ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

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26.さあ帰ろう今すぐ帰ろう




「リンリン、今ね、今日の検査の結果を見てて、おそらくこうじゃないかな?って考えたことがあるんだけど、僕は番になる京利くんと一緒に聞いた方がいいと考えているけど、どうする?一緒に聞くかい?」


 ちらっと京利を見ると、大きく頷いた。


「もちろんです。オレ京利と一緒に聞きます。さえたん、オレの身体のことで考えてくれたこと、ぜひ聞かせてください」


「わかった。じゃあ、話して行くね。始めに内診をしたんだけど、リンリンの子宮は、形も機能も健康体で異常はなかった。ただ少し小さいかなという程度だよ。幼少期の栄養不足も確かにあるんだろうけど、もともと子宮は女性や女性のオメガ性と比べて、当然にオメガ性の男性の子宮が、一番小さいと研究結果がある。そしてもちろん個人差がある。僕の子宮は大きいけど、柔軟ではなかったから、子供を身籠みごもったときは、ちょっとした不安要素になった。赤ちゃんがあんまり大きくならないかもしれない。ということだね。結果、うちの息子達は小さく産まれたけど、二人ともでかいアルファ性に育ったし、僕は家族の中で、いつもちっちゃい子扱いだよ、それでも僕、なかなか上手くやれたなってことで絶賛自分スゲーだよ。それでね、リンリンの子宮はとてもやわらかいと感じた。これはとても良いことだよ。子宮口もしっかり閉じていた。腸壁にもキズとかポリープとか障害が一切ないから、僕は太鼓判たいこばんを押すよ。もし、子供を望むなら、障害になりうるものはない。安心してね」


 京利は、しっかりと手を握ってくれている。これなら迷子になることもない。オレにも赤ちゃんが来てくれるかもしれない。良かった。


「そして、血液検査と尿検査の結果では、懸念けねんされていた通り、微弱なフェロモンが漏れている。この原因は、断言できる。『運命に出逢った』からだ。ごくまれに、発情期がこないオメガ性もいる。これは大概の場合、幼少期の心のキズや、トラウマが関連してくるんだよ。でもリンリンは、明らかに『運命』に身体が反応しているんだ。今まで眠っていた性が目覚めたんだよ。微弱なフェロモンが出続けているのはね。『運命の番』のためなんだ。リンリンの身体も、気持ちも、深層心理も、性を初めて意識したばかりの思春期だから、フェロモンの出し方すらわからないのに、頑張っているんだよ。一生懸命にね、現れた『運命』に健気に求愛しているからなんだ。

 ここからは想像なんだけど、例えば京利くんと遠くに離れるとしたら、この放出は終わると思う。アピールする必要がなくなるからね」


 えっ……………そんな、

 絶望していると、すぐに話の続きがはじまった。


「そして、もうひとつ。
 僕から提案したい方法がある。発情誘発剤をリンリンに飲んでもらって、強制的に発情を起こして、二人が早々に番ってしまう方法だ。番が成立すれば、フェロモンは適切に発情期だけに出るものとなるはずだよ。
 僕の考えでは、95%以上の確率で成功すると踏んでいる」


「その薬は、安全なのか?」


 今まで、静かにしていた京利が口を開いた。


「発情誘発剤は、もともとは大事な予定が発情期とかぶらないように計画的に発情期を先に起こすために開発されたんだ。安全性については充分議論されてきた」


「京利、オレは早く番になりたい。離れるなんて出来ない」


「凛、俺も同じ気持ちだ。冴さん、薬をください。お願いします」


「わかった、念のため家に戻ってから飲んでね。だいたい早くて3時間、遅くて10時間程で効果が出てくると思う。何かあったらいつでも連絡してね」


「さえたん、ありがとう」


「番ったあと診察きてね」


「凛、さあ帰ろう今すぐ帰ろう」




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