黒ウサギ世界を廻る異世界奇譚 ~食いしん坊ウサギと世話焼き狼の絆は深い~

鴻霧

文字の大きさ
15 / 67
学生死神編

14話 超大型水棲魔物

しおりを挟む
「はは ようやく気付いたか!」
水棲生物のハサミが攻撃してくるがディーは下半身のヒレを自在に動かし避ける
それでもハサミは追跡を止めずに追いかけてくる

レゼも影鎌で胴体を切断しようしたが水棲生物の足が素早い勢いで攻撃してくる 水中の動きではあちらに分があるようだ
レゼは瞬間移動で避けていく
水棲生物の動きに合わせるためやむを得ない
別に攻撃を受けても大丈夫だろうがディーが心配するのでできるだけ避けることにする
コピーした能力は同時使用できないので影で攻撃するしかない
学校で影鎌の訓練をしておいて良かったと思う

水棲生物は避け続けるレゼ達にしびれを切らしハサミからビームを発射してきた 海底にビームが当たり砂が舞う
「再生する足を狙っても限が無いっす 調べたところハサミが付いた足の付け根辺りに核があるのでそこを破壊するっす」

「了解」
核に向かってヒレで泳いでいく
足が進行を邪魔してこようとするがレゼが影鎌で阻止する
再生する速度より早く切断して核までの道をこじ開ける

ディーが素早く泳ぎ核の目前まで行きジャッカルを放つが皮膚が厚く銃弾は弾かれてしまった
「ちっ! 一発じゃ無理か」
言うのと同時にジャッカルを連発する

銃弾が皮膚の半分までめり込むが水棲生物が全身から音波を放つ、その衝撃でディーの体は吹っ飛ぶ

「ディー!」
ディーの銃弾めがけて影槍を投げた後、直ぐに瞬間移動してディーをキャッチする
「大丈夫?」

「あぁ」
ディーの変身が解ける

「あいつは」
見ると水棲生物の体はゲル状からつやのある白に変わり大きさも三分の一程度になっていた
影槍で核を砕くことに成功したみたいだ
「成功したみたいっすね」

水棲生物は気絶しているみたいだ、レゼ達が与えた傷はきれいさっぱりなくなっている
荒魂が消えて本来の姿に戻ったのだろう
水棲生物の頭上には世界の欠片が浮かんでいる
影鎌を消し死神の鎌を出現させる
欠片を回収すればこの世界からサヨナラをしないといけない・・・そう思うと死神の鎌を振るう手が止まる

「レゼ 直した俺たちの世界でトモダチを作るんだろ
ならとっとと直さねぇとな」

「そう・・・だね」
ディーに励まされ止まっていた手を動かす
パリンッ! 水中なのに割れた音がする

「回収完了っす 今回は世界の崩壊がそこまで進んでないので直ぐに転移可能っす どうするっすか?」

アクアエリアスの方を振り返る 遠すぎてみんなの姿は見えない
「直ぐで大丈夫」

「了解っす カチャカチャ・・・これで正しいシナリオ通りに進んで行くっす」

記憶エネルギーが集まってできた光の竜巻はレゼ達を飲み込み消えていった


目を開けると豪華な装飾が施されたさながら王宮の応接間の様な部屋にいた
淡い黄色のテーブルにふかふかの淡いピンク色をしたソファーがありディーと二人で座っている 向かいにも同じソファーがある
視線を淡い黄色のテーブルに戻すとアフタヌーンティーのセットが置かれていた

