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2 俺の悩みと学園生活の始まり
2-8 ハチミツ味ですか?
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2ー8 ハチミツ味ですか?
俺は、この世界に来て初めて心が踊っていた。
これだよ、これ!
せっかく異世界に来たんだからこういうファンタジーなことがないと!
それから3日後の夜。
満月の下、神殿の中庭において俺の精霊との契約式が執り行われた。
俺は、二メートル四方の光の精霊紋が描かれた場所の中心に立たされ、手に甘い香りのする液体の入った壺を持たされた。
「これは?」
俺がきくとイーサンが教えてくれた。
「ハチミツです」
「ハチミツ?」
俺は、小首を傾げた。
「なんで、ハチミツ?」
「光の精霊は、はちみつを好むので」
マジですか?
なんか、虫か、熊?
俺がハチミツの入った壺を持って光の精霊紋の中心へと立つとグーリスじいちゃんが神殿の奥から姿を現して近づいてきた。
「準備はよいか?レンタロウよ、これからわしらの力を持って光の精霊を呼び寄せてその精霊紋の中へと閉じ込める。お前は、なんとか精霊を手なずけて契約を結ぶのじゃ」
「ええっ?」
俺は、グーリスじいちゃんに聞きたいことがあったが、もうすでにじいちゃんたちは、術に入っていて答えてくれそうにはなかった。
精霊との契約って、こんな感じだったっけ?
「集中して!レン様」
イーサンの声がして俺がはっと気づくと、グーリスじいちゃんが叫んだ。
「いったぞ、レンタロウ!」
はい?
俺は、近づいてくる白い影に後ろづさった。
影は、精霊紋の中で徐々に形をとっていって、なんか、巨大な獅子のようになった。
獅子は、腹のそこまで響いてくるような咆哮をあげた。
「私を呼び出したのは、お前たちか?」
「はぃいッ!?」
俺は、獅子と狭い空間に閉じ込められてびびってしまって、ハチミツの壺を差し出して目を閉じた。
「どうぞ!つまらないものですが!!」
「いらんわ!そんなもの!」
びしっと猫パンチ、もとい、獅子パンチでそいつは俺の手から壺をはたき落とした。
「えっ?」
びしゃっと壺の中身を、俺は、頭から被ってしまった。
マジか!
うわっ、ベタベタして気持ち悪っ!
俺は、急いで羽織っていた上着を脱いだ。
「うわっ、ベトベトだ!」
俺は、ハチミツでベタベタのシャツが体に張り付いて気持ち悪くて顔をしかめていた。
急いでボタンを外してシャツをはだけた時、何かの気配を感じて、俺は、ふと顔をあげた。
すると、目の前に長い白金髪の薄いブルーの瞳の美しい半裸の男が立っていて、俺のことを覗き込んでいた。
「ほぇっ?」
「それは、生まれつきなのか?」
その美しい男は、俺の胸の赤い乳首を指差した。
俺は、頬が熱くなった。
「ち、ちがっ!これは・・」
「もっとよく見せてくれ」
男は、俺の両手を掴んで俺を地面へと押し倒した。
「なっ!」
俺は、抵抗したが無駄だった。
男は、俺の胸の頂を見つめていたが、やがて、赤い舌を出してそこをペロリと舐めた。
「甘い」
男は、俺のそこへと吸い付いてきた。
舌先でなぶられて、俺は、声を噛み殺した。
「んぅっ!」
「いい匂いだ」
男は、俺の首もとに顔を近づけると俺の匂いをくんくんと嗅いだ。
俺は、くすぐったくって目を閉じて身を捩った。
「あっ・・」
「お前は、いい香りがする」
それ、たぶん、ハチミツの匂いですから!
俺は、心の中で叫んでいた。
「ふん」
男は、ペロリと俺の首もとを舐めた。
「それに、うまい」
うん。
間違いなく、ハチミツです!
「気に入った。お前と契約してやろう」
男は、俺の胸元に顔を近づけるとそこに口づけた。
「甘い香りと味のする美しい胸を持つ男よ、我が契約者となるがいい」
はい?
俺の胸元の奴が口づけた場所が光を放ち、そこに精霊紋が浮かび上がった。
「では、いづれまた会おう。我が契約者よ」
そうして、その男は、姿を消した。
俺は、その場に横たえたままぼんやりとしていた。
何?
契約、できたのか?
「よくやった!レンタロウよ!」
グーリスじいちゃんが駆け寄ってきて俺の手をとった。
「お主が今、契約を交わしたのは、光の精霊王じゃ!」
マジですか?
