人違いです。

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底なし沼にて

68.

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ーー王都ロサーー


 自然豊かなヘイデル王国の王都『フォスフォフィライト』とは違い、『ロサ』の街は、美しく整然と整えられている。長い歴史を経て繁栄してきたロサの街は、堅牢な外壁と強固な防護魔法に覆われ、『不屈の要塞』として名を馳せてきた。
 それも、中から壊されれば、何の意味もないのだが。


 俺は、第1部隊の隊員達と同様、馬車から降りてヴィオラの背に跨り、ロサの巨大な門を通り抜ける。そして、煉瓦造りの一直線の道路の向こう側に見える、巨大な王城を見上げた。
 豪奢で、美しくて、数多の人間がフィオーレ王国のような国に住みたいと憧れるような、そんな栄光の象徴となってきたフィオーレ城が、悠然と座している。
 俺もそうだった。巨大な王城を見て、こんな歴史ある国に生まれてこれた奇跡に感謝し、この国の歴史に華を飾れる様な人間になりたいと思った。


「近衛騎士様万歳!!!フィオーレ王国万歳!!」
「近衛騎士様万歳!!!フィオーレ王国万歳!!」


 豪奢な騎士服を見せつけて歩く(国民に為に、鎧は外すのが慣わしだ)第1部隊の後をついていきながら、ぼんやりと目を伏せる。威張り散らし、ふんぞりかえって闊歩する彼等と同じようには進めなかった。

 歩道や道なりに並ぶ家の窓には、これでもかと言うほど国民達がひしめき合っている。そして、皆一様に国旗を振って「万歳」と叫んで俺の帰還を歓迎してくれるのだ。その声に、更に第1部隊が腰を反って胸を張る。
 しかし、その目には、騎士団俺達への尊敬や感謝などは一切ない。ただただ義務感だけで行う空虚さだけが、鮮明に映っているのだ。

 ただ集まれとお達しが来たから集まり、旗を振って喝采を上げろと言われたから上げる。 
 
 ーーだって、そうしないと殺されるのだから。
 

「……あーあ、しんど」


 誰にも聞こえないような小さい声で、ボソリと呟く。ヴィオラの耳がピクピクッと細かく揺れるのに苦笑して、彼女の美しい首筋を撫でてやった。そして、腕を伸ばす痛みに唇を噛む。
 道中散々嬲られた身体は、既に悲鳴を上げていた。ヴィオラに跨っているだけで太腿や股関節は軋むような痛みを訴えているし、上半身に至っては最早痛いのかすらもわからない。そんな状態で、如何してこの場を楽しめようか。

 一刻も早く、自室に帰ってゆっくりとノアのご飯を食べてーー。


 あぁ、もう、俺の馬鹿野郎。忘れろって。


 ぼんやりと定まらない思考で自分を諌めていたその時。


「きゃあッ」


 俺よりも少し前。丁度第1部隊の人間達が歩いているところで、小さな幼い少女が国旗を取り落としてしまうのが視界に映った。恐らくひしめき合った国民達に押されてしまっったのだろう、少女自身もよろめいて、そのまま倒れ込んでしまう。

 しん、と喝采の声が止まった。

 ざぁ、と目に見えて青褪めた少女が、目の前で馬に乗っている騎士を見上げる。ーーそして、騎士が無表情で彼女を見下ろしているのに気付き、ガタガタと身体を不自然なくらい震わせた。

 恐怖に固まってしまった少女の両親が、これまた真っ青な顔で少女を隠すように平伏し、馬を降りた騎士に何度も何度も謝罪の言葉を叫ぶ。
 「どうかお赦しを」「代わりに私を」と叫ぶ彼等に、第1部隊の男の顔がニヤニヤと悪辣なものに変わっていった。


「おいおいおいおい、この餓鬼、俺達近衛騎士団の行列を妨げようとしたのかぁ?」
「め、滅相もございません!!!どうかお赦し下さいませ!!」


 恐ろしい程の沈黙が一帯を包み込んでいる。その中に、少女の嗚咽を堪える声と、両親の泣き叫ぶような懇願が悲痛に響き渡った。
 しかし、第1部隊の男達は、水を得た魚とばかりに楽しそうに両親を押しのけると、ボロボロと涙を流す少女を大通りに引き摺り出す。母親が絶叫して追い縋るも、騎士の1人に軽く突き飛ばされ、ふらりと地面に伏せた。


「はーい此奴はこの近衛騎士団第1部隊様に反逆の意思を見せたので、極刑にしまーす!!!」
「やだぁぁああ"あ"!!!おか"ぁさん"おとう"さ"ッ、おに"ぃぢゃん助けて"ぇ!!」


