異世界召喚されたら神子の乳父になりました。もれなく国王の妃となる予定らしいです。

トモモト ヨシユキ

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5 お初染めの夜ですか?

5-8 お身変わり

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               5ー8  お身変わり

  あの事件の後、俺は、さすがにしばらく部屋にこもってしまった。
   といっても、2、3日のことだけどな。
   うん。
   ひどい目にあったとはいえ未遂だし。
   俺の恨みは、ルイスがはらしてくれたしな。
   イーサンが言うには、俺に手を出してきたあの連中は、全員、治療院送りになったらしい。
    まあ、俺の殴ったラウルのおっさんが1番大ケガしてたらしいけどな。
    「すまなかったな、レンタロウ」
     事件を知ったグーリスのじいちゃんは、怒り狂って王宮へと乗り込んでいって、これから当分の間、王宮に関わる儀式の類いには、神殿は手を貸すことはない、と言い放った。
    レイテと王の宰相であるイーランディア伯爵は、グーリスじいちゃんの怒りを静めるために学園に蔓延っていた反王制派の信奉者たちを一掃しようとした。
     だけども、結局、蓋を開けるとラウルのおっさんと俺に直接手を出した数人の生徒のみが処分されただけだった。
    俺のことを辱しめたアンジェたち、数人の貴族の子弟たちは、全員廃嫡となり家からも追い出されたのだということを、俺は、イーサンから聞かされた。
     うん。
    いい気味だな。
    俺は、それで満足して溜飲を下げていた。
   それでも、俺は、王立学園に戻ることが躊躇われていた。
    もう、あの特進クラスに戻るのだけは、嫌だ。
    不登校になっている俺に、グーリスじいちゃんは、毎日のように顔を出しては、いろいろな話をしてくれた。
    「今、この国の王族は、力を失っておる。長い太平の世が続き、人々は、王も神子も不要の長物だと思い始めておるのだ。そこにもって、王位継承問題がある。レイテ皇太子は、弱体化した王家の象徴とされ、次の王は、レイテ皇太子の腹違いの兄であるルーシェ様をと推す者たちがおってな。また、それとは別にあのラウルのような反王制派まで暗躍しだしておる」
    「そうなんだ」
     俺は、お茶を飲みながらのんびりとじいちゃんの話に耳を傾けていた。
    じいちゃんは、俺の様子に溜め息をついた。
   「古より、王と神子は、共に国を治める2つの車輪のようなものじゃった。そのバランスが危うくなっておるのだ。そこに加えて神子のお身変わりがあったというわけでな」
   「マジで?」
    俺の我関せずの様子に、グーリスじいちゃんは、溜め息を漏らした。
   「あんなことがあったんだしな。お主が学園が嫌になるのもわからんではない。だが、今の時代だからこそ、お主には、力をつけてもらわねばならんのだ」
    「お身変わりって?」
    俺は、グーリスじぃちゃんの話の矛先を変えようとして訊ねた。
   じぃちゃんは、困ったような表情を一瞬浮かべた。
   
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