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第2章 騎士と少年
2ー7 涙
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2ー7 涙
急に辺りの視界がひらけて俺たちは、馬車が地上へと到達したことがわかった。
俺は、徐々に反重力魔法を弱めていくとゆっくりと地上に馬車を着地させた。
かなりリータにしごかれて俺の魔法は精度をあげていたが、それでもチヒロは、青い顔色をして気分が悪そうだった。
俺たちは、奈落の出口から一番近い街に宿をとることにした。
といっても辺りは、魔物の森に囲まれている。
森の外にある街までは半日近く馬車を走らせなくてはならない。
俺は、チヒロに膝枕して休ませることにした。
チヒロは、俺の膝に頭をのせて横になるがかなり具合が悪そうだ。
俺は、酔い止めの薬を飲ませてから、濡らしたハンカチでチヒロの額を拭いてやった。
リータは、俺たちのことを生暖かい目で見ていた。
「さすが騎士様、お優しいこと」
「当然だ」
俺は、リータに冷ややかに告げた。
「チヒロは、俺の大切な主だからな」
俺がそう言ったとき、ふいにチヒロの大きな青い瞳から涙が一筋流れるのが見えた。
はいぃっ?
俺は、慌てていた。
「チヒロ、どうした?気分が悪いのか?」
「大丈夫」
チヒロは、涙を隠すように寝返りをうった。
「なんでもないんだ」
「そうか、ならいい」
俺は、ホッと吐息をもらした。
ちらっとリータを見ると嫌な感じでにんまりと笑っていた。
「主さんは、ほんに鈍い方だこと」
は?
俺は、リータを睨み付けた。
リータは、にぃっと笑みを浮かべた。
「ご自分で考えることですわね」
自分で?
俺は、自分の膝を枕にして横たえているチヒロを見下ろした。
顔色は、まだ青白かったが呼吸はだいぶ楽になっているようだった。
俺は、そっとチヒロの頭を撫でた。
俺の大切な主。
チヒロがもぞっと体を動かした。
俺は、チヒロの髪を撫でながらため息をついた。
こんな小さな体で大きな荷物をいくつも背負い込んでいるこの少年を俺は、なんとかして守ってやりたいと思っていた。
それは、もちろん俺のためでもある。
アルアロイが言うには、俺にかけられた竜化の呪いを解くためにはチヒロに力が必要なのだ。
だが。
俺は、チヒロの横顔を眺めてなぜだかほんわりと胸が暖かくなるのを感じていた。
こんな気持ちは、生まれて初めてのことだった。
もしかしたら前世にもなかったかもしれない。
おそらく、チヒロの気が俺の中に直接流れ込むことでなんらかの影響を与えているのだろう。
それでも。
俺は、寝息をたてているチヒロを見つめた。
この温もりは、なかなか悪くない。
俺たちがのった馬車は、夕方には魔物の森の外にある小さな街についた。
リータは、街で一番立派な宿屋に部屋をとるとさっさと姿を消した。
俺とチヒロは、二人部屋だった。
俺は、眠っているチヒロをそっと抱き上げて部屋まで運ぶとそっとベッドに横たわらせた。
チヒロは、むずがるように呻いたが起きなかった。
俺は、チヒロが起きるまで側の椅子に腰かけて待つことにした。
持っていた小さな皮の鞄から本を取り出して読むことにする。
それは、魔法のテキストのようなものだった。
一応、ウルマグライン魔法学園の入学試験のために目を通しておこうと思ったのだ。
俺は、魔力欠乏症だったためにアイヒミューゼン王国では、最下位での卒業だったが、座学ではかなり成績がよかった。
だが、できることがあるならしておくに限る。
急に辺りの視界がひらけて俺たちは、馬車が地上へと到達したことがわかった。
俺は、徐々に反重力魔法を弱めていくとゆっくりと地上に馬車を着地させた。
かなりリータにしごかれて俺の魔法は精度をあげていたが、それでもチヒロは、青い顔色をして気分が悪そうだった。
俺たちは、奈落の出口から一番近い街に宿をとることにした。
といっても辺りは、魔物の森に囲まれている。
森の外にある街までは半日近く馬車を走らせなくてはならない。
俺は、チヒロに膝枕して休ませることにした。
チヒロは、俺の膝に頭をのせて横になるがかなり具合が悪そうだ。
俺は、酔い止めの薬を飲ませてから、濡らしたハンカチでチヒロの額を拭いてやった。
リータは、俺たちのことを生暖かい目で見ていた。
「さすが騎士様、お優しいこと」
「当然だ」
俺は、リータに冷ややかに告げた。
「チヒロは、俺の大切な主だからな」
俺がそう言ったとき、ふいにチヒロの大きな青い瞳から涙が一筋流れるのが見えた。
はいぃっ?
俺は、慌てていた。
「チヒロ、どうした?気分が悪いのか?」
「大丈夫」
チヒロは、涙を隠すように寝返りをうった。
「なんでもないんだ」
「そうか、ならいい」
俺は、ホッと吐息をもらした。
ちらっとリータを見ると嫌な感じでにんまりと笑っていた。
「主さんは、ほんに鈍い方だこと」
は?
俺は、リータを睨み付けた。
リータは、にぃっと笑みを浮かべた。
「ご自分で考えることですわね」
自分で?
俺は、自分の膝を枕にして横たえているチヒロを見下ろした。
顔色は、まだ青白かったが呼吸はだいぶ楽になっているようだった。
俺は、そっとチヒロの頭を撫でた。
俺の大切な主。
チヒロがもぞっと体を動かした。
俺は、チヒロの髪を撫でながらため息をついた。
こんな小さな体で大きな荷物をいくつも背負い込んでいるこの少年を俺は、なんとかして守ってやりたいと思っていた。
それは、もちろん俺のためでもある。
アルアロイが言うには、俺にかけられた竜化の呪いを解くためにはチヒロに力が必要なのだ。
だが。
俺は、チヒロの横顔を眺めてなぜだかほんわりと胸が暖かくなるのを感じていた。
こんな気持ちは、生まれて初めてのことだった。
もしかしたら前世にもなかったかもしれない。
おそらく、チヒロの気が俺の中に直接流れ込むことでなんらかの影響を与えているのだろう。
それでも。
俺は、寝息をたてているチヒロを見つめた。
この温もりは、なかなか悪くない。
俺たちがのった馬車は、夕方には魔物の森の外にある小さな街についた。
リータは、街で一番立派な宿屋に部屋をとるとさっさと姿を消した。
俺とチヒロは、二人部屋だった。
俺は、眠っているチヒロをそっと抱き上げて部屋まで運ぶとそっとベッドに横たわらせた。
チヒロは、むずがるように呻いたが起きなかった。
俺は、チヒロが起きるまで側の椅子に腰かけて待つことにした。
持っていた小さな皮の鞄から本を取り出して読むことにする。
それは、魔法のテキストのようなものだった。
一応、ウルマグライン魔法学園の入学試験のために目を通しておこうと思ったのだ。
俺は、魔力欠乏症だったためにアイヒミューゼン王国では、最下位での卒業だったが、座学ではかなり成績がよかった。
だが、できることがあるならしておくに限る。
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