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第10章 兄と弟
10ー3 終焉
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10ー3 終焉
そうして数週間が過ぎた。
精霊と引き離されたわたしは、セツ様の手によって生かされていた。
わたしに触れるセツ様の手、唇だけがわたしにとっての真実だった。
わたしは、口づけでわたしに水を飲ませようとするセツ様に告げた。
「もう、自分で飲みますから!」
わたしは、セツ様が見守る中、自分で水を飲み、食事を食べた。
セツ様は、体調を回復していくわたしを見てほっとした様子で安堵のため息を漏らしていた。
相変わらずかいがいしくわたしの世話を焼いてくれるセツ様にわたしは、なぜか胸がどきどきするのを止められなかった。
なぜ?
わたしは、セツ様に背をむけてうつむいた。
わたしは、セツ様を好きになってはいけない。
それは、セツ様のことを守ろうとしている人たちの計画にのってしまうということだから。
でも。
わたしは、頬が熱くなるのをこらえきれなかった。
セツ様は、わたしを振り向かせるとそっと頬に触れた。
「どうしたの?カイラ。顔が赤い。もしかして熱があるんじゃ」
「これはっ!」
わたしは、セツ様から視線をそらした。
「なんでもありませんっ!」
「なら、いいんだけど」
セツ様は、優しく微笑んだ。
しばらくは、二人だけの時が流れていった。
わたしは、抗うことを止めていた。
これは、異常なことだ。
わたしがセツ様を好きになることは、セツ様の側近たちによって仕組まれたことにすぎない。
きっと、ここから解放されたなら。
わたしは、夢から覚めるようにセツ様のことを嫌いになる。
それどころか、憎むようにすらなるかもしれない。
それは、セツ様にも理解できていた。
セツ様は、窓から外を眺めるわたしを背後から抱き締めて囁いた。
「君が、私を憎むようになってもしかたがない。だけど、今だけは」
セツ様がぎゅっとわたしを抱く腕に力を込めた。
「今だけは、私だけを見つめて欲しい」
わたしには、答えることができなかった。
そして。
わたしたちの二人だけの世界が終わるときが唐突にやってきた。
ある朝。
目覚めると窓の外にマオの姿があった。
「マオ?」
マオの背にはルシーディア様の姿もあった。
「下がって!カイラ!」
ルシーの言葉にわたしは、部屋の隅まで下がった。
マオが耳をつんざくような声で吠えた。
空気がびりびりっと振るえて窓が壁ごと吹き飛んだ。
そして。
数週間の間、止まっていた時間が動き出したのがわかった。
それは、セツ様とわたしの時間の終わりでもあった。
そうして数週間が過ぎた。
精霊と引き離されたわたしは、セツ様の手によって生かされていた。
わたしに触れるセツ様の手、唇だけがわたしにとっての真実だった。
わたしは、口づけでわたしに水を飲ませようとするセツ様に告げた。
「もう、自分で飲みますから!」
わたしは、セツ様が見守る中、自分で水を飲み、食事を食べた。
セツ様は、体調を回復していくわたしを見てほっとした様子で安堵のため息を漏らしていた。
相変わらずかいがいしくわたしの世話を焼いてくれるセツ様にわたしは、なぜか胸がどきどきするのを止められなかった。
なぜ?
わたしは、セツ様に背をむけてうつむいた。
わたしは、セツ様を好きになってはいけない。
それは、セツ様のことを守ろうとしている人たちの計画にのってしまうということだから。
でも。
わたしは、頬が熱くなるのをこらえきれなかった。
セツ様は、わたしを振り向かせるとそっと頬に触れた。
「どうしたの?カイラ。顔が赤い。もしかして熱があるんじゃ」
「これはっ!」
わたしは、セツ様から視線をそらした。
「なんでもありませんっ!」
「なら、いいんだけど」
セツ様は、優しく微笑んだ。
しばらくは、二人だけの時が流れていった。
わたしは、抗うことを止めていた。
これは、異常なことだ。
わたしがセツ様を好きになることは、セツ様の側近たちによって仕組まれたことにすぎない。
きっと、ここから解放されたなら。
わたしは、夢から覚めるようにセツ様のことを嫌いになる。
それどころか、憎むようにすらなるかもしれない。
それは、セツ様にも理解できていた。
セツ様は、窓から外を眺めるわたしを背後から抱き締めて囁いた。
「君が、私を憎むようになってもしかたがない。だけど、今だけは」
セツ様がぎゅっとわたしを抱く腕に力を込めた。
「今だけは、私だけを見つめて欲しい」
わたしには、答えることができなかった。
そして。
わたしたちの二人だけの世界が終わるときが唐突にやってきた。
ある朝。
目覚めると窓の外にマオの姿があった。
「マオ?」
マオの背にはルシーディア様の姿もあった。
「下がって!カイラ!」
ルシーの言葉にわたしは、部屋の隅まで下がった。
マオが耳をつんざくような声で吠えた。
空気がびりびりっと振るえて窓が壁ごと吹き飛んだ。
そして。
数週間の間、止まっていた時間が動き出したのがわかった。
それは、セツ様とわたしの時間の終わりでもあった。
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