ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

文字の大きさ
25 / 154

25.親族が減らずに



「凛!大丈夫だったか?なぜ泣いている?痛かったのか?何か嫌なことをされたのか?」


 椅子からソファーに移動して座っていたオレのところに飛んできて、横に座るのと同時に、ぎゅうって抱きしめてくれた。


「なんともなかったよ、全然痛くもなかった。さえたんすごく優しい。少し京利との話をしたから、うるうるしちゃっただけ」


「京利?くん、僕が乱暴なことするわけないでしょ。最大限に優しくしたよ、ねっ?リンリン」


 オレは、うんうんと首を縦にふった。


「そうか、よかった、親族が大幅に減ることにならずに本当によかった」


 うん?また人口の話?


「リンリン、次はちょっと、血液を頂くね。今まで針や血なんかで気分悪くなったことある?アルコールで荒れるとか」


「ありません、大丈夫です。京利、手を握っててね」


「ああ、もちろん。手を握るのは得意なんだ」


 さえたん、すごい顔してる。笑いを堪えてる顔だ。角度的に、オレにしか見えていないだろうけど、肩が震えてますよ。
 ニヤニヤ顔で、はいっチクっとするよーなんて言いながら針を刺したみたいだけど、本当に痛くない。さえたんすごいな。
 京利は、オレの頭を胸に抱えこんで、採血するところを見せないようにしている。別に血を見るの怖いとか言ってないんだけどな。


「ねえ京利、どうしてさえたんには、オレとの距離が近すぎる!みたいなこと言わないの?」


「それはな、冴さんの番さんがしっかりとマーキングしているからだ。ちょっとやそっとじゃ、揺るがないマーキングなんだ、並大抵のアルファじゃ歯がたたない。冴さんに触れることはおろか、近くに寄ることも出来ないだろうな」


「へえ、さえたんの番さんすごいんだね。もしかして今も、すごいわかる感じ?」


「そうだな。特級アルファの威嚇いかくフェロモンをずっと感じるな。普通のアルファ性、ベータ性は、まずこの部屋に入れないだろう。オメガ性に向けての威嚇ではないけど、やっぱりオメガ性も萎縮いしゅくしてしまうだろうな。この部屋の前の廊下を歩くのもキツいかもしれない」


「えっ!オレはもともと感じないからだけど、それじゃあ、京利はすごいアルファなんだ!さっすがオレの京利だ!かっこいい」


 顔をあげてにこにこ。
 あちゃ、京利の顔がゆるゆるになってしまった。
 一生懸命、顔を戻そうとしてる。


「よし、おしまい。この血を検査に回してくるね、すぐに戻るからね。はい、ここを京利?くん、押さえててあげて」


 針を抜いたところを京利がしっかり押さえてくれた。ありがとう京利。オレじゃなくて、京利の方が痛ましい表情をしてる。


「ああ、凛。いい子だ。頑張ったな。えらいぞ」


「うん」


 京利の胸に顔をすりすりした。いっぱい甘えちゃおう。ふふ、いい匂い出してくれてる。優しく包みこんでくれるやつ。ああ、安心する。好き

 トントン。ノックの音だ。さえたん戻ってきたみたい。わぁ、ジュース!グラスにきれいなピンク色のジュース!


「グレープフルーツジュースだよ。飲める?」


「はい。飲めます!」


「これはね、グレープフルーツには鉄分の吸収を高める効果があるから、鉄分をプラスしたさえたんのスペシャルジュースだよ。さあ、おあがり。それから、リンリンのお話聴かせてもらっちゃお」


 特製ジュースうまかった!その時点でもう緊張感なんてなくなってたから、京利にも話したオレのことをさえたんにお話した。まるでカフェでお茶してるみたいな感覚で、聴いてくれた。

 ピン

「おっ血液検査と尿の検査の結果がでたよ。どれどれ...」


 ノートパソコンを画面を真剣に見つめるさえたん。
 ドキドキする。京利が手を握ってくれている。尿はさっき採ったばかり。仕事が速いな。


「なるほど…」




感想 0

あなたにおすすめの小説

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

言葉が通じない暴君皇帝の運命の番として召喚されました〜炎を鎮めたら冷徹な彼が甘々になりました〜

水凪しおん
BL
帰宅途中の夜道、突然の光に包まれた青年・アオイが目を覚ますと、そこは見知らぬ異世界の宮廷だった。 言葉も通じず、隔離された離宮に閉じ込められた彼が出会ったのは、ソラリア帝国を統べる皇帝・レオニダス。 強大な竜の血を引き、その力に肉体を焼き尽くされそうになりながら孤独に耐える冷徹なアルファ。 だが、特別な魔法を持たないはずのアオイには、彼の荒れ狂う魔力を静かに鎮める「不思議な波長」が備わっていた。 「触れるな」 お互いを傷つけることを恐れ、遠ざけようとする不器用な皇帝。 だが、アオイは苦しむ彼を見捨てられず、自ら灼熱の炎の中へと飛び込んでいく。 言葉の壁を越え、魂の波長が重なり合った時、冷徹な皇帝の態度は一変。 誰よりも優しく、独占欲に満ちた重すぎる溺愛が始まって――。 孤独な竜と、彼を癒やすただ一人のオメガ。 二人が真の「運命の番」となるまでの、切なくも温かい異世界救済ボーイズラブ。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)

子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ 喰われるなんて聞いてないんだが(?) 俺はただ、 いちご狩りに誘われただけだが。 なのに── 誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に なぜか俺が捕まって食われる展開に? ちょっと待てい。 意味がわからないんだが! いちご狩りから始まる ケンカップルいちゃらぶBL ※大人描写のある話はタイトルに『※』あり

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。