ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

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34.次のが入らない

 

 意識が浮上する。ふわふわ、ふよふよ、大好きな京利の匂いがする。ふふふ、幸せ。
 うんうん、京利はちゃんと中にいるし、優しく抱っこしてくれている。背中に優しい水量で、お湯をかけてくれているんだな。……あっ、なるほど、


「お風呂だ、気持ちいい…」


「気がついたか、凛。よく頑張ったな。気分はどうだ?」


「すごく気持ちいいよ…。京利ありがとう」


 最高の気分だけど、身体は……うん、動かせないな。声は完全に掠れてしまっている。ここは洗い場の椅子に座っているっぽい。京利の胸にべったりくっついてるから、その熱と匂いにうっとりしてしまう。また寝てしまうかもしれない。でもこれだけはききたい。


「ねえ京利、番にな、れた?オレ、ちゃんとできた?」


 不安がよぎる。オレの体質のせいで、失敗していたらどうしよう。


「凛はちゃんと噛ませてくれた。子宮だって俺に従順になったぞ、ふふ。最高に可愛いくて強くて美しい、この宇宙で、唯一無二の俺だけの『運命の番』だ」


 ちゅって、オレの額にキスをして、大丈夫、俺たちは成功した。って教えてくれた。よかった…よかった、うれしい。目頭が熱くなって涙がこぼれた。


「なぜ泣く?うれしいのか?凛、項を見てみるか?」


 京利は一旦俺を抱き上げて、鏡の前に移動し、棚から手鏡を取り出してオレの顔付近に持ってきてくれた。背中側の鏡と合わせ鏡にして、見られるか?と聞いてくれる。手に気合いで力を入れて、手鏡を持つ。恐る恐る手鏡を動かして背中から項の方に上に向けていく。


「わあぁっっっ!!!すごいっ!京利の歯形!綺麗!ケホッケホッ」


 すんごい大きな声が出たけどむせてしまった。嬉しい!京利がすぐに水を飲ませてくれる。本当にちゃんと京利の歯形がついている。嬉しい。歯形がくっきり残っているってことは、番が成立したってことだ。嬉しい!
 オレがそっと項に手を持っていくと、鏡の中のオレも項に手をあてている。なんて嬉しそうな顔をするんだよ。恥ずかしいじゃん。そっと上を向いて京利を見ると、うん?って喜色きしょくにじんだ蜂蜜色の瞳で優しく聞いてくれる。あぁ、好きだなぁ。


「京利、歯形も場所も完璧だね!くっきりはっきりついてるし、向きも最高。メイとさえたんに自慢しよう!」


 きゃっきゃっと、はしゃぐオレに京利は自慢気に一度ニヤっとしたが、さあ、身体が冷える、風呂場に戻ろう。と言って、オレをしっかり抱き直して、ジャグジーの方に進んだ。ゆっくりと浸かり、京利はへばりついているオレの項の歯形に触れた。ぞくぞくして首をすくめる。 


「嬉しいな、凛」


「うん!嬉しすぎるよ。これで京利はオレのものだね」


 ぐりぐりぐりって京利の胸に甘える。京利は、オレの頭を撫でながら、そうだ、もちろん凛も俺のものだ。って笑ってくれた。そうして、優しい時間を過ごしていたのに、急に京利が体勢を変えて自身を抜こうとした。


「えっなんで?なんで、やだ京利やだ、ここにいて」


「それがな凛、一度抜いて中に放ち続けたものを出さないと、もう次のが入らない。横からもれてきてる。許してくれるか?」


 ええぇ!無意識にお腹に手をあてて気づいた。確かに、膨れてるぅうううう!恥ずかしすぎるわぁオレ。

 オメガ性は、発情期の間、番の性器と番の精子に激しく執着する。(オレみたいに中に居座って欲しいという困った奴はあんまりいないかも)そして、中に出された番の精子が抜けていくのを大層嫌がるという。オレの場合『運命の番』だから余計にその傾向が強い。(と思いたい)

 京利はそんなオメガ性の心情をおもんぱかり、気を回してくれている。

 なんて…なんて、カッコいいんだ。
 また惚れた。




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