、そういうことかとふに落ちていた。
ここは、いつもの学校の帰り道にある交差点だった。
俺は、何日か前から、この交差点付近に閉じ込められていた。
ここから離れることができないのだ。
離れようとしても、気がつくと、ここに戻ってきていた。
俺がもう死んでいて、そして、ここに地縛ってるのならこの状況もなんとなく理解できるというものだった。
俺は、どこからか、目の前に現れた、なんか、チャラそうな兄ちゃんをじっと凝視した。
肩までの茶髪に青い瞳。
今時の若者風の服装をした、なんの変哲もない兄ちゃんは、俺に言った。
「細川 ユウさん、あなたは、9999回、小さな命を救ってきました。そして、この度、10000回めの善行を行われました」
はい?
俺は、記憶に残っている思い出の隅から隅まで探してみたが、こいつの言ってることがなんのことやら理解することができなかった。
俺が小さな生命を救ってきたって?
俺は、別に殺人鬼とかなわけじゃないけど、別に、聖者様なわけでもなかった。
そんなに善行を行った覚えは、まったくなかった。
「あの、すみませんけど、誰か別の人と間違えてんじゃね?」
俺がきくと、その兄ちゃんは、持っていた本をめくって言った。
「いえ、間違いありません。あなたは、10000匹もの生き物たちを救ってきました」
「でも、そんな覚えがないんだけど」
「そう言われましても、ここにはそう、記録されています」
言い切る兄ちゃんに、俺は、きいた。
「いったい、何を俺が救ったことになってんだよ?」
「そ、それは・・その、ですね、まず、アリ、ですね」
アリ?
「そして、蚊、ハエ、団子虫、蜘蛛・・その他、いろいろな小さな生き物たちを、あなたは、救ってきたのです」
はい?
俺は、首をかしげた。
まったく、覚えがない。
確かに、俺は、無駄な殺生はしない派だが、別に、すすんでそいつらのために何かをした覚えもなかった。
どういうこと?
「とにかく、です」
兄ちゃんが邪魔くさそうに言った。
「ここに記憶されているからには、おそらくは、間違いなく、あなたは、これだけの善行を知らず知らずのうちとはいえ、重ねられてきたのでしょう。それによって、あなたは、転生を果たされることが決定しました」
「転生?」
「そうです」
兄ちゃんが輝く笑顔で言った。
「次の人生では、あなたは、SSS クラスの特別な魂として転生されることになっています」
「SSSクラスって・・すげぇの?」
「はい、もちろんです」
兄ちゃんは、興奮した様子で身を乗り出して力説した。
「このクラスですと神にもなれます」
「マジで?」
俺は、簡単には信じることができなかった。
俺が、神様になっちゃうってか?
そんなバカなことがあるわけがないだろ。
だが、俺は、一応確認してみた。
「どんな神様だよ?」
「本です」
兄ちゃんがはっきりくっきりと答えたので、俺は、またまた、キョトンだった。
本?
あの、紙でできてて、文字が書いてあったりする本だよな?
「あ、本っていっても、意思を持った、すごく高次の存在ですからご安心ください。後、世界を滅ぼし、再生するくらいの力を軽く持ってますからご注意くださいね。あなたが、やろうと思えば、世界を手中にすることもできますよ。漢のロマンでしょ」
はい?