俺は、この世界に来て初めて心が踊っていた。
これだよ、これ!
せっかく異世界に来たんだからこういうファンタジーなことがないと!
それから3日後の夜。
満月の下、神殿の中庭において俺の精霊との契約式が執り行われた。
俺は、二メートル四方の光の精霊紋が描かれた場所の中心に立たされ、手に甘い香りのする液体の入った壺を持たされた。
「これは?」
俺がきくとイーサンが教えてくれた。
「ハチミツです」
「ハチミツ?」
俺は、小首を傾げた。
「なんで、ハチミツ?」
「光の精霊は、はちみつを好むので」
マジですか?
なんか、虫か、熊?
俺がハチミツの入った壺を持って光の精霊紋の中心へと立つとグーリスじいちゃんが神殿の奥から姿を現して近づいてきた。
「準備はよいか?レンタロウよ、これからわしらの力を持って光の精霊を呼び寄せてその精霊紋の中へと閉じ込める。お前は、なんとか精霊を手なずけて契約を結ぶのじゃ」
「ええっ?」
俺は、グーリスじいちゃんに聞きたいことがあったが、もうすでにじいちゃんたちは、術に入っていて答えてくれそうにはなかった。
精霊との契約って、こんな感じだったっけ?
「集中して!レン様」
イーサンの声がして俺がはっと気づくと、グーリスじいちゃんが叫んだ。
「いったぞ、レンタロウ!」
はい?
俺は、近づいてくる白い影に後ろづさった。
影は、精霊紋の中で徐々に形をとっていって、なんか、巨大な獅子のようになった。
獅子は、腹のそこまで響いてくるような咆哮をあげた。
「私を呼び出したのは、お前たちか?」
「はぃいッ!?」
俺は、獅子と狭い空間に閉じ込められてびびってしまって、ハチミツの壺を差し出して目を閉じた。
「どうぞ!つまらないものですが!!」
「いらんわ!そんなもの!」
びしっと猫パンチ、もとい、獅子パンチでそいつは俺の手から壺をはたき落とした。
「えっ?」
びしゃっと壺の中身を、俺は、頭から被ってしまった。
マジか!
うわっ、ベタベタして気持ち悪っ!
俺は、急いで羽織っていた上着を脱いだ。
「うわっ、ベトベトだ!」
俺は、ハチミツでベタベタのシャツが体に張り付いて気持ち悪くて顔をしかめていた。
急いでボタンを外してシャツをはだけた時、何かの気配を感じて、俺は、ふと顔をあげた。
すると、目の前に長い白金髪の薄いブルーの瞳の美しい半裸の男が立っていて、俺のことを覗き込んでいた。
「ほぇっ?」
「それは、生まれつきなのか?」
その美しい男は、俺の胸の赤い乳首を指差した。
俺は、頬が熱くなった。
「ち、ちがっ!これは・・」
「もっとよく見せてくれ」
男は、俺の両手を掴んで俺を地面へと押し倒した。
「なっ!」
俺は、抵抗したが無駄だった。
男は、俺の胸の頂を見つめていたが、やがて、赤い舌を出してそこをペロリと舐めた。
「甘い」
男は、俺のそこへと吸い付いてきた。
舌先でなぶられて、俺は、声を噛み殺した。
「んぅっ!」
「いい匂いだ」
男は、俺の首もとに顔を近づけると俺の匂いをくんくんと嗅いだ。
俺は、くすぐったくって目を閉じて身を捩った。
「あっ・・」
「お前は、いい香りがする」
それ、たぶん、ハチミツの匂いですから!
俺は、心の中で叫んでいた。
「ふん」
男は、ペロリと俺の首もとを舐めた。
「それに、うまい」
うん。
間違いなく、ハチミツです!
「気に入った。お前と契約してやろう」
男は、俺の胸元に顔を近づけるとそこに口づけた。
「甘い香りと味のする美しい胸を持つ男よ、我が契約者となるがいい」
はい?
俺の胸元の奴が口づけた場所が光を放ち、そこに精霊紋が浮かび上がった。
「では、いづれまた会おう。我が契約者よ」
そうして、その男は、姿を消した。
俺は、その場に横たえたままぼんやりとしていた。
何?
契約、できたのか?
「よくやった!レンタロウよ!」
グーリスじいちゃんが駆け寄ってきて俺の手をとった。
「お主が今、契約を交わしたのは、光の精霊王じゃ!」
マジですか?
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