 柔らかなクリーム色の髪の毛を掴み上げられ、限界が来たのか泣き叫ぶ少女。そして、それを聞いて更に調子に乗って、ゲラゲラと下卑た嗤いと囃し立てる隊員達の声が、静まり返った往来に響く。
 父親が絶叫して騎士の1人に掴みかかり、直様腹を蹴り飛ばされて人混みに吹き飛ばされた。「貴様も処刑するぞ」と酷薄に囁かれ、呆然と涙を流して固まってしまう。


「ごめ"んなさ"い!!!ごめんな"さぃいいい"!!!」


 泣き喚く少女を助けたいだろうに、助けたら自分が死刑になる。それをわかっている国民達が、痛ましげに、悔しげに唇を噛み締めるのを見渡し、騎士の男は悦に入ったように大仰に見せつけるように剣を抜いた。少女が呆然と抜き身の剣を見つめる。

 今から、自分はこの剣で殺される。
 その事実が避けられないと理解した、圧倒的な諦念が、彼女の目に浮かんだ。


「……あぁ、もう」


 その目は、嫌いだ。
 少女の姿が、見た目年齢も相まって、見せ物小屋の檻の中にいたシャルとシャロンの姿と被る。彼等も赤い眼をドロドロに濁らせ、全てを諦めたように檻の中で2人寄り添うように座っていた。
 

 これは、見過ごしてはいけないもののはずだ。

 ーーそうですよね、教授。  

 ーーね、王様。

 地面に倒れ込んだ母親が、縋るように俺を見上げるのを見ないようにしながら、俺は小さく息を吐く。後のお仕置きは、覚悟の上だ。


「『奪え』」


 小さく囁くようにフィオーレ王国の風に呼び掛けると、久々の俺の魔力を歓迎するかのように、風がさざめいてくれた。そして、一際強く吹いた風が騎士が持っていた剣を吹き飛ばし、俺の元へと運んでくる。目の前にやってきた抜き身の剣の柄を握り、唖然とした顔で俺と空っぽの手を交互に見上げる男を冷たく睥睨した。
 俺に邪魔されたのだと理解した男の顔がみるみるうちに屈辱に真っ赤に染まっていくのを見下ろし、わざと一帯に響くように告げる。

 国民にを持たせないように。
 俺が、決してお前達の味方ではないと理解させるように。


「ただでさえ陛下をお待たせしているのに、更に時間を無駄にするおつもりか?国民1人にかまけている時間はない」
「……貴様、陛下への不敬を野放しにするつもりか」
「陛下を待たせることと、道端で転けること、どちらが不敬に値するかわからないのか?呆れたな。ーー第3部隊隊長の名に於いて、お前達を今ここで不敬罪で処刑してやろうか」


 威圧するように殺気を込め、ギロリと彼等を見下ろす。かりそめのものとはいえ、対外的な身分は俺の方が彼等よりも上だ。つまり、この場で俺に文句を言うことは、俺を隊長に最終的に任命した騎士団長、ーーひいては陛下への不敬になる。
 国民の前で自分達が見下している隊長に諌められる屈辱に、第1部隊の男達の顔が真っ赤に染まっていく。


「ーーーーチィッ」
「うッ"」
「ネーニャ!!!」


 少女の髪を掴み上げていた男が、大きく舌打ちをして彼女の腹を思いっきり蹴り、人混みへ目掛けて彼女を吹き飛ばした。両親が慌てたように傍に駆け寄り、グッタリと国民に抱えられている少女を抱き締めた。
 少女の胸が、小さく上下しているのを一瞥して確認し、俺は男の剣を地面に捨ててさっさとヴィオラを進めさせる。第1部隊の人間の前を通り過ぎると、えげつないほどの殺気が飛んできた。

 ばーーーーか!!!ザマァみろ!!死ね!!

