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4 最果ての国へ

4ー1 特別な服

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 4ー1 特別な服

 3日後。
 私とランスロットは、ひそかに屋敷を抜け出した。
 夜明け前のことだ。
 静まり返ったまだ明けやらぬ空の下、薄暗い屋敷の中を足音をひそめて私たちは、外へと出ていった。
 屋敷の門の外には地竜のひく幌馬車に乗ったグリフォン様が待っていた。
 グリフォン様は、いつもの薄汚れたローブ姿ではなくパリッとした白シャツに黒のズボンという格好に黒いマントを羽織っていた。
 ランスロットもグリフォン様と似たような格好だった。
 私は、街一番の腕前だとマーサが自慢げに言った仕立て屋のルードに頼んで特別な服を作ってもらっていた。
 それは、薄い、肌にピタリとフィットする伸縮性のある素材で作った黒いシャツとスパッツ。それに濃いブルーのチェニックを上に羽織っていた。
 身につけた武器らしいものはなし。
 私は、剣を持ちたかったのだがランスロットに反対された。
 いわく、「ヘタに武器を持っている方が危険」とのことだった。
 確かにそうかもしれないけど私だって毎日剣術の鍛練に励んでいたんだし、今ではそれなりの腕前になっている筈。
 なのにランスロットが私が持つことを許可してくれたのは、小さな腰にぶら下げておける短剣一本だけだった。
 というか短剣というより包丁?
 これは、旅人や冒険者が狩猟のときに使う獲物を解体するためのナイフなのらしい。
 私は、ちっと舌打ちした。
 まったく面白くない!
 ふてくされる私にグリフォン様が馬車の中からフードを取り出して着るようにと促した。
 「なぜですの?」
 私は、グリフォン様に訊ねた。
 私は、このチュニック姿を気に入っている。
 とってもかわいいし、まだ少しポッチャリしている私の体の線を覆い隠した上に動きやすかった。
 私に問われてグリフォン様は、素っ気なく答えた。
 「女がそんな格好でうろうろしていたら娼婦と間違われかねない」
 マジですか?
 ランスロットを振り向くとコクコクとしきりにグリフォン様の言葉に頷いている。
 「私も次の町でフードを買って着てもらおうと思っていたんです」
 
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