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6 聖者なんかじゃありません!
6ー7 神の子
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6ー7 神の子
神官長のもとを辞した後、俺は、吐いた。
俺を介抱してくれたのはロタだった。
「大丈夫ですか?オルナム様」
「大丈夫、じゃねぇし」
俺は、ロタを睨んだ。
こんなことになっているのは、こいつのせいだ。
だが、ロタは、知らん顔で俺の背を擦っていた。
「以外と繊細な方だったのですね」
「うるさい!」
俺が口許を拭って立ち上がるのに手をかしながらロタは、ため息をつく。
「これでは先が思いやられますね」
「緊張されたのですね」
俺たちを案内してくれた神官は、眉を下げて俺たちのやり取りを見ていた。
「無理もありません。あのお方は、この国の神殿の頂点にたっておられるお方ですから」
その神官は、サヤと名乗った。
「私は、神の子ですから、姓は持ちません。ただのサヤです」
つまり、彼女は、この神殿で産まれた子供だということだった。
聖者に類する力を持つ男を父に持つ神殿の子供。
それがいわゆる『神の子』と呼ばれる者だ。
一生を神殿の中ですごす運命の子供たち。
サヤは、俺たちに神殿の中を案内してくれた。
神殿。
それは、閉じられた一つの小さな世界だ。
その中だけで完結している世界。
人々は、神殿の中で生産し消費し、生きて死んでいく。
とても俺には、耐えられそうにない世界だ。
俺がロタに文句を言おうとしたそのとき、近くの部屋から声がきこえた。
「お許しください!ライナス様!」
激しい物音がきこえる。
サヤの表情が曇るのを俺は見逃さなかった。
ばん、と扉が勢いよく開いて中から小柄な男が出てきた。
その男は、俺に目をとめると獲物を見つけた獣のように獰猛な笑みを浮かべた。
「あんたが新しい聖者候補?」
そのまばゆいばかりの美貌の男は、じろじろと俺のことを無遠慮に見た。
「神官長があんたみたいな武骨な男を聖者として受け入れるとは、驚きだな」
男は、ふん、と鼻を鳴らして笑った。
いや。
武骨で悪かったな!
俺は、ムカついていた。
男は、俺をバカにした様子で続けた。
「お前のような男は、せいぜい愛想を振り撒くしかここで生き残る道はないな」
「別に、ここで生きていくつもりもないんだが」
俺は、その男に応じた。
「休暇の間だけ行儀見習いで来てるだけだしな」
「行儀見習い?」
男がバカにするように笑った。
神官長のもとを辞した後、俺は、吐いた。
俺を介抱してくれたのはロタだった。
「大丈夫ですか?オルナム様」
「大丈夫、じゃねぇし」
俺は、ロタを睨んだ。
こんなことになっているのは、こいつのせいだ。
だが、ロタは、知らん顔で俺の背を擦っていた。
「以外と繊細な方だったのですね」
「うるさい!」
俺が口許を拭って立ち上がるのに手をかしながらロタは、ため息をつく。
「これでは先が思いやられますね」
「緊張されたのですね」
俺たちを案内してくれた神官は、眉を下げて俺たちのやり取りを見ていた。
「無理もありません。あのお方は、この国の神殿の頂点にたっておられるお方ですから」
その神官は、サヤと名乗った。
「私は、神の子ですから、姓は持ちません。ただのサヤです」
つまり、彼女は、この神殿で産まれた子供だということだった。
聖者に類する力を持つ男を父に持つ神殿の子供。
それがいわゆる『神の子』と呼ばれる者だ。
一生を神殿の中ですごす運命の子供たち。
サヤは、俺たちに神殿の中を案内してくれた。
神殿。
それは、閉じられた一つの小さな世界だ。
その中だけで完結している世界。
人々は、神殿の中で生産し消費し、生きて死んでいく。
とても俺には、耐えられそうにない世界だ。
俺がロタに文句を言おうとしたそのとき、近くの部屋から声がきこえた。
「お許しください!ライナス様!」
激しい物音がきこえる。
サヤの表情が曇るのを俺は見逃さなかった。
ばん、と扉が勢いよく開いて中から小柄な男が出てきた。
その男は、俺に目をとめると獲物を見つけた獣のように獰猛な笑みを浮かべた。
「あんたが新しい聖者候補?」
そのまばゆいばかりの美貌の男は、じろじろと俺のことを無遠慮に見た。
「神官長があんたみたいな武骨な男を聖者として受け入れるとは、驚きだな」
男は、ふん、と鼻を鳴らして笑った。
いや。
武骨で悪かったな!
俺は、ムカついていた。
男は、俺をバカにした様子で続けた。
「お前のような男は、せいぜい愛想を振り撒くしかここで生き残る道はないな」
「別に、ここで生きていくつもりもないんだが」
俺は、その男に応じた。
「休暇の間だけ行儀見習いで来てるだけだしな」
「行儀見習い?」
男がバカにするように笑った。
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