 
「調子に乗るなよ」


 すれ違いざま、低く告げられるその言葉に、鼻で嗤ってやる。……分かってるさ。どうせこの後、ーー。
 彼等に見られないように、小さく唇を噛み締めた。
 

 王様の前では、国民はいつも楽しそうに幸せそうに笑っていた。少年少女は抱き上げてくれ、と仕切りに王様にねだっていた。王様が彼等を抱き上げて撫でてやると、手作りの花束を差出して「王様いつもありがとうございます、大好き」と美しく微笑んでいた。

 ーーそんな国を、目指していたのにな。

 転けただけで死ぬような国に、なっている。










「ーー遅い」


 絢爛豪華な謁見の間。壁面にはキラキラと輝く宝石が幾つも埋め込まれ、常時美しい輝きを放っている。そしてその上座に置かれた、これまた宝石が散りばめられた玉座に鎮座するフィオーレ王ーーリロイ・フィオーレ陛下その人が、冷たく感情のない薄紫の瞳で、傅く俺を見下ろしている。
 陛下の足元には、にこやかな優しい笑みを浮かべて立つイリアス殿下、反対に空恐ろしい程の真顔で立つ第2王子のヴィンセント・フィオーレ殿下が。

 陛下の不機嫌そうな声に、震えそうになる身体を抑え込み、努めて冷静な声を出す。


「陛下をお待たせしてしまったこと、誠に申し訳ございませんでした。伏してお詫び申し上げます」
「随分と時間がかかったね?」


 静かな俺の謝罪に陛下がたじろいだ様にイリアス殿下を見下ろす。すると、殿下はにこりと笑みを深めて俺にゆったりと近付いて来た。「生憎の悪天候でございまして、」と返すと、俺のすぐ傍までやってきた彼は、地面に膝が触れるのも厭わずにしゃがみ込む。
 姿に、見守っていた保守派の貴族が感嘆のため息を吐いた。

 しかし、この方イリアス殿下に、慈悲や寛大さなんて概念が一欠片も存在していないことくらい、俺が一番知っている。
 しゃがみ込んだ殿下が、耳元で「僕の可愛い騎士の邪魔をしたって本当?」と囁くのに、身体が本能的に震えだすのを感じた。殿下が楽しそうに眼を細める。

 すっかり第1王子の傀儡と化している無能の王は、小さく言葉を交わす俺達の様子を、所在なげにおろおろと見つめている。ヴィンセント殿下は苛立たしげに踵を鳴らし、虚空を睨みつけていた。
 暫く俺の顔を見つめていたイリアス殿下は、「……やっぱり、やり直しだな」と小さく呟くと、再び立ち上がって陛下を見上げた。


 「父上。第3部隊隊長は、少しおかしくなってしまっているようなのです。先程、陛下への不敬を行った国民を、罰することなく見逃したと騎士から聞かされました」
「なんだと!?それは儂を馬鹿にしているのか!?即刻其奴を処刑にーー」
「いいえ、陛下。第3部隊隊長は、今まで陛下に類い稀なる忠誠を誓い、陛下のご意向を忠実に叶えてきた忠臣です。
 きっと、悍ましいヘイデル王に辱められ、洗脳されたに違いありません」


 ーー思ってもいないことを、白々しい。
 俺の忠誠を、こうやって敢えて刺激して、辱めるのだ。俯いたまま歯を食いしばって、屈辱に耐える。貴族の豚どもが、馬鹿にしたように嘲笑するのを、心を塞いで聞かぬふりをする。

 しかし、その言葉も陛下にとっては何より頼りになる息子の信頼できる言葉なのだ。
 憤慨したと思いきや、すぐにたじろいで「そ、そうか」と満更でもないように座り直す陛下に、殿下はにこやかな笑みを深めた。


「だからこそーー。ね」


 ヴィンセント殿下が、嫌そうに顔を顰め、鼻を鳴らした。そんな彼にイリアス殿下は威圧的に微笑みかけ、言葉を続ける。

 俺の背後には、いつの間にか第1部隊隊長が控えていた。俺は彼に腕を掴まれ、無理矢理立ち上がらせられる。痛めつけられた身体が軋む感覚に、微かな呻き声をあげてしまった。またもや、貴族たちが嗤う。


「陛下。どうか僕にお任せいただけませんか?僕が、彼をもう1度、ただ陛下の命を遂行する忠臣に、創り直して見せましょう」


 








ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

リロイ・フィオーレ(55)
 フィオーレ王国国王。プライドだけ無駄に高い無能の王。自分が大国の王になった事実に有頂天になり、息子の操り人形になって好き勝手した結果、狂気の王として名を馳せる様になった。貴族やイリアスに良いように使われていることには気付いていない。レーネのことは、役に立つ道具の1つくらいにしか思っていない。名も覚えていない。


ヴィンセント・フィオーレ(20)
 フィオーレ王国第2王子。王子の中で唯一側室の息子で、イリアスとロバルとは異母兄弟。兄と弟とはとにかく仲が悪い。『革新派』に次期国王として推されている。イリアスには何度も何度も刺客を送られているが、しぶとく生き残ってきた。副団長と連携して、レーネを第3部隊隊長にした張本人。
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