漢のロマンって。
俺は、頭がぐるぐるなっていた。
本なのに世界征服とかできちゃうんだ、俺。
「いや、いや、いや、マジで」
俺は、兄ちゃんに言った。
「そんなすげぇもんじゃなくったってもいいから、もっと、普通の生き物にしてくんない?例えば、人間とか、人間とか、人間とか、さ」
「めっちゃ人間押しじゃないですか」
兄ちゃんがつまらなさそうに唇を尖らせた。
「でも、あなたが本に転生されることはすでに決定事項ですから、諦めてください」
なんですとぉ⁉️
俺がちょっと待って、と言おうとしたとき、兄ちゃんがにっこりと微笑んで俺の手を掴んだ。
「さあ、いきましょうか、来世へ」
「ちょ・・ちょっと」
「楽しくなりますよ、きっと。万能の力を持った至高の存在になれるんですから」
兄ちゃんに引っ張られて、俺は、どんどん天空へと吸い込まれていった。
「かわいい女の子を集めてハーレム作ってもいいし、世界中の富を集めて愛でてもいいし、やりたい放題ですよ」
「いや、俺、普通に暮らしたいし」
俺は、兄ちゃんに引かれて空へと飲み込まれていきながらも、必死に抵抗していた。
「普通に、幸せになりたいんだよ!」
「いいから、いいから、私にお任せくださいね」
兄ちゃんが軽薄そうにいったのが、俺の今生での最後の記憶になった。
「必ず、満足させてみせますから」
そうして、俺は、光に飲み込まれた。
「はい?」
俺は、いきなり現れた見知らぬ兄ちゃんにそう言われてキョトンだった。が、同時に、ああ、そういうことかとふに落ちていた。
ここは、いつもの学校の帰り道にある交差点だった。
俺は、何日か前から、この交差点付近に閉じ込められていた。
ここから離れることができないのだ。
離れようとしても、気がつくと、ここに戻ってきていた。
俺がもう死んでいて、そして、ここに地縛ってるのならこの状況もなんとなく理解できるというものだった。
俺は、どこからか、目の前に現れた、なんか、チャラそうな兄ちゃんをじっと凝視した。
肩までの茶髪に青い瞳。
今時の若者風の服装をした、なんの変哲もない兄ちゃんは、俺に言った。
「細川 ユウさん、あなたは、9999回、小さな命を救ってきました。そして、この度、10000回めの善行を行われました」
はい?
俺は、記憶に残っている思い出の隅から隅まで探してみたが、こいつの言ってることがなんのことやら理解することができなかった。
俺が小さな生命を救ってきたって?
俺は、別に殺人鬼とかなわけじゃないけど、別に、聖者様なわけでもなかった。
そんなに善行を行った覚えは、まったくなかった。
「あの、すみませんけど、誰か別の人と間違えてんじゃね?」
俺がきくと、その兄ちゃんは、持っていた本をめくって言った。
「いえ、間違いありません。あなたは、10000匹もの生き物たちを救ってきました」
「でも、そんな覚えがないんだけど」
「そう言われましても、ここにはそう、記録されています」
言い切る兄ちゃんに、俺は、きいた。
「いったい、何を俺が救ったことになってんだよ?」
「そ、それは・・その、ですね、まず、アリ、ですね」
アリ?
「そして、蚊、ハエ、団子虫、蜘蛛・・その他、いろいろな小さな生き物たちを、あなたは、救ってきたのです」
はい?
俺は、首をかしげた。
まったく、覚えがない。
確かに、俺は、無駄な殺生はしない派だが、別に、すすんでそいつらのために何かをした覚えもなかった。
どういうこと?
「とにかく、です」
兄ちゃんが邪魔くさそうに言った。
「ここに記憶されているからには、おそらくは、間違いなく、あなたは、これだけの善行を知らず知らずのうちとはいえ、重ねられてきたのでしょう。それによって、あなたは、転生を果たされることが決定しました」
「転生?」
「そうです」
兄ちゃんが輝く笑顔で言った。
「次の人生では、あなたは、SSS クラスの特別な魂として転生されることになっています」
「SSSクラスって・・すげぇの?」
「はい、もちろんです」
兄ちゃんは、興奮した様子で身を乗り出して力説した。
「このクラスですと神にもなれます」
「マジで?」
俺は、簡単には信じることができなかった。
俺が、神様になっちゃうってか?
そんなバカなことがあるわけがないだろ。
だが、俺は、一応確認してみた。
「どんな神様だよ?」
「本です」
兄ちゃんがはっきりくっきりと答えたので、俺は、またまた、キョトンだった。
本?
あの、紙でできてて、文字が書いてあったりする本だよな?
「あ、本っていっても、意思を持った、すごく高次の存在ですからご安心ください。後、世界を滅ぼし、再生するくらいの力を軽く持ってますからご注意くださいね。あなたが、やろうと思えば、世界を手中にすることもできますよ。漢のロマンでしょ」
はい?
