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9 黄金の小都
9ー2 アララギ
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9ー2 アララギ
「彼の国?」
少し寒くなってきて俺は、部屋に戻った。イキナムチも一緒に入ってくる。
『そうじゃ』
イキナムチは、俺がリュートが敷いてくれた上着の上に腰を下ろすとその上空に浮かんで俺を見下ろした。
『国の名は、ジポネス。始祖の名は、アララギというてな』
イキナムチが遠い目をする。
『それは、それは、美しい魔法を使うよい男であった』
ジポネスは、この地に300年ほど前に存在した小国だった。
ライゾさんたちの話からすごく俺の前世に住んでいた国、日本に似ていた国のようだ。
もしかしたら俺が造った町並みも、当時のジポネスのものに似ているのかもしれない。
『ジポネスは、始祖アララギの魔法によって造られた国じゃった』
イキナムチは、目を閉じて囁くように話す。
『アララギがこの地に降り立った時、この地は、草も育たぬ荒れ地であった。それをアララギが魔法で世にも美しい国に変えたのじゃ』
ジポネスは、小さいが豊かな国になった。
それは、すべてがアララギの力によるものだった。
アララギは、荒れ地に木々を生やし、田畑に変えていった。
『アララギがこの地に降り立った時、共にこの地にやってきたのがこの辺りに暮らしている領珉たちの先祖じゃった』
「アララギたちは、どこから来たんですか?」
俺が聞くとイキナムチは、頭を振った。
『わからんのじゃ。神霊である我にも彼の者たちがどこから来たのかは、わからなかった。アララギもただ、この世界とはまったく違う世界から来たとしか言わんかったしの』
もしかしたら。
俺は、かなり確信していた。
アララギたちは、日本から来たんじゃ?
そう考えれば、この地に残された日本の文化のわけが納得できるし。
イキナムチは、それっきり黙してしまった。
俺は、ふと腰を下ろしていたリュートの上着に視線を落とした。
手触りのよい毛織物で造られた上着からは、仄かにリュートの匂いがした。
それは、柔らかな木々の新芽のような匂いで。
俺は、くん、と匂いを嗅いでいた。
じんわりと胎内に熱が湧き出して。
俺は、堪らず体をぎゅっと固く縮めた。
はぁっと熱い息を吐く。
はやく。
リュートの魔力が欲しい。
そう思ってしまい、俺は、かぁっと顔が熱くなる。
恥ずかしい。
俺、いつからそんなはしたない人間になってしまったんだ?
『愛する者の熱を求めることが悪なのか?』
目の前にイキナムチの顔があって俺は、思わず後ずさった。
「あ、愛するって」
俺は、半笑いでイキナムチを見つめた。
「リュートは、俺のこと、性奴ぐらいにしか思ってないですよ?」
その時、ドアが開いて。
俺は、リュートと目があった。
「まだ、そんな風に思っていたのか?」
リュートは、怖い顔をして近づいてくると床の上に手に持っていた食事ののったトレイを置いて俺に迫ってくる。
「わかってないなら、わからせてやらなくては、な」
「彼の国?」
少し寒くなってきて俺は、部屋に戻った。イキナムチも一緒に入ってくる。
『そうじゃ』
イキナムチは、俺がリュートが敷いてくれた上着の上に腰を下ろすとその上空に浮かんで俺を見下ろした。
『国の名は、ジポネス。始祖の名は、アララギというてな』
イキナムチが遠い目をする。
『それは、それは、美しい魔法を使うよい男であった』
ジポネスは、この地に300年ほど前に存在した小国だった。
ライゾさんたちの話からすごく俺の前世に住んでいた国、日本に似ていた国のようだ。
もしかしたら俺が造った町並みも、当時のジポネスのものに似ているのかもしれない。
『ジポネスは、始祖アララギの魔法によって造られた国じゃった』
イキナムチは、目を閉じて囁くように話す。
『アララギがこの地に降り立った時、この地は、草も育たぬ荒れ地であった。それをアララギが魔法で世にも美しい国に変えたのじゃ』
ジポネスは、小さいが豊かな国になった。
それは、すべてがアララギの力によるものだった。
アララギは、荒れ地に木々を生やし、田畑に変えていった。
『アララギがこの地に降り立った時、共にこの地にやってきたのがこの辺りに暮らしている領珉たちの先祖じゃった』
「アララギたちは、どこから来たんですか?」
俺が聞くとイキナムチは、頭を振った。
『わからんのじゃ。神霊である我にも彼の者たちがどこから来たのかは、わからなかった。アララギもただ、この世界とはまったく違う世界から来たとしか言わんかったしの』
もしかしたら。
俺は、かなり確信していた。
アララギたちは、日本から来たんじゃ?
そう考えれば、この地に残された日本の文化のわけが納得できるし。
イキナムチは、それっきり黙してしまった。
俺は、ふと腰を下ろしていたリュートの上着に視線を落とした。
手触りのよい毛織物で造られた上着からは、仄かにリュートの匂いがした。
それは、柔らかな木々の新芽のような匂いで。
俺は、くん、と匂いを嗅いでいた。
じんわりと胎内に熱が湧き出して。
俺は、堪らず体をぎゅっと固く縮めた。
はぁっと熱い息を吐く。
はやく。
リュートの魔力が欲しい。
そう思ってしまい、俺は、かぁっと顔が熱くなる。
恥ずかしい。
俺、いつからそんなはしたない人間になってしまったんだ?
『愛する者の熱を求めることが悪なのか?』
目の前にイキナムチの顔があって俺は、思わず後ずさった。
「あ、愛するって」
俺は、半笑いでイキナムチを見つめた。
「リュートは、俺のこと、性奴ぐらいにしか思ってないですよ?」
その時、ドアが開いて。
俺は、リュートと目があった。
「まだ、そんな風に思っていたのか?」
リュートは、怖い顔をして近づいてくると床の上に手に持っていた食事ののったトレイを置いて俺に迫ってくる。
「わかってないなら、わからせてやらなくては、な」
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