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37.大嫌いだった
「京利、こっちきて」
お股おっぴろげ椅子に座って、さえたんに、カーテンでお腹のところで仕切ってもらったから、下半身はカーテンのこちら側からは見えない。
京利は、なんてエロい椅子だ、って思っていそうな顔で、オレの手を握りながらも、チラチラカーテンを見ていたから、カーテンの向こう側を想像しているのかな。挙動不審すぎて笑う。
「リンリン、ちょっとお尻気持ち悪いけどごめんね」
前回と同じで、とても丁寧に声かけしてくれて、手際が良くて優しい。今は、エコーの検査をしてくれている。
あれっなんか前回より長いかも?なんか異常あり?
京利は、オレの頭を空いてる手で撫でながら、やっぱりソワソワしていた。
「よし。終わったよ、椅子戻すね。次は、前回と同じ血液の検査と尿の検査しようね」
「はい、わかりました」
返事をして、衣服を整えて、ソファに戻ると京利が優しい顔で抱きしめてくれた。そのまま痛くない血液の採取と、尿の採取もやり遂げた。
またあの美味しいピンクグレープフルーツのジュースを用意してくれたから、オレは嬉々として飲んだ。
血液を検査に回したさえたんは、
「リンリン、僕と熊の番についてのお話していい?」
「えっもちろんです。聴きたい!」
「少しだけ聞いて欲しいな。
僕はね、番のことが大嫌いだった。『運命の番』だから、 それはもちろん出逢った瞬間にいい匂いだなって感じたし、カッコいい好き!って感じた。でも大嫌いだった」
「うんうん、どうして嫌いだったんですか?」
「偉そうだった。圧倒的なアルファ性の男性だったからとにかく偉そうだった。
僕はね、研究者としてのお仕事を辞めたくなかった。
でも彼は、僕から全てを奪って、自分の家に閉じ込めた。なんにもしなくていいから俺のこの部屋にいればいい。って決めつけられて、外に出してもらえなくて、とにかく朝も、昼も、夜も抱かれまくった」
「えっひどい」
「そう、ひどいよね。こんな偉そうな監禁男なんて、絶対に番になるか!って思ってた。
でも、愛してしまった。
僕の身体に触れるときはとびきり優しいんだよ。大事にしてくれている気持ちがよくわかったんだ。今となると、なぜ監禁なんかしたのか、わかるけどね。彼も若くて未熟だったから、どうしたらこの『運命』が自分を選んでくれるのかわからなくて、そうするしかなかったんだ。生で挿入して、数えきれないくらい中で精子を出されて、僕を孕ませて、どこにもいけないようにしたんだろうね。
長男を妊娠したってわかったときに、僕は、決めた。
彼と、納得いくまで話そうって。話し合いにならなかったら、死んでやる。って決めた。僕の切羽詰まった様子を感じて、彼は話し合いに応じてくれたよ。そこで我慢せずに、僕の研究に対する思いとか、大学のこととか、細かいことも話し合って、お互いが同意するラインを決めるまで三日三晩かかった。
今は、息子たちも独立したし、研究も続けられているし、何にも文句なんかないし、幸せだよ。なんてったって『運命の番』なんだからね。
ふふ、今思うと笑い話だけど。
だから、リンリンも京利くんと一度話し合って欲しい。
あのね、京利くん、リンリン、伝えておきたいことがある。
リンリンに、妊娠の兆候がある。
つまり、リンリンのお腹に赤ちゃんが居るかもしれない。
まだまだ検査するにも早すぎる、不確定な時期なんだけど、僕の経験上、可能性が高い。家に帰ったら、今からのこと、将来のこと真剣に考えて、話し合いなさい。答えが出たら教えて欲しい。僕は、力になるよ。二人の力になる。
どうかよろしく頼むよ。二人にはずっと仲良くあって欲しいんだ」
オレは、感極まって、さえたんに抱きついた。
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