ある日『運命の番』に出逢ったオレに起こる、なんやかんや、でもやっぱり最高に幸せだと思う。

音羽 りんね

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38.見ていて欲しい。

 

 さえたんも、強くオレを抱きしめ返してくれた。京利は何にも言わなかった。真剣に何かを考えているようだ。こちらを見ているけど、心ここにあらず、といった感じだ。


「さえたん、ありがとうございます。貴重なお話をしてくれて。ちゃんと今日帰ったら、京利と気が済むまで話し合いますね。そして答えが出たら一番に報告します。

 あと、さえたん。

 研究者であってくれてありがとうございます。
 研究を諦めないでいてくれてありがとうございます。

 オレは、本当にさえたんに出逢えてよかったです。

 番さんが、最強のアルファ性ってことは、さえたんも最強のオメガ性だったんですね。お二人ともカッコいい。

 これからもさえたんには、京利とオレの仲睦なかむつまじい姿をずっと見ていて欲しいです。よろしくお願いします」


 一瞬、唖然あぜんとしたさえたんだったけどすぐに花が咲いたような満面の笑みになる。


「もちろんだよ。いつか僕の家族も紹介するね」


 楽しみにしています!って言ったら、さえたんがオレの耳に小さな声で、大事なことをさっと教えてくれた。オレも無言で頷く。

 それから、何やら難しい顔をした京利と一緒に赤坂さんの運転する車で安全に家まで帰ってきた。京利は、ひと言もしゃべらなかったけど、繋いだ手が離されることはなかった。車を降りて、凛、と呼ばれ見上げると、抱き上げられ、部屋まで縦抱っこで戻る。恥ずかしいからやだ、って言ったのに、今日も譲ってくれなかった。


 部屋に着いてから、京利がどうしても一本、電話をしないといけないんだ。お風呂にひとりで入るのは危ないから待っててくれるか?ってすごく心配そうな顔で聞かれた。ちょっと悩んだけど、京利の目を見て、シャワーだけにするから大丈夫って言ってみた。すると、なんということでしょう。あの京利が素直にわかったって了承したのです。

 京利、どうしちゃったんだろう。もしかして、オレが妊娠してるかもしれない、ってことに責任を感じてる感じ?
 まあいいや、後で話し合うんだから気にしないようにしよう。

 シャワーを浴びて、ゆったりしたスウェットに着替えてすっきりしたオレがリビングに戻ると、いつもように水が用意されていて、京利がペットボトルの蓋を取って渡してくれた。微笑んで、俺もいってくると言って、ソファーに座ったオレの足元にブランケットを掛けていった。
 ゆっくりお水を飲んで、京利の様子がおかしいなぁって考えながらのんきに待つ。オレの話し合いたいテーマは決まっているからな。京利の考えを先に聞くことにしよう。
 なんとなく、お腹に手を当てる。


 ぼぉっとしていたら、京利が戻ってきて水を飲んでいた。さっきより、すっきりした顔になっている。そして余裕を感じるようなそうでもないような顔で、オレの座っているところまでやってきて、なんとスッと床に座りオレの足にブランケットごとしがみついてきた。


「凛、俺を捨てないでくれ、頼む!」


 ええぇ?!!想像していたどのパターンとも違っていて、びっくりしたけど、真剣にしがみついてくる京利を見ていると、笑いがこみ上げてきて、吹き出してしまった。


「京利、とりあえず横に座ってよ。なんでそんな考えに行き着いたのか教えてくれる?あとお膝に抱っこして」


 京利は、ああ!もちろん!って慌てて、でもゆっくりオレを抱っこして、横向きに膝に乗せて、足元にブランケットを掛けてくれる。なにこれ京利めっちゃ面白い。


「凛は…まだ大学生なんだ。
 冴さんの話を聞いていると、俺に捕まったばっかりに凛は。
 今後、妊娠がはっきりわかるようになったら、さらに色んな制限が出てきて、人生の色んなことを諦めないといけないんだな。って思ったら…」




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