漢のロマンって。
俺は、頭がぐるぐるなっていた。
本なのに世界征服とかできちゃうんだ、俺。
「いや、いや、いや、マジで」
俺は、兄ちゃんに言った。
「そんなすげぇもんじゃなくったってもいいから、もっと、普通の生き物にしてくんない?例えば、人間とか、人間とか、人間とか、さ」
「めっちゃ人間押しじゃないですか」
兄ちゃんがつまらなさそうに唇を尖らせた。
「でも、あなたが本に転生されることはすでに決定事項ですから、諦めてください」
なんですとぉ⁉️
俺がちょっと待って、と言おうとしたとき、兄ちゃんがにっこりと微笑んで俺の手を掴んだ。
「さあ、いきましょうか、来世へ」
「ちょ・・ちょっと」
「楽しくなりますよ、きっと。万能の力を持った至高の存在になれるんですから」
兄ちゃんに引っ張られて、俺は、どんどん天空へと吸い込まれていった。
「かわいい女の子を集めてハーレム作ってもいいし、世界中の富を集めて愛でてもいいし、やりたい放題ですよ」
「いや、俺、普通に暮らしたいし」
俺は、兄ちゃんに引かれて空へと飲み込まれていきながらも、必死に抵抗していた。
「普通に、幸せになりたいんだよ!」
「いいから、いいから、私にお任せくださいね」
兄ちゃんが軽薄そうにいったのが、俺の今生での最後の記憶になった。
「必ず、満足させてみせますから」
そうして、俺は、光に飲み込まれた。
25
あなたにおすすめの小説
異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる
ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。
アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。
異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。
【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。
αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。
負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。
「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。
庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。
※Rシーンには♡マークをつけます。
異世界転生したと思ったら、悪役令嬢(男)だった
カイリ
BL
16年間公爵令息として何不自由ない生活を送ってきたヴィンセント。
ある日突然、前世の記憶がよみがえってきて、ここがゲームの世界であると知る。
俺、いつ死んだの?!
死んだことにも驚きが隠せないが、何より自分が転生してしまったのは悪役令嬢だった。
男なのに悪役令嬢ってどういうこと?
乙女げーのキャラクターが男女逆転してしまった世界の話です。
ゆっくり更新していく予定です。
設定等甘いかもしれませんがご容赦ください。
親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話
gina
BL
親友と同時に死んで異世界転生したけど、
立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話です。
タイトルそのままですみません。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
異世界転移された傾国顔が、アラ還宰相の幼妻になって溺愛されるまでの話
ふき
BL
異世界に転移したカナトは、成り行きでアラ還の宰相ヴァルターと結婚することになる。
戸惑いながら迎えた初夜。衝動のキス、触れあう体温――そして翌朝から距離が遠ざかった。
「じゃあ、なんでキスなんてしたんだよ」
これは、若さを理由に逃げようとするアラ還宰相を、青年が逃がさない話。
ヴァルター×カナト
※サブCPで一部、近親関係を想起させる描写があります。
呪われた辺境伯は、異世界転生者を手放さない
波崎 亨璃
BL
ーーー呪われた辺境伯に捕まったのは、俺の方だった。
異世界に迷い込んだ駆真は「呪われた辺境伯」と呼ばれるレオニスの領地に落ちてしまう。
強すぎる魔力のせいで、人を近づけることができないレオニス。
彼に触れれば衰弱し、最悪の場合、命を落とす。
しかしカルマだけはなぜかその影響を一切受けなかった。その事実に気づいたレオニスは次第にカルマを手放さなくなっていく。
「俺に触れられるのは、お前だけだ」
呪いよりも重い執着と孤独から始まる、救済BL。
となります。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000の勇者が攻めてきた!
モト
BL
異世界転生したら弱い悪魔になっていました。でも、異世界転生あるあるのスキル表を見る事が出来た俺は、自分にはとんでもない天性資質が備わっている事を知る。
その天性資質を使って、エルフちゃんと結婚したい。その為に旅に出て、強い魔物を退治していくうちに何故か魔王になってしまった。
魔王城で仕方なく引きこもり生活を送っていると、ある日勇者が攻めてきた。
その勇者のスキルは……え!? 性技Lv.99、努力Lv.10000、執着Lv.10000、愛情Max~~!?!?!?!?!?!
ムーンライトノベルズにも投稿しておりすがアルファ版のほうが長編になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる