36 / 154
36.『永遠とは、夢の中で試される』
「うわぁっほんとだね!綺麗についてるね」
ふふふ。オレはにっこりにこにこ顔で、さえたんを振り返った。今日はさえたんのところに診察にきている。もちろん京利と一緒に。
「リンリン、すごく嬉しそう!かわいいな。僕の子にならない?いやいやそんな目で見ないで、冗談じゃん。ねぇリンリン。番の人怖いね。大丈夫?辛くない?何かあったらすぐに僕に連絡するんだよ。必ず助けるからね。いつでも力になるから。わかってるわかってるよ。そんな怖い顔しないでよ。リンリン、成功してよかったね、うんうん、成功したと言っていいと思う。後はこれからの様子を注意深く見ていこうね。だから今後、面倒だけど、僕の所に定期的にきてくれる?経過をちゃんと観察するからね。うん、今のところは、ちゃんとフェロモンも治まっているし、ただのめちゃくちゃかわいいオメガ性の男の子だよ。リンリン、良く頑張ったね、君はすごいよ。本当に意思が強くて、素直で、かわいい。こんな素晴らしい子が、京利くんのお嫁さんになってくれるなんて、これ以上ハッピーなことないよ。よしよし。あぁ泣かないで。もうなんてかわいいんだよ。おいで、リンリン。ええぇ、ハグ禁止?はあ?なんだよそれ。ちょっとよしよししてるだけじゃん。こないだいいっていってたよね?ちょっとぐらいいいだろう?うわぁっケチ!ケチケチ京利くんだ!ぶーぶー」
やっぱりさえたんは、良くしゃべるし、面白いし、かわいい。ふふふ、笑っちゃう。しばらくさえたんと京利がわちゃわちゃしているのを眺めていた。
きっと、今日も番さんにたくさんマーキングされてるんだろうなぁ。
「あのっ。さえたんは、番さんのこと好き?」
オレが、言葉を発したから、二人とも黙って顔を見合わせた。さえたんが、オレの方に優しく微笑みかける。
「もちろんだよ、リンリン。大好きだよ。こんなに毎日毎日毎日さ、強くマーキングされるわ、嫉妬深いわ、居場所はいつも確認されるわ、そりゃあうざいよ、マジでうざい。でも好き、大好き。出逢ってからたくさん大事なものが増えたけど、やっぱり一番好き、あの人がいれば、世界が成り立つ。………リンリンもそうでしょ?」
「はい」
オレは深く頷いた。
京利から、喜びで、はしゃぎまわるようなフェロモンを感じる。顔を見た。ぷっ。真面目な顔してる。かわいいな京利。
さえたんはとても優しく笑っている。
「それにしても、僕の番に並ぶ程、嫉妬深いアルファ性が親族に居たなんてね、驚いちゃった」
「えっそれって京利のこと?」
「もっちろん!こんなくっきりはっきり真っ直ぐ歯形つけるやついないよ。余程の執着心、他者への牽制、威嚇その他もろもろ。それにマーキングもきつい。愛されてるねぇリンリン」
「さえたんは感じるの?そんなにわかる?嬉しい」
オレは、心がほくほくして嬉しくて気持ちかわぽやぽやした。さえたんは、ゆるゆる顔で呆れていた。
「京利くん、おまえ良くやったよ!初めて心から褒めてやるよ。よくぞ、リンリンを捕まえた。これはすごい功績だよ。こんな、かわいい信じられないくらいかわいい子を。あの京利くんがねぇ。早く京さんと、理桜さんに会わせてあげて」
「あぁ、わかってる。冴さん本当に感謝してます。これからも引き続き、凛のことをよろしくお願いします」
京利は頭を下げた。
オレも慌てて横にならんだ頭を下げた。
「君たちの気持ちは痛いほどわかった。リンリンのこと、任せて。だから頭をあげて。二人とも大好きだよ。
『永遠とは、夢の中で試される』ってね」
最後は、あまり聴こえないぐらいの声だったけど、心に残る言葉だった。
その後は、前回と同じ検査をした。
京利には、もちろん中に居てもらった。
あなたにおすすめの小説
俺は夜、社長の猫になる
衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。
ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。
言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。
タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。
けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。
言葉が通じない暴君皇帝の運命の番として召喚されました〜炎を鎮めたら冷徹な彼が甘々になりました〜
水凪しおん
BL
帰宅途中の夜道、突然の光に包まれた青年・アオイが目を覚ますと、そこは見知らぬ異世界の宮廷だった。
言葉も通じず、隔離された離宮に閉じ込められた彼が出会ったのは、ソラリア帝国を統べる皇帝・レオニダス。
強大な竜の血を引き、その力に肉体を焼き尽くされそうになりながら孤独に耐える冷徹なアルファ。
だが、特別な魔法を持たないはずのアオイには、彼の荒れ狂う魔力を静かに鎮める「不思議な波長」が備わっていた。
「触れるな」
お互いを傷つけることを恐れ、遠ざけようとする不器用な皇帝。
だが、アオイは苦しむ彼を見捨てられず、自ら灼熱の炎の中へと飛び込んでいく。
言葉の壁を越え、魂の波長が重なり合った時、冷徹な皇帝の態度は一変。
誰よりも優しく、独占欲に満ちた重すぎる溺愛が始まって――。
孤独な竜と、彼を癒やすただ一人のオメガ。
二人が真の「運命の番」となるまでの、切なくも温かい異世界救済ボーイズラブ。
大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)
子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ
喰われるなんて聞いてないんだが(?)
俺はただ、
いちご狩りに誘われただけだが。
なのに──
誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に
なぜか俺が捕まって食われる展開に?
ちょっと待てい。
意味がわからないんだが!
いちご狩りから始まる
ケンカップルいちゃらぶBL
※大人描写のある話はタイトルに『※』あり
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。