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二章:旅立ちの夏
23.待ち人来る
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初夏が終わり、他の牧場に行っていた牝馬達も戻ってきて夏も本番。
この辺りは高地で盆地の平原だから、結構過ごしやすい。だから夏バテというものには、人も馬も縁がないのだけど……王都はここより南にあって、低地だから暑いとシルヴァン様が言っていた。シルヴァン様に着いていくとしたらそこがちょっと不安だったりする。
そんな事を考えながら、放牧場で遊んでいる子馬達を見る。
ある程度育った子達は母馬と一緒に放牧場するのだけど、最初の頃は母馬に着いていても、慣れてくると子馬達で遊び出す。
それでも母親が好きな子は、側にいるし、群れでいるのが好きじゃない子は一人で過ごしてたりするんだけど……。
「君は、いつも僕のところに来るね」
そう言って、僕の側に寄って来たクロネの524の頭を柵越しに撫でる。
どうにもマイペースなこの子は、初めて放牧した時も、まるで普段過ごしている馬房で過ごすかのように我が物顔で放牧場を歩いていた。
大物になるとは、思っているけど……まさか当歳馬でここまでの風格だす?って思ってしまう。
「懐いてくれるのは嬉しいんだけどね」
「その子が今年のお気に入りか?」
「っ!?」
クロネの524の頭を撫でていたら、後ろから声がかかってきて体が跳ねる。だけど、その声の主が誰だかすぐに気づいて僕は振り返った。
「シルヴァン様!」
「久しぶりだな。ジャン」
「はい!お久しぶりです!」
柔らかく微笑むシルヴァン様に僕も笑みを返す。
冬に会ったきりだが、相変わらず綺麗な人で、真夏の太陽に輝く銀髪が眩しかった。
「それで、その子は?」
「今年生まれたクロネの524です。まだ、小さいですけど…… 物怖じしなくて、賢い子ですよ!」
僕の後ろにいたクロネの524がシルヴァン様に見えるように体をずらす。
「ふむ……確かに、賢そうな顔をしているな」
僕の隣に来たシルヴァン様がクロネの524を見下ろしながら頷く。
「ですよね!シルヴァン様なら解ってくれると思ってました!」
それが嬉しくて、思わず声を大きくしてしまったのだけど……シルヴァン様は笑うだけで許してくれた。
「どうやら、相当入れ込んでいるらしい」
「す、すみません……。でも、僕……この子がすごい競走馬になるんじゃないかって思ってるんです!」
「ほう……なぜだ?」
僕の言葉にシルヴァン様は面白そうに首を傾げる。
「えっと……まず、すごく賢い子ですし……落ち着いているんです。まだ幼いし、体もどちらかと言えば小柄ですけど……大きい子に負けないくらい負けん気も強いです。体も柔らかくて、ヴァロワラファールの当歳時の頃を思い出すくらいです」
「なるほど、確かに有望そうだ」
僕の説明に笑みを浮かべたシルヴァン様がクロネの524へと手を伸ばす。
「――ッ!」
だけど、その手が触れる前に、クロネの524は耳を絞り、嘶いた。
「っと……どうやら、その子のお眼鏡には叶わなかったようだ」
「す、すみません!普段は、悪戯好きなくらいで威嚇なんてしないんですけど……!」
「なに、見知らぬ人間を警戒するのは賢い証拠だ。私が急ぎすぎただけだ」
慌てる僕にシルヴァン様は笑って僕の肩を叩く。
「それより、他の子馬の話もきかせてもらえるか?」
「っ!はい!」
僕と視線を合わせ、チラリと放牧場の子馬達を見たシルヴァン様に僕は笑みを浮かべて頷いた。
この辺りは高地で盆地の平原だから、結構過ごしやすい。だから夏バテというものには、人も馬も縁がないのだけど……王都はここより南にあって、低地だから暑いとシルヴァン様が言っていた。シルヴァン様に着いていくとしたらそこがちょっと不安だったりする。
そんな事を考えながら、放牧場で遊んでいる子馬達を見る。
ある程度育った子達は母馬と一緒に放牧場するのだけど、最初の頃は母馬に着いていても、慣れてくると子馬達で遊び出す。
それでも母親が好きな子は、側にいるし、群れでいるのが好きじゃない子は一人で過ごしてたりするんだけど……。
「君は、いつも僕のところに来るね」
そう言って、僕の側に寄って来たクロネの524の頭を柵越しに撫でる。
どうにもマイペースなこの子は、初めて放牧した時も、まるで普段過ごしている馬房で過ごすかのように我が物顔で放牧場を歩いていた。
大物になるとは、思っているけど……まさか当歳馬でここまでの風格だす?って思ってしまう。
「懐いてくれるのは嬉しいんだけどね」
「その子が今年のお気に入りか?」
「っ!?」
クロネの524の頭を撫でていたら、後ろから声がかかってきて体が跳ねる。だけど、その声の主が誰だかすぐに気づいて僕は振り返った。
「シルヴァン様!」
「久しぶりだな。ジャン」
「はい!お久しぶりです!」
柔らかく微笑むシルヴァン様に僕も笑みを返す。
冬に会ったきりだが、相変わらず綺麗な人で、真夏の太陽に輝く銀髪が眩しかった。
「それで、その子は?」
「今年生まれたクロネの524です。まだ、小さいですけど…… 物怖じしなくて、賢い子ですよ!」
僕の後ろにいたクロネの524がシルヴァン様に見えるように体をずらす。
「ふむ……確かに、賢そうな顔をしているな」
僕の隣に来たシルヴァン様がクロネの524を見下ろしながら頷く。
「ですよね!シルヴァン様なら解ってくれると思ってました!」
それが嬉しくて、思わず声を大きくしてしまったのだけど……シルヴァン様は笑うだけで許してくれた。
「どうやら、相当入れ込んでいるらしい」
「す、すみません……。でも、僕……この子がすごい競走馬になるんじゃないかって思ってるんです!」
「ほう……なぜだ?」
僕の言葉にシルヴァン様は面白そうに首を傾げる。
「えっと……まず、すごく賢い子ですし……落ち着いているんです。まだ幼いし、体もどちらかと言えば小柄ですけど……大きい子に負けないくらい負けん気も強いです。体も柔らかくて、ヴァロワラファールの当歳時の頃を思い出すくらいです」
「なるほど、確かに有望そうだ」
僕の説明に笑みを浮かべたシルヴァン様がクロネの524へと手を伸ばす。
「――ッ!」
だけど、その手が触れる前に、クロネの524は耳を絞り、嘶いた。
「っと……どうやら、その子のお眼鏡には叶わなかったようだ」
「す、すみません!普段は、悪戯好きなくらいで威嚇なんてしないんですけど……!」
「なに、見知らぬ人間を警戒するのは賢い証拠だ。私が急ぎすぎただけだ」
慌てる僕にシルヴァン様は笑って僕の肩を叩く。
「それより、他の子馬の話もきかせてもらえるか?」
「っ!はい!」
僕と視線を合わせ、チラリと放牧場の子馬達を見たシルヴァン様に僕は笑みを浮かべて頷いた。
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