「さっきまで何もなかったよな?」

「美味しそう」

ドアがノックされ一人の少女が入ってくる
「お待たせして済まないっす 事後処理が遅れてまして・・・おや?どうしたっすか?」

聞きなれた口調でしゃべる人物は金髪ツインテールの美少女だった

「おまえ もしかしてリーデルか?」
ディーはツインテールを指に絡ませたり撫でたりしている
「そうっすよ 直接会うのは初めてだったっすね」

「予想外」

「あはは よく言われるっす・・・」
リーデルはテーブルに現れたティーセットで紅茶を淹れ二人に差し出す

「リーデルって天使だったの?」
あまりにも綺麗だったので聞いてみる

「何を言ってるっすか ここは神の世界『ヘルヘブンズ』っすよ神以外がいるわけないっす」

「じゃあリーデルも神様なの?」

「そりゃあそうっす自分は導きの神っす」
胸を張って答える

「まぁ 神の中でも下っ端っすけど・・・いつか自分も上位の神様になって豪邸に住みたいっすね」
そのことを想像しているのか顔がにやけている

「神にも色々あるんだな」

「あのぉ・・・ディーさんそろそろ止めてくださいっす」
ずっとツインテールの触り心地を確かめていた

「あぁ」
ソファーに座ると膝にレゼを座らせ髪を撫でる
ディーって髪触るの好きだよな

「ひどい目にあったっす」
ぼさぼさになった髪を直す

「やっぱりレゼが一番だな」
ご満悦である

「それで本題ですが、次の世界は魔族が支配している世界っす 長年悪魔族と天魔族が戦争してるっす
その天魔のリーダー格にあたる冥王が荒魂に取り込まれたっす
今回は荒魂以外を殺しても大丈夫なのでレゼさん達は悪魔族のリーダー格にあたる魔王と共闘して荒魂を倒してほしいっす
転移先を魔王城にしたのでそこで合流してくださいっす
魔王はマキナなのでこっちから話は通しておくのでよろしくお願いするっす・・・それではいってらっしゃいっす」

幻魔石が光だす
「待ってまだこのお菓子食べてない」
ソファーから立ち上がり急いで口に詰め込む

要件だけ伝えてリーデルは優雅に紅茶を飲みながら手を振っている
やっぱりこっちの都合はお構いなしらしい

転移すると遥か上空だった
レゼ達は自然落下している

「もご!も···もごご?」

「うわっ どこだここ」

「あ~···申し訳ないっす
レゼさんが転移の直前に動いたのが原因でちょーと いやすこーし場所がずれてしまったみたいっす」

「あ"ぁ!少しどころじゃねーと思うが」

「本当申し訳ないっす」

「ゴク···ン どうすればいい?」

「魔王城っす そろそろ見えてくると思うっす」
下に目を向けると赤紫の光を帯びた大きな古城が見える
このままだと古城に突っ込んでしまうが・・・

古城を壊さないように影で落下の衝撃を減らそうとした時
天空から強い光が差し込む、特大のレーザーのような光が大気を震わせレゼ達に向かって伸びる
レーザーのような光はレゼにぶつかり、何処かへ飛んでいった
レゼは衝撃で吹っ飛ばされ古城に大穴を空けることになってしまった

「レゼ!!!!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

不遇スキル『動物親和EX』で手に入れたのは、最強もふもふ聖霊獣とのほっこり異世界スローライフでした

☆ほしい
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が異世界エルドラで授かったのは『動物親和EX』という一見地味なスキルだった。 日銭を稼ぐので精一杯の不遇な日々を送っていたある日、森で傷ついた謎の白い生き物「フェン」と出会う。 フェンは言葉を話し、実は強力な力を持つ聖霊獣だったのだ! フェンの驚異的な素材発見能力や戦闘補助のおかげで、俺の生活は一変。 美味しいものを食べ、新しい家に住み、絆を深めていく二人。 しかし、フェンの力を悪用しようとする者たちも現れる。フェンを守り、より深い絆を結ぶため、二人は聖霊獣との正式な『契約の儀式』を行うことができるという「守り人の一族」を探す旅に出る。 最強もふもふとの心温まる異世界冒険譚、ここに開幕!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜

O.T.I
ファンタジー
レティシア=モーリスは転生者である。 しかし、前世の鉄道オタク(乗り鉄)の記憶を持っているのに、この世界には鉄道が無いと絶望していた。 …無いんだったら私が作る! そう決意する彼女は如何にして異世界に鉄道を普及させるのか、その半生を綴る。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

処理中です...