ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

文字の大きさ
37 / 154

37.大嫌いだった



「京利、こっちきて」


 お股おっぴろげ椅子に座って、さえたんに、カーテンでお腹のところで仕切ってもらったから、下半身はカーテンのこちら側からは見えない。
 京利は、なんてエロい椅子だ、って思っていそうな顔で、オレの手を握りながらも、チラチラカーテンを見ていたから、カーテンの向こう側を想像しているのかな。挙動不審きょどうふしんすぎて笑う。


「リンリン、ちょっとお尻気持ち悪いけどごめんね」


 前回と同じで、とても丁寧に声かけしてくれて、手際が良くて優しい。今は、エコーの検査をしてくれている。
 あれっなんか前回より長いかも?なんか異常あり?
 京利は、オレの頭を空いてる手で撫でながら、やっぱりソワソワしていた。


「よし。終わったよ、椅子戻すね。次は、前回と同じ血液の検査と尿の検査しようね」


「はい、わかりました」


 返事をして、衣服を整えて、ソファに戻ると京利が優しい顔で抱きしめてくれた。そのまま痛くない血液の採取と、尿の採取もやり遂げた。
 またあの美味しいピンクグレープフルーツのジュースを用意してくれたから、オレは嬉々として飲んだ。

 血液を検査に回したさえたんは、


「リンリン、僕と熊の番についてのお話していい?」


「えっもちろんです。聴きたい!」


「少しだけ聞いて欲しいな。

 僕はね、番のことが大嫌いだった。『運命の番』だから、 それはもちろん出逢った瞬間にいい匂いだなって感じたし、カッコいい好き!って感じた。でも大嫌いだった」


「うんうん、どうして嫌いだったんですか?」


「偉そうだった。圧倒的なアルファ性の男性だったからとにかく偉そうだった。
 僕はね、研究者としてのお仕事を辞めたくなかった。
 でも彼は、僕から全てを奪って、自分の家に閉じ込めた。なんにもしなくていいから俺のこの部屋にいればいい。って決めつけられて、外に出してもらえなくて、とにかく朝も、昼も、夜も抱かれまくった」


「えっひどい」


「そう、ひどいよね。こんな偉そうな監禁男なんて、絶対に番になるか!って思ってた。

 でも、愛してしまった。

 僕の身体に触れるときはとびきり優しいんだよ。大事にしてくれている気持ちがよくわかったんだ。今となると、なぜ監禁なんかしたのか、わかるけどね。彼も若くて未熟だったから、どうしたらこの『運命』が自分を選んでくれるのかわからなくて、そうするしかなかったんだ。生で挿入して、数えきれないくらい中で精子を出されて、僕を孕ませて、どこにもいけないようにしたんだろうね。
 長男を妊娠したってわかったときに、僕は、決めた。
 彼と、納得いくまで話そうって。話し合いにならなかったら、死んでやる。って決めた。僕の切羽詰まった様子を感じて、彼は話し合いに応じてくれたよ。そこで我慢せずに、僕の研究に対する思いとか、大学のこととか、細かいことも話し合って、お互いが同意するラインを決めるまで三日三晩かかった。
 今は、息子たちも独立したし、研究も続けられているし、何にも文句なんかないし、幸せだよ。なんてったって『運命の番』なんだからね。
 ふふ、今思うと笑い話だけど。
 だから、リンリンも京利くんと一度話し合って欲しい。
 あのね、京利くん、リンリン、伝えておきたいことがある。


 リンリンに、妊娠の兆候がある。


 つまり、リンリンのお腹に赤ちゃんが居るかもしれない。


 まだまだ検査するにも早すぎる、不確定な時期なんだけど、僕の経験上、可能性が高い。家に帰ったら、今からのこと、将来のこと真剣に考えて、話し合いなさい。答えが出たら教えて欲しい。僕は、力になるよ。二人の力になる。
 どうかよろしく頼むよ。二人にはずっと仲良くあって欲しいんだ」


 オレは、感極まって、さえたんに抱きついた。




感想 0

あなたにおすすめの小説

俺は夜、社長の猫になる

衣草 薫
BL
冤罪で職を追われた葵は、若き社長・鷹宮に拾われる。 ただし条件は――夜は“猫”として過ごすこと。 言葉を話さず、ただ撫でられるだけの奇妙な同居生活。 タワマン高層階の部屋で、葵は距離を崩さない鷹宮に少しずつ惹かれていく。 けれど葵はまだ知らない。自分が拾われた本当の理由を。

言葉が通じない暴君皇帝の運命の番として召喚されました〜炎を鎮めたら冷徹な彼が甘々になりました〜

水凪しおん
BL
帰宅途中の夜道、突然の光に包まれた青年・アオイが目を覚ますと、そこは見知らぬ異世界の宮廷だった。 言葉も通じず、隔離された離宮に閉じ込められた彼が出会ったのは、ソラリア帝国を統べる皇帝・レオニダス。 強大な竜の血を引き、その力に肉体を焼き尽くされそうになりながら孤独に耐える冷徹なアルファ。 だが、特別な魔法を持たないはずのアオイには、彼の荒れ狂う魔力を静かに鎮める「不思議な波長」が備わっていた。 「触れるな」 お互いを傷つけることを恐れ、遠ざけようとする不器用な皇帝。 だが、アオイは苦しむ彼を見捨てられず、自ら灼熱の炎の中へと飛び込んでいく。 言葉の壁を越え、魂の波長が重なり合った時、冷徹な皇帝の態度は一変。 誰よりも優しく、独占欲に満ちた重すぎる溺愛が始まって――。 孤独な竜と、彼を癒やすただ一人のオメガ。 二人が真の「運命の番」となるまでの、切なくも温かい異世界救済ボーイズラブ。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)

子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ 喰われるなんて聞いてないんだが(?) 俺はただ、 いちご狩りに誘われただけだが。 なのに── 誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に なぜか俺が捕まって食われる展開に? ちょっと待てい。 意味がわからないんだが! いちご狩りから始まる ケンカップルいちゃらぶBL ※大人描写のある話はタイトルに『※』あり

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。